~ Lyrics ~ Writer(s): Timothy B. Schmit, Glenn Frey, Don Henley /訳:Beat Wolf 夜なべで観察してごらん 二人の愛が引き裂かれてゆくさまを だけど僕らは暗闇の中を何年も 生き抜いてきた二人ではなかったの? [Chorus 1] 立ち去ろうとするたび 何かが僕を振り返らせ、留めようとする 何故なのか、言えないけれど 頭に血が上っている時… つまりは、正気じゃないってこと (冷静さを心掛けてごらん) 僕だって心細くなることはある だから心配しないで ただ、しっかりつかまっていればいい (自分だけの小さな世界に囚われないで) 僕は、君を愛している [Chorus 2] 見え得る限り、間違いなんて何もない 必要以上に難しくしているのは僕ら自身 何故なのか、言えないけれど… [Chorus 1]~ 概要 ~ 「言いだせなくて」はイーグルス1979年の6thアルバム
『ロング・ラン(The Long Run)』 からの3rdシングルで、
Billboard Hot 100 で8位(年間62位) を記録した作品です。
当時イーグルスは1976年『Hotel California』のあまりの成功と曲作りのスランプ、メンバー間の軋轢などから次回作のレコーディング作業が難航していました。
更に1977年9月、ベーシストのランディ・マイズナーがバンドを脱退してしまい、翌78年にポコ(Poco)でも彼の後任を務めた
ティモシー・B・シュミット が招かれます。
「I Can't Tell You Why」はそのティモシーが主体として創作を始め、グレン・フライとドン・ヘンリーの助力を得て完成させた楽曲で、ヴォーカルもティモシーがリード、グレンとドンがバックを務め、グレンはティモシーのソウルフルな歌唱を“スモーキー・ロビンソン”に準えたといわれます。
セッションを重ねる中でティモシーは“素晴らしい曲”と感じるようになり、ミックスを終えた後のリスニング・パーティーでドンからも“お前の最初のヒットだ”と予言めいた賛辞を授かりました。
また、グレンは本曲のギター・ソロを演じティモシーのベース・リフも考案するなどの貢献があり、本曲を“
自身(グレン)が作曲に手を貸したイーグルスの楽曲で「呪われた夜」と並ぶベスト・ワーク ”に挙げています。
一方、本曲は1978年3月にレコーディングされていますが、これが“本アルバムで最初に完成した曲”だったという事実は、このアルバムの創作が如何に難航していたかを物語っています…。
新メンバー、ティモシー・B・シュミットのこうした奮闘にも拘らず、イーグルスにはもはや新たな創作力は残されていませんでした。
バンドは1980年に活動停止(1982年に解散)となりますが、本作に伴う『The Long Run Tour』は実施されており(1979.9-80.7/日本公演;79.9.17-25)、「I Can't Tell You Why」も演奏され、この模様は1980年11月発売のライブ・アルバム
『Eagles Live』 にも納められています。
バンド解散後ティモシーの優しいハイトーン・ヴォイスは
「So Much in Love」(過去ログ) など日本で親しまれ、ソロとしても「言いだせなくて」
を歌い続けました。
1992年にはリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド
としてジョー・ウォルシュと共に本曲を披露、イーグルスが再結成された1994年の
『Hell Freezes Over Tour』 以降にもティモシーはメンバーとして参加し本曲を演奏しています。
VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO ~ Story ~ Look at us baby, up all night 夜なべで観察してごらん Tearing our love apart 二人の愛が引き裂かれてゆくさまを 何だかその場にいたくない雰囲気ですが…
ティモシーは、“この歌は自分の経験に大まかに基づいたもの”と説明しています。
どうやら感情豊か(激情?)な彼女と、冷静(気弱?)な彼…
そういえば最近ネット・ニュースの見出しで、そんなイメージの夫婦の話題を見かけたような…。
(元女子プロレスラーの気弱な夫の話)
Something makes me turn around and stay 何かが僕を振り返らせ、留めようとする And I can't tell you why 何故なのか、言えないけれど… 【tell】は“伝達”に強調点 がある言葉ですが、敢えて曖昧な“言う”を用いました。
辞書で調べてみると“伝達”の表現には【知らせる】【告げる】【伝える】【報ずる】【宣する】などがあり、あなたならどの言葉を当てはめますか?
ちなみに、【知らせる】【伝える】は“遠回しに言う”、【伝える】は“気持ちを相手にわかってもらいたいとき”、【告げる】【宣する】は“きっぱり言う”、【宣する】は“広く大勢に向かって言う”、【報ずる】は“広く世間に向かって情報を伝達する”という使い分けとなっているそうです。
彼は、なぜ言えなかったのか…
“わからない”から言えないのか、それとも“わかって”言えない?
Cause I love you... 彼が伝えられる確かなことは、唯それだけ…。
~ “肝心なこと”を言いだせなかったカルロス・ゴーン ~ 昨年末に関西空港の出国審査をすり抜け日本を秘密裏に出国、中東レバノンへ渡航して世界を驚かせた、保釈中の被告人で日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏。
『衝撃の出国劇』の“鮮やかさ”に反し、自らの正当性を主張するために開いた
1月8日の記者会見の“意味不明さ” に別の意味での衝撃を覚えた方も多いでしょう。
何故なら、
12月31日の声明では“私は正義から逃げたのではなく、不正と政治的迫害を逃れた” と表していたにも拘らず、
会見当日は肝心の“『政治的迫害』とは何か、誰の、どんな不正によって不当な逮捕がなされたのか”について、本人が口をつぐんでしまった からです。
ゴーン氏は、彼を陥れたとする6名の日産幹部の実名は挙げたものの、それだけだと人々には“日産内部の権力闘争劇を暴露する敗者の弁”としか映りません。
だからこそ、自らの正当性と不法出国の
大義名分として、『政治的迫害』について具体的根拠を提示することが不可欠だったはず なのに、彼ほどのやり手ビジネスマンが何故それを“プレゼン”できなかったのか…
しかしそれこそが、本件に暗躍する政治的迫害の存在を示す“影”のように思えてならないのです。
VIDEO “日本政府で何が起きていたか、名前も挙げることができる。 しかしレバノン政府と人々の利益を損なうことは言いたくない ので、この部分については沈黙を保ちたい” 会見でゴーン氏は手を合わせ謝るようなポーズで、
本件に関与した日本政府関係者の実名を明かさない意向 を示しました。
実は、
日本はレバノンに対し約387億円の資金援助 (2017年度末まで)をしており、その事実さえ知っていれば“レバノン政府と人々の利益を損なうこと”が何を意味するか想像できるでしょう。
奇しくも、外務省HPによると
会見前日 の1月7日に大久保武駐レバノン特命全権大使がアウン・レバノン大統領と会談し、ゴーン氏の件について“遺憾で到底看過できるものではない”と“必要な協力要請”を申し入れ、
アウン大統領から“協力要請に全面的な協力を惜しまないとの約束” を得た旨が明記されています。
そして
会見の翌1月9日 、レバノン当局は“ゴーン氏の出国禁止”を発表しており、腐敗が蔓延っているとされる当国がどちらの味方に付くかは“カネ次第”ということかもしれません…。
~ ゴーンが言いだせなかった『政治的迫害』とは? ~ ゴーン氏は、本件に関与した政府関係者の名前について黙秘しましたが、会見で
ゴーン氏が挙げた日産幹部の“縁故”を辿れば不思議と安倍政権中枢へと行き着き ます。
そのうちの一人、
川口均前副社長 は日産本社のある横浜をお膝元とする
菅義偉官房長官 とは頻繁に会食や会合を重ねる間柄で社内でも“川口さんの後ろ盾は菅さん”という共通認識があるとされ、
経済産業省産業構造審議会2020未来開拓部会委員 にも名を連ねている人物です。
もう一人の重要人物は、ゴーン会長が逮捕される5か月前の2018年6月に日産の非常勤取締役に就任した
豊田正和氏 。
豊田氏は元経済産業審議官(経産省No.2)で、会見で
ゴーン氏が“日本の当局とつながっていた”と言及した人物 です。
『陰の総理』とも呼ばれる経産省出身の
今井尚哉・首相秘書官兼首相補佐官 とは
共に『エネルギー・原子力政策懇談会』に参加 しています。
日本政府はこれまで日産とルノーの提携について、“政府が関与するものではない”との立場を表明してきましたが、2019年4月、仏日曜紙『ジュルナル・デュ・ディマンシュ』は
日本の経産省が2018年4~5月に両社の経営統合案を阻止するため介入していたことを裏付ける複数のメールの存在 を報じました。
2018年4~5月に経産省が統合阻止を工作
同年 6月に経産省OBの豊田氏が非常勤取締役に就任
同年 11月に法務省統轄の検察がゴーン会長を逮捕
見事な時系列は“奇跡的偶然”?
VIDEO VIDEO ~ 『ゴーン降ろしの内部抗争』が、日本政府を巻き込んだ『国策』となった? ~ 私が本件で最初に違和感を覚えたのは2018年11月19日、羽田空港での
あまりに演出がかった『ゴーン逮捕劇』 でした。
まるで最も視聴率の高いNHKの7時のニュースの時刻に合わせたかのように検察による逮捕が遂行され、映画でも見せているかのようにテレビ局が逮捕劇を生中継する“あまりの段取りのよさ”は、両者が事前に打ち合わせでもしていなければ不可能であり、これほど大掛かりな演出は
政府権力の関与なしには成立し得ない からです。
しかも
検察が金融商品取引法違反の容疑事実とした「役員報酬の虚偽記載(過少申告)」は実際に受領した報酬ではなく、退任後に別の名目で支払うことを「約束した金額」に対して だというのです!
元検事の郷原信郎弁護士は“
退任後に「支払の約束」をした役員報酬は 、(有価証券報告書に)記載義務があるかどうかすら疑問なのであり、
少なくとも(虚偽記載罪に該当する)「重要事項」に当たらないことは明らか だ”と言及しています。
その後も検察はゴーン氏の逮捕・起訴を繰り返しますが、例えば
特別背任で立件したサウジアラビア・ルート、オマーン・ルートの不正送金容疑 についても同弁護士は、
“「特別背任罪の成否の核心」に関する事実について、中東での証拠収集がほとんどできていないまま日産関係者の供述だけで特別背任で逮捕するという「従来の検察の常識に反するやり方 」で、逮捕後に中東各国への捜査共助要請をして証拠を収集しようとするという有様だった” と指摘しました。
つまり本件は凡そ刑事事件として扱う案件か、実際に有罪に持ち込めるだけの確かな証拠を揃えたか疑念があるにも拘らず逮捕・起訴し、身柄を拘束した後で証拠を集めようとしたものの容疑を固めることができず、無駄に時間ばかり費やしてきたのです。
(郷原弁護士は
“その公判は一体いつ始まりいつ終わるのか、全く見通しがつかない” と指摘した)
これまで日本の司法制度は国際社会から人権侵害のある『人質司法』と非難されてきましたが、
本件に於ける検察の手法は彼らが誇りとしてきた『有罪率99%』 (※正確には99.8%!確実に有罪になる者しか起訴しない)
の理念にも反しており 、
本来なら誰より検察自身がそのリスクを恐れるはず でしょう。
何故、それを捨ててまで検察は無理筋な逮捕・起訴を強行するのか…
本件の
そもそもは、『ルノーによる経営統合・海外移転を巡る日産の内部抗争』 でした。
元々
ゴーン会長 も日産の独立性を守る立場でしたが2018年2月にルノーCEOの続投が決まると、
同年3月に統合路線に舵を切る 言動に転じました。
そこで、窮地に立った
統合反対派は日産の地元の有力者である菅官房長官と、所管の経産省に助けを乞うた のでしょう…
政府関係者には組織票・カネ・天下りの獲得、
検察は『司法取引』を試す思惑 で、各々に大きなメリットがあります。
かくして
『ゴーン降ろしの内部抗争』は、検察と大メディアを巻き込んだ『国策捜査』『国策報道』へ と発展しました。
“本来、日産のなかで片付けてもらいたかった…” 2020.01.08. 安倍首相
~ Epilogue ~ 一連の『ゴーン事件』は、あなたの目にどう映っているでしょうか…。
そこに私が見たものは、
「政治権力」と「捜査機関」、そして「マスメディア」の癒着 です。
ゴーン氏は本件について政府関係者の名を挙げず
『日産と検察の共謀』 という表現でお茶を濁していますが、「検察の流儀に反する無理筋な立件」「官邸に繋がる日産幹部の存在」、「安倍首相の発言」
を勘案すると、
検察の上に『官邸』がいる と考えるのが自然でしょう。
腐敗した「政治権力」が、国民の自由を強制的に奪う捜査・逮捕の権限を有する「捜査機関」を、自らの権力と利害のために濫用した社会 がどんな悲劇をもたらすか、大日本帝国の末路が教えてくれているはずです。
一連の事件を報じる
メディア も同様で、検察のリークに乗って
『ゴーン逮捕劇』を“エンタメ化” し、実体以上に「ゴーン=悪党」のイメージを煽ってカネ儲けに利用しています。
漏らされるべきではない情報のリークの背景には、
「官邸による世論の印象操作の思惑」 があることを知りながら…。
メディアが追求すべきは 小悪の「箱に隠れた逃走劇」ではなく、国民の大事に関わる「逃げられる国のセキュリティ体制」や
「政治権力が私的利害によって逮捕・起訴の可否を決めている疑い」について です。
先月、
伊藤詩織さんが元TBS記者・山口敬之氏にレイプ されたことに対する民事訴訟が報じられました。
判決は「被告(山口氏)の供述はその信用性には重大な疑念がある」 とまで断じた伊藤さんの勝訴でしたが、
「山口氏が逮捕も起訴もされなかった背景に安倍首相及び菅官房長官の影響力が及んでいた疑念」について日本の大メディアは殆ど言及しない ため、多くの国民には唯の「かわいそうな女性の問題」と映り、自分に関わる
「『法の下の平等』が蝕(むしば)まれている危機」とは気づかない でしょう。
また、『桜を見る会問題』でようやく
安倍首相をはじめとする大物議員とマルチ企業『ジャパンライフ』との癒着 が大きく取り上げられましたが、約7000人の顧客と約2400億円の負債を抱え当社が倒産した後では遅きに失したと言わざるを得ません。
ジャパンライフは1980年代から国会でも取り上げられた問題であるにも拘らず近年まで生き延びましたが、その
悪事が見過ごされてきた背景には歴代自民党議員や官僚OBへの献金や天下りがあり、それが当社への信用となって被害を拡大 させました。
本来、
早い時点でメディアがこの実態を広く国民に伝えてくれていたなら被害を最小限でとどめることができた かもしれませんが、そのメディアもジャパンライフと癒着していたため、進んで報じられてきませんでした。
しかし、「国民の目と耳」である日本のメディアの現状には暗澹とならざるを得ません。
安倍首相は公務を早く切り上げて
“お友だち”と会食を重ねるのが日課 となっていますが、その中には
主要メディアのトップや記者 が含まれます。
この国では、これを恥とも思わない人間ほど偉くなれるのです。
肝心なことを「言いだせない」メディアなんて…。
「言いだせなくて」 VIDEO 最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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