I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ」ビートルズ

2020.08.21

category : Beatles & Solo

The Beatles - Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey (1964年)

ビートルズ屈指のエキサイティング・ナンバー。ポール・マッカートニーの弾けるヴォーカル ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。



~ Lyrics ~

Writer(s): Jerry Leiber and Mike Stoller/Richard Penniman /訳:Beat Wolf

あぁ…カンサス・シティ
素敵な娘を家に連れ帰ろう
Yeah, yeah
きっと行くからね、カンサス・シティ
素敵な娘を連れ帰ろう
Yeah, yeah
それにしても、長い時間が過ぎたものだ
恋人がいなくなってから

あぁ…カンサス・シティ
素敵な娘をきっと見つけよう
Yeah, yeah
待ってろよ、カンサス・シティ
素敵な娘を見つけよう
Yeah, yeah
まさに1,2,3,…と
数えるように



Hey hey hey hey (hey hey hey hey)
Hey, baby (hey, baby)
ねぇ届いてる?
僕の声が (well, pal)
今すぐ教えてよ…
何かまずい所があった?



…さて、お別れの時間だ (bye bye, bye bye, bye bye)
さよなら、ベイビー (bye bye, bye bye, bye bye)
ごきげんよう (so long, so long, so long)
もう行くよ(bye bye, bye bye, bye bye)
さよなら、ベイビー
Bye, bye, bye, bye...




~ 概要 ~

「カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ」は1964年12月4日に発売されたビートルズ4作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール(Beatles for Sale)』に収録された作品です。
英米ではシングル発売はありませんが1965年に Billboard Hot 100 で102位(Cashbox で75位)という記録が残っており、カナダや西ドイツでは「Boys」と、日本では「I'll Follow The Sun」とのカップリングでシングル発売されています。
“イギリス人のビートルズが何故アメリカ内陸部カンザス州カンザス・シティをテーマに?”と思われた方もおられるでしょうが、そもそも本曲はカバー作品であり、その点も含め複雑な経緯があるので、それについて順を追って説明いたしましょう(次項も参照)。

始まりは1952年、後にエルヴィス・プレスリー「Hound Dog」(56年)やベン・E・キング「Stand by Me」(過去ログ)など数々のヒット曲を生み出すこととなるアメリカ人作曲家コンビ、Jerry Leiber and Mike Stoller(作詞;ジェリー・リーバー/作曲;マイク・ストーラー)がテキサスのブルース・マン、リトル・ウィリー・リトルフィールド(Little Willie Littlefield)のために「Kansas City」という曲を創作したことでした。
(※リーバーもストーラーもカンザス出身ではなく、この時点でカンザスに行ったこともなかった)
同曲は同年8月に発売されるもののプロデューサーにより「K. C. Loving」というタイトルに変更されたもので、作者のリーバーとストーラーは大いに失望したといいます。

本曲に転機が訪れたのは1959年、アメリカのR&Bシンガー、ウィルバート・ハリスン(Wilbert Harrison)がオリジナルどおり「Kansas City」のタイトルでカバー、ビルボード誌が本曲を特集し“大いに伝染する危険のあるサウンド、食いつくような曲”と評すると Hot 100 で2週No.1(年間9位)の大ヒットするに至りました。
ただ、これがビートルズがカバーするテイストかというと正反対で、“ゆったりとしたブルース調”はシブくてかっこいいもののポールをはじめとする十代の少年が好む“刺激”に欠けることは一聴して気づくでしょう。
…そう、ポールを魅了したのはこのバージョンではありません。

実はウィルバート・ハリスンのカバーと同年同時期、ポールの憧れのスターであるリトル・リチャードも「Kansas City」をカバーしアメリカでは Hot 100 の95位とウィルバートに遠く及ばなかったもののイギリスでは26位とヒットしており、テイスト的にもビートルズver.がこちらの影響を受けていることは誰の耳にも明らかでしょう。
リトル・リチャードは1955年に2つの音源をレコーディングしていますが1つは原曲に近いやや抑えたもので、もう一つはビートルズが手本にしたギター・イントロや歌唱法など独自路線を強めたテイストです(次項参照)。
ただ、リトル・リチャードver.が従前の「Kansas City」と決定的に異なるのは自作曲「Hey-Hey-Hey-Hey」を加えたメドレー形式としていることですが、当時はタイトルも「Kansas City」、クレジットにも自分の名前(Richard Penniman)を入れていなかったため、これをカバーしたビートルズver.も「Kansas City」と表記されていました。
ところがその後、時期は不明(80年代以降?恐らく権利の追加主張により)ですが、リトル・リチャードver.やビートルズver.は]正式に「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」に変更されています。


「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」は『Beatles for Sale』のセッションで2テイク録音され、正式版にはジョージ・マーティンがピアノを演じた第1テイクが採用され、ボツとなった第2テイクは1995年に発売された『The Beatles Anthology 1』に収録されています。
ビートルズは当時イギリスBBCのラジオ放送にレギュラー出演しており、1964年12月26日の音源が1994年にライブ・アルバム『Live at the BBC』に収録されました。
コンサートのセット・リストには入ってなかった(1964年9月17日のカンザス・シティ公演以外)ため映像は難しいですが、1964年10月3日のアメリカ音楽番組『Shindig!』のものが確認できました。
また、1997年の『モントセラト島救済コンサート』ではフィル・コリンズやマーク・ノップラー、スティング、エルトン・ジョン、エリック・クラプトンほかスター総出によりトリを飾った曲であることをご記憶の方もあるでしょう。


 
 



~ Story ~

Ah, Kansas city
あぁ…カンサス・シティ
Gonna get my baby back home, yeah, yeah
素敵な娘を家に連れ帰ろう         ~The Beatles - Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey より~

ビートルズの「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」のストーリーで最大の疑問は、“何故カンザス・シティでなければならない?”でしょう。
それ以外にも「Kansas City」から「Hey, Hey, Hey, Hey」の展開には脈絡が感じられず、“【連れ帰ろう】の歌と思っていたら【bye bye】”で終わってしまうのです!
このギャップを埋めるために以下、調べてみました…。

 

Gotta find a brand new baby
新しい恋人を見つけなければならない…
That's the reason why
それが(カンザス・シティへ行く)理由     ~Little Willie Littlefield - K.C. Loving より~

「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」に説明はありませんが、最初のレコーディング「K.C. Loving」と1959年のウィルバート・ハリスン「Kansas City」の歌詞には書かれていました。
また、一説によるとカンザス・シティがこの曲の舞台となった理由の一つは二人の名ジャズ・プレイヤー、カウント・ベイシー(William "Count" Basie)とチャーリー・パーカー(Charlie Parker)所縁の地であったことへの作者リーバーとストーラーのオマージュだそうです。

一方、ビートルズの「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」ではオリジナルの「Kansas City」の歌詞が少なからず短縮・変更されているため、作品としての印象がかなり異なっています。
オリジナルで主人公は“歩いてでも(カンザス・シティへ)行く”“その女性と一緒なら死んでもいい”と真剣に恋人を求めているのに対し、「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」では“yeah, yeah”“a-one, two, three...”と気軽で楽しそうです。

 

Well, bye, bye, bye, baby, bye
さよなら、ベイビー
Woo, so long, bye-bye, baby, I'm gone
ごきげんよう、もう行くよ     ~Little Richard - Kansas City-Hey Hey Hey Hey~

えぇっ?
あれほど真剣な気持ちで恋人探しする主人公に、それはないでしょう! 

「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」にはその説明が省略されていますが、元歌であるリトル・リチャード1958年の「Hey-Hey-Hey-Hey」によると、主人公が別れを告げる理由は“(アラバマ州)バーミングハムの年老いたおじさん・おばさんの所へ戻らなければならない”という真面目なものです。
でも、そんな大事なことを「Hey-Hey-Hey-Hey」のノリで言われても…?

とはいえ、付け加えられた無茶なフレーズも、リトル・リチャードなら“それもアリ”でしょう。
1988年のグラミー賞、生中継の授賞式の舞台で受賞者の名前を発表するリチャード

最優秀新人賞は…… 私!” 

グラミーは私に一つも賞をくれなかった。ロックン・ロールの創始者なのに…”
熱弁を振るう彼に会場は立ち上がって賛同、そして大爆笑! 
(※リトル・リチャードは、1993年にグラミー賞生涯業績賞を受賞)





~ Epilogue ~

キャバーン・クラブ、コロナ感染拡大の影響で閉店の危機

キャバーン・クラブ(The Cavern Club)は1957年にリヴァプールで開業したライブ・ハウスで、ビートルズが前身であるクオリーメン(The Quarry Men)時代の1957年8月から「She Loves You」(過去ログ)をリリースする1963年8月まで数多く出演し続けた“ファンの聖地”であり(特に1961年1月-1962年2月は292回)、近年も年間約80万人が訪れるリヴァプールの観光名所です。
そんな世界有数のライブ・ハウスが新型コロナウイルスの影響を受け、3月に英国でロックダウンが実施されて以降、毎週3万ポンド(約420万円)の損失で閉店の危機にあるといいます。

「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」は1964年の『Beatles for Sale』で発表されましたが、実はデビュー直前の1962年からキャバーン・クラブやハンブルクのスター・クラブで演奏されていました。
英国グラナダ・テレビは、1962年8月22日と9月5日にキャバーン・クラブでのビートルズの演奏を録音・撮影しており、このうち「Some Other Guy」は同クラブで演奏するビートルズの唯一の映像とされます。
残念ながら「Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey」の映像は残されておらず、同日のものと思われる貴重な音源が現存しており、ポールの変幻自在なヴォーカルはライブでこそ真価が発揮されることを再認識できるでしょう。

 


クラブ・オーナーの1人によると“雨の日(万が一)に備えて140万ポンド(約1億2,000万円)あったのが、いまは半分”といい、リヴァプール市議会も“クラブの存続は政府の文化芸術分野への緊急支援基金の対象になるかにかかっている”とコメントしているといいます。
これに対しイギリス政府は、8月15日より観客のソーシャルディスタンスを確保した屋内演劇や音楽パフォーマンス公演を認めると表明、キャヴァーン・クラブも30%の収容人数で再開する準備を行っているそうです。

イギリスの直近の新型コロナ新規感染確認者数の動向を見ると、ピーク時に比べかなり抑え込んでいるものの一定数以上燻り続け、8月は微増傾向にあり、気温も涼しくなってゆく中での緩和策は感染制御の観点からは避けるべきですが、民業の体力も限界へと近づいている現実もあります。
“感染制御を徹底してコロナを早く終息させてから十分稼ぐ”か、“感染制御を弛めて少し稼ぎながら集団免疫ができるまでコロナと長く付き合う”か…

果たして世界にとって、より幸福な方策とは?



「Beatles - Kansas City - (Rare - Cavern Club Live - 1962) 」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : -60's R&B ロック ビートルズ・フォー・セール 

コメント

またも初めて聴くビートルズ初期曲、スタンダードなロックロールナンバー、自分もまだまだ勉強が足らないと反省の限りです。

2020.08.23  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

お宝がまだまだ埋まっているので探索し甲斐があります。
新しいお宝を見つけてくださいね。

2020.08.23  Beat Wolf  編集

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