I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「愛と青春の旅だち」ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ

2020.09.15

category : Soundtracks

Joe Cocker & Jennifer Warnes - Up Where We Belong (1982年)

映画『愛と青春の旅だち』の爽やかな結末を彩り、80年代を代表するデュエット・ナンバー ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Jack Nitzsche, Buffy Sainte-Marie, Will Jennings /訳:Beat Wolf

[Jennifer]
明日が何をもたらすかなんて、誰にもわからない
柔(やわ)な心では生き残れない世界の中で
[Joe]
わかっているのは、己の感じたことだけ
それが真に迫るものであるなら、貫き続けよう

*[Joe]
途は長く
行く手には幾つもの山々が立ちはだかっているけれど
二人で這い上がってゆこう、日々一歩ずつ

[Chorus]
愛が二人をあるべき場所へと高めてくれる
鷲が啼く高い山の上
愛が、あるべき場所へと高めてくれる
下界から遠く、澄み渡る風が吹く所

[Joe]
“以前こうだった”に縋(すが)る人々は
後ろを見て人生を歩んでいる
[Jennifer]
私たちにあるのは、今この瞬間だけ 
一生のことなんて、視界の向こう側


[Chorus]

[Joe]
時は過ぎてゆく
泣いている暇(いとま)なんてない
人生とは、君と僕
今日この日を、精いっぱい

[Chorus]




~ 概要 ~

「愛と青春の旅だち」は1982年の北米興行収入第3位を記録した映画『愛と青春の旅だち(An Officer and a Gentleman)』(主演;リチャード・ギア)のED曲で、同サウンドトラックからシングル・カットされ、 Billboard Hot 100 で3週No.1(1983年の年間27位)に輝いた作品です。

歌っているのは、ビートルズ時代からメンバーの友人で「With a Little Help from My Friends」のカバーでも知られるイギリス人ロック/ブルース歌手ジョー・コッカーと、「Right Time of the Night」(1977年/全米6位)などのヒットを記録したアメリカ人カントリー歌手ジェニファー・ウォーンズ
この異色のデュエット・ナンバーは映画を強く印象付けたとして評価が高く、1983年に『ゴールデン・グローブ 主題歌賞』『グラミー最優秀ポップ・パフォーマンス賞(デュオまたはグループ)』『アカデミー歌曲賞』を受賞しました。
歴代でもアメリカ映画100周年を記念した『AFIアメリカ映画主題歌ベスト100』の75位、2020年には『Billboard Releases the 25 Greatest Love Song Duets』にも選出されています。


サウンドトラックには既にパット・ベネターやダイアー・ストレイツなどのスターを起用し、映画は仕上げの段階に入っていましたが、テイラー・ハックフォード監督はハッピーなラストシーンに相応しい新たな曲の必要性を感じていました。
しかしもう予算も時間も残っていなかったため、彼はインストゥルメンタルの「Main Theme From "An Officer And A Gentleman"」(作曲者;ジャック・ニッチェ、バフィ・セント=マリー)を取り入れた歌曲を希望し、作詞家ウィル・ジェニングス(Will Jennings)を招いています。
ウィル・ジェニングスについて、多くの方はご存じないと思いますが、実は凄い人で、「愛と青春の旅だち」のような歌詞を書かせたら天下一品!
過去ログから、以下に彼の作品を幾つか紹介いたしますので、本記事と共にお楽しみください。。

「夜のしじまに」バリー・マニロウ
「青空のヴァレリー」スティーヴ・ウィンウッド
「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」ダイアナ・ロス
「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」セリーヌ・ディオン


ブルースカントリー“ガラガラ”“スベスベ”した声質のギャップがありながら見事な調和を演じたジョー&ジェニファーでしたが、実はそれまで二人は会ったことさえありませんでした。
しかもスケジュールはかなり切迫した状況で、実際にシングルが発売されたのは1982年7月22日であるのに対し(映画の公開も7/28)、レコーディングが行われたのは同年6月、それもジョーが北西太平洋ツアーの真っ最中だったため1日だけロサンゼルス入りして録音、その日のうちにとんぼ返りしなければならなかったといいます。

スター同士のデュエットはその性質上、ステージでの再演は少ないものですが、この二人は後年も共演がみられます。
中でも印象深いのは2013年、ベルリンでの『The Goldene Kamera award』での共演です。
晩年のジョーは病気がちで2014年に肺がんのため死去していますが、二人にとって最後の「愛と青春の旅だち」となったのが、このステージでした。


 
 



~ Story ~

Who knows what tomorrow brings
明日が何をもたらすかなんて、誰にもわからない
In a world few hearts survive
柔(やわ)な心では生き残れない世界の中で

ジェニファー・ウォーンズの、高く澄んだ声が印象的な冒頭のフレーズ。

「Up Where We Belong」の歌手選定について、まず映画ディレクターが(マネージャー業を務めている)友人に相談したところ、彼のクライアントであるジェニファーを推挙されたものの、ハックフォード監督は当初“彼女の声は甘過ぎる”とそれを却下しています。
しかしジェニファーは諦めず映画の主人公のワイルドさとヒロインのソフトさをデュエットで再現するアイデアを考案、その相手としてジョー・コッカーを提案するとハックフォード監督も潜在的可能性があると再考し、二人の起用を決断しました。


All I know is the way I feel
わかっているのは、己の感じたことだけ
When it's real, I keep it alive
それが真に迫るものであるなら、貫き続けよう

ジェニファーに続き、対照的なガラガラ声をしたジョー・コッカーが歌う最初のフレーズ。

ジェニファーはジョーに会ったことはなかったものの、デュエットの相手に彼を求めたのは、彼女が長年に亘る彼のファンだったことと無関係ではないでしょう。
ジョーは1969年の『ウッドストック・フェスティバル』で有名となり、その人気は1975年の「You Are So Beautiful」(過去ログ)で頂点に達したもののその後低迷、78年を最後にアルバムを何年も発表していませんでした。
しかし1982年2月24日、ジョーがヴォーカルで参加したザ・クルセイダーズ(The Crusaders)の「I'm So Glad I'm Standing Here Today」がグラミー賞にノミネートされ、その式典でパフォーマンスした彼に久々の衆目が集まりました。
その模様を自宅で見ていた一人がジェニファーで、彼女はその時覚えた感動を“私は跳び上がって喜びの叫びを上げ、いつかジョーと一緒に歌うであろうことを知っていた”と、語っています。

「Up Where We Belong」でのジョーとの共演は、ジェニファーの強い願いと機転がもたらした奇跡だったのかもしれません。



~ Epilogue ~

「愛と青春の旅だち」というタイトルは、日本語としてとても魅惑的です。
歌曲の原題は「Up Where We Belong」ですが、これは歌詞の【Love lift us up where we belong】からきており、邦題は原題の翻訳ではないものの作品概念的には許容範囲で、むしろ「愛と青春の旅だち」の方がロマンティックで趣きがあるといえるでしょう。

一方で映画の『愛と青春の旅だち』は結末こそイメージが合致するものの、“ときめくようなラブ・ストーリー”でも、“爽やかな青春物語”でもなく、仲間が自殺するなど“全体的に陰鬱”な展開が多く、初めて映画を見たとき私は余りのギャップに困惑したものです。
原題の『An Officer and a Gentleman』は直訳すると“士官と紳士”ですが、これだとそれが何を示唆しているか理解できる人はあまりいないでしょう。

実は映画の『An Officer and a Gentleman』は省略されたフレーズで、完全には【Conduct unbecoming an officer and a gentleman】です。
これはアメリカの軍法に当たる『統一軍事裁判法』第133条にある項目で、“士官・紳士に相応しくない行為”をすると罰せられることを規定する文言に由来しています。

つまり敵味方を問わず多くの人々の生殺与奪を司る士官には、同時に紳士(品格・規律・教養を兼ね備えた人格)であることが義務付けられており、本映画はそれをテーマとし、主人公が士官養成学校での厳しい修練と、自らの恋愛に於いて“父母と同じ試練”を乗り越えることで“士官であり同時に紳士である人間”へと成長を遂げる軌跡を描いた物語なのです。
そのことを理解した上で映画を見ると、劇中で展開するエピソードの一つひとつが、より味わい深いものとなるでしょう。
(ただ終盤、主人公の“親友の自殺”と“恋人との喧嘩別れ”、“因縁の鬼軍曹との決闘”の後から、すべてが円く収まるエンディングに至るまでの展開が余りに説明不足で、“それをどう乗り越えたかかこそが大事”なだけに、個人的にはかなり残念)


There are mountains in our way
行く手には幾つもの山々が立ちはだかっているけれど
But we climb a step every day
二人で這い上がってゆこう、日々一歩ずつ

“紳士”を貫くことは、辛いことでもあります。
主人公ザック(リチャード・ギア)の親友シドは“紳士”に目覚めたが故に、妊娠したかもしれない恋人を見捨てることができず彼女にプロポーズしますが、彼女は士官になることを辞めた彼の申し出を拒否、その後彼は自殺しています。
同じく“紳士”に目覚めつつあったザックも、それが故に親友の死に責任を感じ自暴自棄になって、鬼軍曹や恋人ポーラにさえ当たり散らしてしまうのです。

しかしザックがシドのようなことにならなかったのは、彼のことを本当に愛するポーラがいたからなのでしょう。
シドが亡くなった後の喧嘩別れのシーンでも、ザックが一人で取り乱しているだけで、彼女はひたすら彼を慰め愛を伝えています。
映画では、二人の再会は最後の“お姫様抱っこ”のシーンになりますが、時間を置いて冷静になった彼は彼女の愛を顧み“この人しかいない”と思ったのかもしれません。

【幾つもの山々】とは、きっと“そういうこと”なのかも? 



「愛と青春の旅だち」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 80's AC デュエット 幸せな愛 映画 アカデミー グラミー 

コメント

好きです、この曲!!

おはようございます。

「愛と青春の旅立ち」が映画タイトルでしたよね。
独身時代に好きだった映画の一つです。
リチャード・ギアの女性に対する考え方が変わっていきましたよね。名作映画だと思います。

エンディングに流れるこの曲が印象的でした。
この曲大好きです!!

岩手は朝晩冷えますよ。
15日の最低気温は、14度台でした。

ご自愛くださいませ。

2020.09.16  トリトン  編集

Re: 好きです、この曲!!

「愛と青春の旅立ち」のタイトルだけで+20点ぐらいありそうです。
この映画お好きだったのですね。
個人的にはリチャード・ギアの格闘技に驚きました。

「愛と青春の旅立ち」のタイトルにこの曲
しかも白い軍服でお姫様抱っこですから、たまりません。

秋は気温差が大きいので調整が大変です。
トリトンさんもご自愛くださいね。

2020.09.16  Beat Wolf  編集

こんにちは。

確かにタイトルだけで+20点ですね。僕は映画は観ていないのですが、調べたら原題は「士官と紳士」なのだそうです。ある解説によるとラブストーリーの様式を借りた「格差社会からの脱出」が真のテーマなのだとか。なるほど・・・・と感心しました。
そういうふうに見るとこの曲のタイトルも、今は不十分な青春や愛のカタチ(下界・・・・欲望や打算の場所)からあるべき場所(澄み渡る風が吹く所・・・紳士である場所)へ・・・・という意味なのでしょうね。

2020.09.18  忠      編集

忠さん

恐らく日本の多くの人は「士官と紳士」の本当の意味を知らないと思います。
そのことを知っていると知らないでは作品の印象が全然違うでしょう。
「格差社会からの脱出」が真のテーマかはわかりませんが
確かに主人公は荒れた暮らしから、士官というある種特権階級を手に入れます。

曲はエンディングのために作られたので映画全体を表していません。
むしろ映画とは別世界といえるかもしれません。

2020.09.19  Beat Wolf  編集

ハスキーなしわがれ声と独特の歌唱で多くのファンを惹きつけた「ジョー・コッカー」が亡くなってから5年を迎えようとしていますね。彼の最も美しい名曲「美しすぎて」がやはり感動的です!日本人が好むピアノ・バラードの名曲の最後の歌詞「You Are So Beautiful to me」は声がもうかすれ声・・!1ケ月前、久しぶりに映画「愛と青春の旅立ち」を見ました。「Up Where We Belong」(ジェニファーウォーンズとのデュエット)も泣ける名曲です。

2020.09.19  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

「美しすぎて」の熱唱からすれば、「Up Where We Belong」はかなり大人しく歌ってますね。
なので従来のファンからすれば物足りないだろうし
当初は本人も彼のレコード会社も乗り気でなかったようです。
だとしてもジェニファーとのデュエットは多くの人が感動したし
彼にとって一生の宝になったと思います。

2020.09.20  Beat Wolf  編集

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