I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「恋を抱きしめよう」ビートルズ

2020.10.15

category : Beatles & Solo

The Beatles - We Can Work it Out (1965年)

甘いだけ、辛いだけでないポールとジョンの対照性が融合したリアル・レノン=マッカートニー ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Lennon–McCartney /訳:Beat Wolf

僕の考えを理解しようとしておくれ
限界まで話し続けなければならないの?
君がその考えでいる限り
この恋は、じきに消え去る破目になるかもしれない

[Chorus]
二人なら、きっと乗り越えてゆける

君の言い分ときたら
間違った思い込みをしてなお、“問題ない”
それに対し僕の言い分は
ちゃんと理解し合って収めるか、おやすみするか

[Chorus]

[Bridge]
人生はとても短い
言い争い、けんかしてる暇なんてない
そんなの、罪とさえ思ってきた
だからもう一度、お願いだ


どうか、僕の考えを理解しようとしておくれ
正しいか間違っているか、教えてくれるのは時間だけ
君がその考えでいる限り
遠からず、二人はばらばらになってしまうかもしれない

[Chorus]
[Bridge]


[Chorus]
二人なら、きっと乗り越えてゆける




~ 概要 ~

「恋を抱きしめよう」は1965年12月3日にイギリスで発売されたビートルズ11枚目のシングルで、「Day Tripper」との“両A面シングル”という初めての形式でリリースされ、全英5週連続No.1に輝きました(1960年代で7番目に売れたシングル/ビートルズでは5番目)。
アメリカでは同年12月6日に発売され、1966年1月8日付のBillboard Hot 100で「恋を抱きしめよう」がサイモン&ガーファンクルの「The Sound of Silence」(過去ログ)から1位の座を奪い、翌週「The Sound of Silence」が奪い返すと翌々週「恋を抱きしめよう」が返り咲くという激しい攻防を展開し、計3週No.1(1966年の年間16位)を記録しています(「Day Tripper」も週間5位)。
本曲はオリジナル・アルバムには収録されず、ベスト盤『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』や編集盤『パスト・マスターズ Vol.2』などに収録)

独創が多いレノン=マッカートニーの作品に於いて「恋を抱きしめよう」は“リアル・レノン=マッカートニー”で、ヴァースとコーラスをポール・マッカートニーブリッジをジョン・レノンが創作しました(歌唱もこれに準じる)。
本曲は『ラバー・ソウル』のレコーディング・セッション中の1965年10月20日から、当時として最長の11時間近くを費やしレコーディングされていますが、ジョンがアコースティック・ギターとハーモニウム、ジョージ・ハリスンがタンバリン…という変則的な編成も興味深い所です。

また、「恋を抱きしめよう」は初めてプロモーション・ビデオ巻末の動画)が制作されたビートルズのシングルでした。
当時のビートルズの多忙は言うまでもありませんが、プロモーションのための番組出演(特にアメリカなどの海外)は大きな負担であり、予めビデオ映像さえ撮っておけば労せずして世界中で宣伝ができる…というわけです。
ただし本曲PVの演奏と歌は“ふり”だけで観客もいないせいか、主に映される2人以外(ジョージ・ハリスンとリンゴ・スター)は明らかにやる気がなく、貴重な映像が残される半面、彼らはその“便利さ”と引き換えにチームとして“大事な何かを失ってゆく小さな一歩”だったような気もします。


ビートルズとしてのライブ・パフォーマンスは1965年12月3〜12日に行われた最後の英国ツアーがありますが、現在動画は見当たりません。
ポールのライブでは1991年1月放送の『MTVアンプラグド』(この音源は『公式海賊盤』に収録)で披露され、以降も度々演じられています。

カバーで最も有名なのはスティーヴィー・ワンダーで、1971年にシングルとして発売し Hot 100の13位を記録しました(アルバム『Signed, Sealed & Delivered』)。
スティーヴィーは、ポールの『グラミー生涯業績賞』(1990年)や、ビートルズのエド・サリヴァン・ショー初演50周年を記念した『The Beatles: The Night That Changed America』のステージでポールを目の前に本曲をトリビュート演奏しており、ご記憶の方もあるでしょう。
また、ユニークなカバーといえばロック・バンドのディープ・パープル1968年のアルバム『詩人タリエシンの世界(The Book of Taliesyn)』に収録された「Exposition / We Can Work It Out」でしょう。
この作品はメドレー形式となっていますが、「Exposition」はベートーヴェンの交響曲第7番第二楽章とチャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」を取り入れたプログレッシブなインストルメンタル・ジャムとなっており、未聴の方は是非ご一聴!


 >
 



~ Story ~

Try to see it my way
僕の考えを理解しようとしておくれ
Do I have to keep on talking till I can't go on?
限界まで話し続けなければならないの?

…きっと女性は、“限界まで話し続けるのは当たり前”と言うでしょう?
人間関係が難しいのは、一人だと何でも自分の思いどおり決められるのに、二人になった途端、向かう方向が違った場合“一方が折れて他方に合わせる”か“妥協案で折り合う”か…
それとも“折り合わず別々の道を行く”か、シビアな選択を迫られることです。

この二人がどの選択へと向かおうとしていたか、およそお察しでしょう…。


Life is very short and there's no time
人生はとても短い
For fussing and fighting, my friend
言い争い、けんかしてる暇なんてない

ジョンが書いたフレーズで、下段でリズムが“ワルツ”に変わるアイデアはジョージによるものです。
このパートはよく“ジョンとポールの対照性(現実的/楽観的)”として語られることが多いですが、果たしてどうなのでしょう…。

歌詞をみる限り主人公は彼女との関係の継続に強い危機感を持っており、“君が改めてくれないと別れるしかなくなる”と訴えています。
【We can work it out】は“私たちはそれをやり遂げられる”ですが、彼はそれを楽観視して言っているのではなく、切実な願望を込めて【ask(請う)】しているように思えるのです。
このフレーズは主人公の友人である第三者(ジョン)が、主人公の言い分を補完して、あるいはカップル共通の友人として“早く仲直りした方がいいよ”と、諭しているような気がします。

一方で対照性を感じるのはメロディで、ポールのフレーズには“きっと上手くいく(願望)”ジョンには“改めるべき所もあるのでは?(内省)”のようなテイストを感じます。
何れにせよ、ジョンが創ったブリッジがとてもよいアクセントとなって全体をより趣き深くものにしていることは間違いありません。


 



~ Epilogue ~

「恋を抱きしめよう」の歌詞についてポールは“個人的なことだったかもしれない”と言及しており、それはこれまで「All My Loving」(過去ログ)や「And I Love Her」など、数々の彼の作品に着想を与えた恋人ジェーン・アッシャーとの関係を描いたものと解されています。
ポールはジェーンの家で彼女の家族と暮らすなど結婚も時間の問題と思われていましたが、一方でポールの“結婚したら家庭に”とジェーンの“結婚しても仕事(女優)を”というギャップを抱えていたともいわれています。
二人はポールの“We Can Work It Out”の言葉どおり問題を乗り越え1967年12月25日に婚約まで辿り着いたものの、1968年7月20日にジェーンが婚約破棄を発表し、数々の名曲を生んだポールとジェーンの恋は終わりを告げました(ポールの浮気が原因と言われる)。

その後ポールは、ビートルズ再生に絶望しスコットランドに引きこもった時もネズミの出る小屋で一緒に暮らしてくれる伴侶リンダ・イーストマンを得ました。
しかしポールは世界を飛び回るロック・スター、どんなに理想の妻が家で待っていてくれようと、自分が滅多に家に帰らなければ意味がありません。
そこで、ポールは一計を案じました…

 “ジョンのマネ”すればいいんじゃね!?  (※個人的想像です)

ビートルズ時代、公私混同でジョンがスタジオに恋人のヨーコを連れ込み勝手な創作活動をしていることを苦々しく思っていたポールも、いざ一人になってみると“ジョンのやり方”が極めて合理的であることに気づいたに違いありません。
レコーディングの時も、家に帰っても、世界の何処へ出掛けても、“いつも一緒にいられる”のです!
演奏経験もなく、いきなり“世界一注目が集まる男”のバンド・メンバーにされたリンダは、さぞ苦労したことでしょうが…。

Try to see it my way
どうか、僕の考えを理解しようとしておくれ
Only time will tell if I am right or I am wrong
正しいか間違っているか、教えてくれるのは時間だけ

ジェーンは1971年に別の男性と出逢い、3子に恵まれました。
2004年にポールとの関係を問われ、彼女は次のように答えています。
私は30年ほど幸せな結婚生活を送っています。その質問は侮辱です

想定とは違ったかもしれないけれど、案外みんな“収まるべき所に収まった”のかも…。 



「恋を抱きしめよう」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
関連記事
スポンサーサイト



tags : -60's フォーク・ロック 未熟な愛 ビートルズ(その他) 

コメント

こんばんは。
この曲は色々な方々がカヴァーされていますね。
異色なのはディープパープルかな?と思います。
個人的にはビートルズ世代ではないのでこの曲を知ったのはポールのアンプラグドでした。
カヴァー曲が多い中でこの曲のセレクトはポールの思い入れも強いのかな?と思いました。
因みに聞いた話しでは3回録り直したとか。

2020.10.14  blackmore1207  編集

blackmore1207さん

そうですね。
ディープパープルについては解説で少し触れます。

当時のポールの歌として屈指のヒット曲ですが
ビートルズ時代はごく一部しかコンサートで歌われていません。
ソロになってからはアンプラグドあたりからです。
この時この曲を選曲したのは「アンプラグドに合う曲」だからと、私は思っていました。

そうです、この曲はそれまでで一番時間がかかったようです。

2020.10.14  Beat Wolf  編集

はじめまして。
ビートルズは何回聞いても飽きません。
中学生のころ、ものすごくはまりました。

このブログ素敵ですね。とても素晴らしいです。
洋楽いいですよね。

2020.10.16  4season in Japan  編集

4season in Japanさん

はじめまして、ありがとうございます。
私も若いころはまって、今もこんなことしてます。(笑)
特にビートルズは文献が多く、いろんなこともわかって
おもしろいです。

2020.10.17  Beat Wolf  編集

ビートルズはラバーソウル以降中期から解散までの名盤50周年特集をやってきましたが、初期名曲特集はやっていないんですよね。オールディズ発売60周年特集を2016年頃にやってみようかな・・。でもその前に2022年でのデビュー盤60周年特集が先かな・・。ビートルズって「○○周年」が節目節目でサイクルを繰り返し、その都度盛り上がっていくので古い歌も若い世代に受け継がれていきますね!

2020.10.18  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんは今後も楽しみが尽きませんね。
でも私たちにとってアルバムは重要な概念ですが
デジタル配信が当たり前の世代はどうなのでしょう…
生前プリンスが懸念していましたが
時代はますますそんな風になっているような気がします。

2020.10.18  Beat Wolf  編集

コメントを投稿


管理者にだけ表示を許可する
 
PrevEntry |  to Blog Top  | NextEntry
プロフィール

Beat Wolf

Author:Beat Wolf
ジャンルを問わず音楽が大好き♪


参加ランキング
最新記事

全タイトルを表示
Artists
リンク
このブログをリンクに追加する
☆『相互』をご希望の方は、お気軽に♪
最新コメント
QRコード
QR

Copyright ©I Wish~洋楽歌詞和訳&解説. Powered by FC2 Blog. Template by eriraha. Photo by sozai-free 2000px.