I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ジャンク/シンガロング・ジャンク」ポール・マッカートニー

2020.11.24

category : Beatles & Solo

Paul McCartney - Junk / Singalong Junk (1970年)

ポールも自分を“Junk”と思うことがあるのだろうか…「Yesterday」に劣らない甘美と黄昏 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Paul McCartney /訳:Beat Wolf

モーター・カー
ハンドル・バー
二人乗りの自転車
悲しみに沈んだ記念祭

パラシュート
アーミー・ブーツ
二人用の寝袋
涙を誘うお祭り騒ぎ

[Chorus]
"Buy! Buy!"
煌びやかなショー・ウインドウは謳い
"Why? Why?"
がらくた置き場のジャンクは問い掛ける

Da, da, ya, da, da, da...

キャンドル・スティック
建築用のレンガ
古いもの、新しいもの
君と僕の想い出たち

[Chorus]
"Buy! Buy!"
煌びやかなショー・ウインドウは謳い
"Why? Why?"
がらくた置き場のジャンクは問い掛ける

Da, da, ya, da, da, da...




~ 概要 ~

「ジャンク」は1970年4月17日に発表されたポール・マッカートニーの1stソロ・アルバム『マッカートニー(McCartney)』の収録曲です。
ポールにとって4月10日の“ビートルズ脱退宣言”から僅か1週間でのソロ・アルバム発表となりますが、他の3人はそれ以前にソロ・アルバム(ビートルズとは別名義)を発表済みであり、メンバーの中で最も遅いソロ・デビューでした。

本アルバムのレコーディングは1969年12月1日- 1970年2月25日、つまりポールがまだビートルズ・メンバーだった時期に創作・録音されました。
1968年に“内部崩壊”していたビートルズが、“有終の美”を意識してメンバーが団結した『Abbey Road』を1969年8月に録り終えてなお、ポールはバンドの継続を強く願い続けていましたが、同年9月にジョン・レノンから“ビートルズ脱退宣言”を突き付けられ、その一縷(いちる)の望みも完全に断たれてしまいます。
失意のポールは暫くスコットランドに引きこもり、新妻リンダの助けによってそこから立ち直り、“覚悟”を決めてロンドンの自宅へレコーディング機材を運び込んで“一人による新たな道”を模索していたのが、この時期だったというわけです。


「Junk」は1968年、ビートルズが瞑想修業でインドへ滞在した際にポールが着想した作品であり、当時の仮タイトルは「Jubilee」でした。
『ホワイト・アルバム』のため同年5月にジョージ・ハリスンの自宅で録音された【Esher Demo】に、ポールがアコースティック・ギターで弾き語りしたデモが残されており、音源によるとこの時点で歌詞は未完成で、ビートルズの作品として公式に発表されることはなかったものの、【Esher Demo】の音源は1996年発売の『The Beatles' Anthology 3』で公開されています。

1970年にソロ名義で発表された「Junk」では、完成させた歌詞に、ポールによるベース・木琴・ドラムス、それとリンダによるバッキング・ヴォーカルを録音、オーバー・ダブしています。
ポールの作品として最も有名な「Yesterday」と比肩できる佳曲でありながら、殆どの国でシングルとして発売されておらず、“ビートルズを解散させた罪人”という当時のポールへの厳しい世評の影響もあったでしょう。
『McCartney』には「Junk」「恋することのもどかしさ」(過去ログ)など、ポールのキャリアに於いても彼の名に恥じない名曲が収録されているにも拘らず、評論家には“junk”と酷評され(『Abbey Road』のように磨き尽くされていないという類いの理由)、ヒット曲でないためベスト盤を通して後世に紹介される機会に恵まれず、ポールのコンサートで演奏されることも殆どなかったため、「Junk」は“一部のファンの心の中で温め続けられてきた名曲”といえるかもしれません。

2020年12月、1970年の『McCartney』、1980年の『McCartney II』(過去ログ「カミング・アップ」)に続くセルフ・プロデュース・アルバム第3弾『McCartney III』が発表されますが、果たしてどんな作品がちりばめられているのでしょう…。


 
 



~ Story ~

Motor cars, handle bars, bicycles for two
モーター・カー、ハンドル・バー、二人乗りの自転車

歌詞の大半が【Motor cars】や【bicycles】…といった一見脈絡なさそうな“物”の単語が並び、戸惑われるかもしれません。
しかしこれらの“物”が、タイトルである「Junk」と関連付けられているとしたらどうでしょう…
本作品は、そうしたさまざまな【junk(がらくた)】が運び込まれてくる【yard(置き場)】の情景を描いているといわれます。


"Buy! Buy!" says the sign in the shop window
"Buy! Buy!" 煌びやかなショー・ウインドウは謳い
"Why? Why?" says the junk in the yard
"Why? Why?" がらくた置き場のジャンクは問い掛ける

“店頭でスポットを浴びて飾られる新商品”と、“不要となり廃品置き場に打ち捨てられたがらくた”…
ジャンクだって、最初から使い古され、サビつき、壊れていたわけではありません。
ポールの見事な対比が作品に“哲学”を与え、“もののあはれ”を抱かせます。
…だけどそれは、“モノ”だけに課された宿命?

本作を発表した1970年当時ポール自身が置かれていた境遇にも、重なるものがあります。
60年代に煌びやかなスポットを我がものとしてきたビートルズが終わりを迎え、それに代わり得る新たな時代のヒーロー(レッド・ツェッペリン)も台頭し始めました。
加えて、強い絆で結ばれていたはずの“親友たち”からも“ジャンク”扱いされ、自信を失ったまま、ひとりぼっちで旅立たなければならない男の姿…。


Something old and new
古いもの、新しいもの
Memories for you and me
君と僕の想い出たち

一方、【for two】【for you and me】の表現も気になります。
対象をビートルズ、または盟友であるジョンを想定することも可能ですが、作品が着想されたのが“1968年”ということに着目すると、“別の仮説”も浮かんできます。

過去ログ「恋を抱きしめよう」でも言及しましたが、ポールは当時の恋人のジェーン・アッシャーと1967年12月25日に婚約を成立させています。
作品を着想した1968年のインド修業へはジェーンも同行しており、二人にとってこの旅は格好の“婚前旅行”であったことは想像に難くありません。
そんな幸せの最中で「Junk」を着想したというのも不思議な感じですが、奇しくも二人はインド滞在予定を途中で切り上げ、同年7月20日にジェーンが婚約を破棄しています。

もしそれが「Junk」の“核心”であったとしても、作品発表時の奥さま(リンダ)には“ナイショ”でしょうが…? 



~ Epilogue ~

「Junk」には、“もう一つの「Junk」”があります。

アルバム『McCartney』に収録されている「Singalong Junk」という、「Junk」のインストゥルメンタル・ナンバー
「Junk」からヴォーカルをカットしたものではない別録音による音源で、ポールがアコースティック・ギターとエレクトリック・ギター、ベース、ピアノ、メロトロン、ドラムスのすべてを演奏し、時間も2:36と少し長くなっています。
私はポールのヴォーカルが大好きなのでヴォーカルは絶対あった方がいいのですが、「Singalong Junk」は例外的で、「Junk」とどちらが好きか決めかねてしまうほど味わい深い演奏です。

1991年1月25日、ロンドンのテレビ・スタジオで収録された『MTVアンプラグド』にポールは当時のバンド・メンバーと共に出演し、「Singalong Junk」を披露しました。
この音源は同年5月発売のアルバム『公式海賊盤(UNPLUGGED (The Official Bootleg))』としてCD化されているので、ご存じの方も多いでしょう。

 

今回は“黄昏”好きの方のために、のんびりたそがれていただける音楽をご用意いたしました。
ごゆっくりお休みください…。



「シンガロング・ジャンク」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 70's フォーク 哀愁 アコースティック ポール・マッカートニー 

コメント

ポールのソロデビューといえば「アナザーデイ」のシングルやアルバム「ラム」そしか思い浮かびませんでしたが、初のソロアルバムは『マッカートニー』だったんですね。その6曲目にこんな曲が収録されていたとは・・。正直言って自分はポールソロ時代への勉強不足を自認しております。

2020.11.24  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

ずいぶん昔のことですからね。
でもそこは、あのポールマッカートニーです。
こんなに素敵な曲が含まれていました。
機会があったら聴いてみてくださいね。

2020.11.25  Beat Wolf  編集

こんにちは。

僕のような無知の者にも、素晴らしい楽曲とストーリーですね。
「がらくた」と見るか「骨董品」として見るか。僕は骨董品が好きですが、奥様はそれらを「がらくた」と言います。僕の部屋には古いカメラがありますが、それは先の戦争で戦死した叔父の遺品であり、それを捨てられなかった祖父母や両親の記憶でもあるんですね。
ありがとうございました。

2020.11.28  忠      編集

忠さん

その素晴らしさが分かる人は無知ではありません。
「がらくた」か「骨董品」の境界って難しいですね。
以前古いものを処分したとき意外なものが高く売れて驚きました。
でも本当に大切なものはお金で換算できません。
そのカメラは、それがわかる人に継がれて幸せです。

2020.11.28  Beat Wolf  編集

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