「すてきな Somebody」は、1987年6月に発売されたホイットニー・ヒューストンの2ndアルバム『ホイットニーII〜すてきなSomebody(原題;Whitney)』からの先行シングルです。 5月2日にリリースされると5月16日付け38位という高い位置で初登場、6週目の6月27日に4曲連続となる Billboard Hot 100 のNo.1(2週間/年間4位/All-time 264位)に輝いたほか、同日アルバム『Whitney』も Billboard 200 で初登場No.1を獲得しており、“Billboard 200の初登場No.1は女性アーティスト史上初”の快挙でした。 本曲は国際的にも14カ国でNo.1に輝き、全世界で420万枚を売り上げており、ホイットニーが亡くなった2012年(~13年)にも世界16カ国でチャート・イン、Hot 100 でも25位を記録しています(「I Will Always Love You」(過去ログ)も7位)。
作詞/作曲は Hot 100 でNo.1に輝いた「恋は手さぐり(How Will I Know)」に続いて、ジョージ・メリル&シャノン・ルビカム(…というよりボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)の二人、と言った方がわかるでしょう)。 タイトルに“Dance”とあるようにダンス・ナンバーで、プロデューサーはジェフ・ベックの『Wired』などの名演で知られたセッション・ドラマーのナラダ・マイケル・ウォルデン(Narada Michael Walden)。 彼は「How Will I Know」のプロデューサーでもあり、本曲では一世を風靡したリズムマシン・ローランドTR-808のを使用し80年代らしいサウンドに仕上げられています。 かなり色彩豊かなポップ・テイストのため、個性を期待した辛口の批評家には“How Will I Know II”と評されたものの、1988年の『アメリカン・ミュージック・アワード』ではジャネット・ジャクソン、マドンナを退けて“Favorite Pop/Rock Female Artist”、『グラミー賞』ではベリンダ・カーライル、バーブラ・ストライサンドを退けて“Best Pop Vocal Performance, Female”を受賞しました。
世界的大ヒットの陰には精力的なプロモーションの効果もあったようで、前年の『The Greatest Love World Tour』後半には発売前のアルバムから「Didn't We Almost Have It All」と共にステージで披露していました。 1988年6月11日、ホイットニーはウェンブリー・スタジアムで行われた『Nelson Mandela 70th Birthday Tribute』に参加、本曲をパフォーマンスしています。 このコンサートは 南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)反対/ネルソン・マンデラ氏解放のためスティーヴィー・ワンダー やエリック・クラプトン、ダイアー・ストレイツ、スティング、ジョージ・マイケル、ユーリズミックスほか83アーティストと72,000人の聴衆が参加し、世界70か国/5億人が視聴したといわれるビッグ・イベントでした。
近年、『Love, サイモン 17歳の告白(Love, Simon)』『ロマンティックじゃない?(Isn't It Romantic?)』など本曲を使用した映画が増えており、2018年にはホイットニーのドキュメンタリー映画『ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』予告編のイントロ曲としても使用されました。
しかし…本曲の“お楽しみ”は、これからです! ホイットニーの伝記映画が2022年11月24日に全米公開されることが既に決定しており、そのタイトルこそ『I Wanna Dance with Somebody(原題)』だというのです。 脚本は『ボヘミアン・ラプソディ』のアンソニー・マッカーテン、詳細はまだ不明であるものの、昨年12月の時点で制作側はホイットニー役として『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』ジャナ役を演じた英女優ナオミ・アッキーに出演交渉を行っていると(決定とも)報じられています。
~ Story ~
ホイットニー2曲目のNo.1「How Will I Know」は、作者であるジョージ・メリルとシャノン・ルビカムにとってそれまでのキャリアの中で最大の出来事でした。 そんなある日、アリスタ・レコードのクライヴ・ディヴィス社長から、ホイットニーの2ndアルバムのため「How Will I Know」のようなアップ・テンポの楽曲の提供を再び依頼されます。 二人は後に自らがボーイ・ミーツ・ガールとして Billboard の年間12位(1989)の大ヒットを遂げることとなるロマンティックなポップ・ソング「Waiting for a Star to Fall」の提供を試みますがOKが出ず、別の曲を求められました。
“僕らにとって、これは最高のものです。もしあなたがホイットニーのために望まないなら、ご連絡ください。僕らはボーイ・ミーツ・ガールのアルバムを制作中で、アルバムのためにそれを望んでいます” (「すてきな Somebody」はホイットニーに採用され、ボーイ・ミーツ・ガールのアルバムには未収録。このオリジナル・デモ音源は“ポップ/ロック調”で、1988年にレコード会社編集の企画盤『Number One With a Bullet』に収録された)
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