I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ニュー・ソング」ハワード・ジョーンズ

2021.04.05

category : Howard Jones

Howard Jones - New Song (1983年)

すべての友人に捧げられた“New Song”は、移ろう時代も変わらず惑う人々を励まし続ける。

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Howard Jones /訳:Beat Wolf

ずっと待ち続けていた
ここに来てこの歌を歌う、この時を
目に見えることに騙されちゃいけない
耳に聴こえることに惑わされてもいけない

これは、すべての友人に捧げる歌
内なる心と闘い
古い常識に挑み
長く立ちはだかった恐怖に
別れを告げるための


挫けず
アタマを柔軟に
両サイドを確認し
ココロを縛る鎖を解き放ってごらん



ヒップやクールなんて望まない
ルールにがんじがらめなんて、ゴメンだよ
人を蔑(さげす)み、冷ややかに笑う少数に支配され
希望のない群れに悩まされるなんて






~ 概要 ~

ハワード・ジョーンズは1983年にレコード・デビューしたイギリスのシンガー・ソングライターで、同年9月17日にリリースされた「ニュー・ソング」はそのデビュー曲です。
同シングルは全英3位となる大ヒット、翌1984年に US Billboard Hot 100 で27位まで上昇しました。

続くシングル「What Is Love?」も全英2位を記録すると1984年3月に1stアルバム『かくれんぼ (Human's Lib)』を発表、全英No.1に輝いた勢いは日本にも及び、同年9月には日本公演が実現しています。
また同アルバムについては、当時雑誌記者で後にペット・ショップ・ボーイズとして世界を席巻することとなるニール・テナントが、イギリスのポップ誌『Smash Hits』で“巧妙なフックとメロディックなポップソングを書く優れた才能、1970年代の本物のシンガー・ソングライターの歌詞を備えている”と評しました。

「New Song」の特徴はギターやベース、ドラムスといった基本的なバンド概念の楽器は用いられず、 Roland Juno-60 などハワードによる何種類ものシンセサイザーやキーボード類、ドラムマシンが多重録音されているところでしょう。
作詞・作曲もハワード自身ですが、メロディ・フレーズの一部にピーター・ガブリエルの「Solsbury Hill」との類似も指摘されています。
これについてハワードは“僕はずっとピーターの大ファンだったので潜在意識への影響はあるかもしれない。でも、意図的なものではないよ”と、2011年のインタビューで語っています。

“ピーターの影響”といってもう一つ思い浮かべるのが、PVに登場する“フェイスペイント”したパントマイム・ダンサーです。
このダンサーは Jed Hoile という人で、ハワードはデビュー当初のライブやテレビ番組のパフォーマンスでよく共演していました。

「New Song」は魅力的な別バージョンがあることも、特徴の一つです。
1984年11月にリリースした『The 12" Album』には、5:23に及ぶ本曲の「New Version」が収録されています。
また、2000年のセルフ・カバー集『Perform.00』には、それまでのイメージとは大きく異なるバンド演奏の「New Song 99」が収録されました。


 
 



~ Story ~

Don't be fooled by what you see
目に見えることに騙されちゃいけない
Don't be fooled by what you hear, whoa
耳に聴こえることに惑わされてもいけない

普通は“自分の目で見たもの・耳で聴いたことを信じる”でしょうか…
“常識とは逆”のように思える一方、ハワードは“とてもポップな曲だけど、歌詞は純粋な哲学だ”と語っています。

“自分の目で見たものを信じず何を信じる?”と言う方も多いでしょうが、人間の感覚は主観的で『錯覚』を起こし易く、下の動画をご覧になれば、私たちの視覚が如何に騙され易いか自覚できるでしょう。
これは『情報』を一面だけで捉えることの危うさを示しており、“別角度”または“複数から情報を得る”ことの重要性を教えてくれます。
近年のディープフェイク(deepfake)の精巧さを鑑みると、予備知識なく嘘と見破るのは困難なレベルにまで達していると強い懸念を覚えずにはいられません。


Amazing Optical Illusions


I don't wanna be hip and cool
ヒップやクールなんて望まない
I don't wanna play by the rules
ルールにがんじがらめなんて、ゴメンだよ

【hip】“今風の”と捉えるなら、まさに「New Song」のサウンドは当時“最新”でハワードのヘアスタイルは“流行”ですが、彼はそれを“望まない”と言っています。
この矛盾について、2019年にハワードが『ベストヒットUSA』に出演した際、小林克也が指摘すると、彼は“自分をどう見せるか、服装と髪型も含めてだけど、それは作品の一部なんだ。心の鎖を解き放ち、君らしくあれとメッセージを発するなら、自分もそうするべきだ。作る音楽や見た目、MVもすべてね”と語っていました。

つまりハワードは【hip】でもない、ルールにがんじがらめ【square】でもない“君らしくあれ”とメッセージを込めたのです。
つまらない格好【cool】なんかつけずに、と…。

 



~ Epilogue ~

ハワードはデビュー前、マンチェスターの王立北部音楽大学(Royal Northern College Of Music)に通った後、しばらく昼は工場で働きながら、夜はバーで演奏するという生活を送っていました。
PVの前半にはそんな彼の半生と重なるシーンが描かれていますが、私が特に“何か”を感じるのは“地下鉄駅構内のシーン”です。
スーツ姿の人の群れの中で、髪を逆立てカジュアル服のハワードが一人ぽつんと“異なる人種”に映るのは、当時の彼が実際に浴びていたであろう“(保守的な)社会からの視線”だったのかもしれません。

本当にやりたいと願い、それに十分な決意と根性があれば、きっと叶う

それが、ハワードがずっと待ち続け、伝えたかったこと。
彼は「New Song」を、“僕のマニフェスト(宣言書)”と呼び、その“哲学”を現在までずっと貫いてきました。

どんな人にもそれぞれの役割があり、それを正直に表現すればよいと思う。
僕の中にもシニシズム(皮肉な言葉)はあるけど、それを曲には入れ込まない。
僕が考える自分の役割は、今は辛くても、状況は必ずよくなると励ますこと…
人々に力を与え、運命を受け入れ頑張るよう励ますことなんだ



Don't crack up, Bend your brain
挫けず、アタマを柔軟に
See both sides, Throw off your mental chains
両サイドを確認し、ココロを縛る鎖を解き放ってごらん

“新しい人”は、その大切さを信じ
“古い人”は、その大切さを見失うことなく…



「ニュー・ソング」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 80's ニューウェイヴ シンセポップ 励まし 

コメント

こんにちは。
冒頭の歌詞は、映画「コンフィデンスマン、jp」のセリフのようでもあり、デカルトの有名な「我思う、ゆえに我あり」という名言のようでもありますね(もちろんこっちです!笑)。
ただそれだけではなく、ニーバーの祈りのような宗教的なニュアンスも感じます。こういうストレートな表現は確かに日本の音楽には少ないかもしれません。

2021.04.10  忠      編集

ハワードジョーンズは「ホワット・イズ・ラヴ?」くらいしか知らず全く勉強不足です。いつか特集を組んで踏み込んでみようかな~

2021.04.10  ローリングウエスト  編集

忠さん

歌詞を知らず聴いているとただのポップソングですが、歌詞を知っていると何倍も元気をもらえる歌だと思います。
ポップでわかりやすいことが重要で、ピンクフロイドのような暗くて難解な歌で励まされてもピンとこないでしょう?(笑)
この歌は主に若者を励ましていると思いますが、エラい人たちにとっては「怪しからん歌」かもしれません。

2021.04.10  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

それぞれ得意な分野を扱えば良いと思います。
何といっても70年代だけで魅力的な曲がいくらでもありますから。

2021.04.10  Beat Wolf  編集

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