「恋のアドバイス 」は、1965年8月6日に発売されたビートルズ5枚目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ヘルプ!(Help!)』の収録曲です。 本曲はビートルズ第2作目の主演映画『ヘルプ!4人はアイドル(Help!)』にも使用された楽曲であり、アメリカでは劇中で使用されたビートルズの7曲とケン・ソーン のインストゥルメンタルを含む映画の純粋な同名サウンドトラック・アルバムにも収められています。 世界的に本曲はシングルとしてリリースされておらず、1965年11月15日に日本で「Tell Me What You See」とのカップリングで独自発売されました。
「恋のアドバイス 」の作者は“レノン=マッカートニー”、実質的にはジョン・レノンの作品と解されていますが、ポール・マッカートニーは公式伝記『Many Years from Now』の中で“L60-M40”と主張しています。 ファルセットを用いたジョンのリード・ヴォーカルとポール&ジョージ・ハリスンによる“掛け合いコーラス”が絶品で、同アルバムの「Help!」と双璧といえるビートルズを代表する魅力的なコーラスです。 本曲でコーラスに劣らない“名脇役”を演じているのがリンゴ・スターの“ボンゴ”で、もしこれら2つの要素を欠いたら随分印象の異なる作品となっていたでしょう。
当時の彼らの状況はというと、1964年は“ビートルズ旋風”で11月までツアーに追われ、12月にはアルバム『Beatles for Sale』を発表…という目まぐるしさでした。 明けて1965年1月16日のメロディー・メーカー 誌のインタビューで、ジョンは“次回作(映画)のために半分しか曲を書いていない”と答えており、これでどうやって残り1か月で映画に使用する楽曲を作詞・作曲・レコーディングまで漕ぎつけるというのでしょう…。 ところが、彼らは1月25日から僅か2週間ばかりの休暇中に作曲、2月15日から20日まで僅か5日間でレコーディングを終えると(「You're Going to Lose That Girl」は2月19日午後のみ)、2月23日からはアルプスやバハマなど世界を飛び回る映画の撮影に入っているのです。
You're gonna lose that girl (Yes, yes, you're gonna lose that girl) あの娘を失うよ(そうそう、失っちゃうよ) You'll be the lonely one (You're not the only one) 君はひとりぼっちになる(男は君ひとりじゃないからね)
上は[Chorus]、下は[Verse 2]の歌詞を抜き出してみました。
作品は“I”が“you”に対し恋人“that girl”との関係をアドバイスし、それを後方から仲間(ポール&ジョージ)が囃し立てるように励ます形になっていて、邦題の「恋のアドバイス」は原題より気が利いています。 こうした作品概念は【モータウン・サウンド】を彷彿とさせ、特にビートルズもカバーしたドネイズの「Devil in His Heart」(過去ログ)やマーヴェレッツの「Please Mr. Postman」、あるいは有名なスプリームスの「恋はあせらず」(過去ログ)が浮かぶでしょう。
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