~ Lyrics ~ Writer(s): Enya, Roma Ryan /訳:Beat Wolf Eurus(東風) Āfer Ventus(アフリカの風) そして世界は回り巡る かつて、あなたが出あったすべてと共に それは告げている… 遥か空高く、カリブの青があることを もしも、誰もが語り得るすべてを言葉に表し 誰もがみな、真(しん)であるなら 信じてよいだろうか… 空高く、カリブの青があることを Boreas(北風) Zephryus(西風) もしも、あなたの語ったすべてが黄金に変わり あなたの夢みたすべてが、新(しん)であったなら 心に描いてみよう… 遥か空高く、カリブの青があることを [Outro] Eurus Āfer Ventus Boreas Zephryus Africus~ 概要 ~ エンヤはクラシックや教会・民族音楽など“古典的音楽”と、シンセサイザー&マルチトラック・レコーダーを駆使した“現代テクノロジー”を融合、多様な言語を交えるなど、それまでにない
不思議な“古新しさ/癒し” を与えてくれるアイルランドの女性歌手です。
出世作となった『Watermark』から3年、1991年11月4日に発表した3rdアルバム
『シェパード・ムーン(Shepherd Moons)』 は初の全英No.1をはじめ US Billboard 200でも合計238週間チャート・イン(最高位は17位)するロング・セラーとなり、全世界で1,300万枚のセールスを挙げました。
「カリビアン・ブルー」は『Shepherd Moons』からの先行シングルで、
Billboard Hot 100で79位 /全英13位を記録した作品で、日本では当時
『ジャワティストレート』のCM に起用されました。
作曲はエンヤ、
作詞 はプロデューサーのニッキー・ライアンの妻
ローマ・ライアン で、この3人による共作体制はデビューから最新作(2015年)まで全く変わっておらず、“エンヤ”という概念は彼女一個のものでなく、この3人による“ワルツ”と捉えるべきでしょう。
本曲ではエンヤが創作したメロディが【the Caribbean】を連想させたことから、ローマが「Caribbean Blue」と名づけたそうです。
エンヤといえば、音楽と共に高い芸術性を感じさせるのが
“絵画と実写を合成したミュージック・ビデオ” でしょう。
本作では、19世紀後半のイラストレーションの黄金時代を形成したアメリカのイラストレーターの一人、
マックスフィールド・パリッシュ (Maxfield Parrish)の絵画に基づいた視覚的なイメージを特徴としています。
彼が作品で用いる極めて美しく清澄な『青色』は
“パリッシュ・ブルー” とも形容され、本作MVで描かれる“精霊がブランコに乗っている一場面”は、とりわけその影響を感じさせます。
The Dinky Bird, an illustration from Poems of Childhood by Eugene Field (1904) エンヤはコンサート活動を行わない歌手として有名であり、本曲のテレビ出演はあるものの残念ながら何れも“口パク”で、これといった映像は見当たりません。
むしろ
『新たな発見』 は“アナログ音源”
で、僅かに揺らぎながら回転するレコードが醸し出すサウンドはCDよりずっと“まろやか”です。
『もう一つの発見』は、エンヤとイメージが似ても似つかないデボラ・ハリー(ブロンディ)
とも意外に合う(マッシュアップ)こと!
ファンなら、どの曲かすぐ思い当たるでしょう?
VIDEO VIDEO ~ Story ~ Eurus(東風) Āfer Ventus(アフリカの風) イントロからアウトロまで合間に入る耳慣れない言葉はラテン語で、多くは
ギリシア神話に描かれる“風の神(Anemoi)” たちです。
【エウロス】は東風の神、【ボレアース】は北風の神、【ゼピュロス】は西風の神ですが、本作では南風の神【ノトス(Notos)】が登場しません。
代わりに、下位のアネモイとしてアフリカ大陸の名の語源となった
南西の風の神【アフリクス(Africus)】 が登場しています。
これらが大西洋を越えたカリブ海地域とどのような関連があるかは不明ですが、“風”に重要な意味が含まれるのは間違いないでしょう…
独自エネルギーによる船舶・飛行機で遠くまで自由に行き来できる現代と異なり、神話の時代は“風”や“海流”次第でした。
果たして、本曲で風の神が導く世界とは…?
They say the sky high above それは告げている… Is Caribbean blue 遥か空高く、カリブの青があることを 【Caribbean blue】 というと、きっと多くの人は【青い空】【青い海】を思い浮かべるでしょう。
【blue】をgoogle先生に訊いてみると(画像検索)、[紺色][藍色]など“深い青”も多く含まれるのに対し、【Caribbean blue】だと
[水色][空色] が殆どで、【Caribbean blue】は
“明るい青” とイメージするのが一般的かもしれません。
一方、MVでエンヤが着ている服は“深い青”ですが、これは彼女の好みなのではないでしょうか…(彼女の黒髪と落ち着いた雰囲気は、“深い青”の方が断然似合う)
「Caribbean Blue」について私は
「Heaven Is A Place On Earth」(過去ログ) に似た概念を抱いていますが、
作詞者ローマ・ライアン は“すべての夢がそうであるように、私たちはそれぞれの理想に向かって手を伸ばしている。
「Caribbean Blue」はそんな夢を象徴している ”と言及しています。
それを知ってMVを見ると、作品に込められたメッセージがより理解できるでしょう。
「カリビアン・ブルー」エンヤ VIDEO ~ Epilogue ~ アイルランドのケルト神話には
『常若(とこわか)の国へ行ったオシーン』 の伝説があり、興味深いので以下にあらすじをご紹介します。
フィアナ騎士団の若き戦士オシーンはある日狩りに出掛け、黄金の髪の美女ニアヴと出逢い恋に落ち、白馬に乗って海を越え“水底の島”といわれる彼女の国
ティル・ナ・ノーグ(常若の国) で結婚、そこで暮らすことになります。
3年が経ち、彼が家族に会いたいと一時帰国を妻に相談すると、彼女は「
ここでの3年はあなたの国の300年に当たり 、もう家族はいない」と夫を押しとどめます。
それでも彼の意思は変わらず、ニアヴは
「決して馬から下りない」という条件 で白馬を貸し与え、オシーンは遂に帰郷を果たしました。
しかし妻の言葉どおり故郷に着いても家族や友人はおらず、見知った人さえ見つかりません。
仕方なく彼はティル・ナ・ノーグへ戻ろうとしますが、村人を助けようとして落馬してしまいます。
ニアヴとの
約束を破ったオシーンはたちまちにしわくちゃの老人となり 、二度と妻のいる常若の国へ戻ることは叶いませんでした。
おそらく多くの方が、日本の伽話『浦島太郎』を思い浮かべたでしょう。
何れも主人公が海の向こうにある
“常若の楽園”への旅 をし、不思議な体験をする物語です。
“衰退の季節(秋冬)”をもつ日本人が“常夏のハワイ”に憧れを抱くように、北海道より高緯度に位置する
アイルランドの人々が“Caribbean Blue”に憧れる であろうことは想像に難くありません。
夏の盛りを迎える日本の皆さんにも、“Caribbean Blue”の一涼をお届けいたします。
Sounds Of Caribbean Sea. 8 Hours of Sea Waves for Relaxation, Meditation and Sleep VIDEO 最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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