I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「レット・イット・ブリード」ローリング・ストーンズ

2021.09.04

category : Rolling Stones

The Rolling Stones - Let It Bleed (1969年)

ストーンズ全盛期のアブないタイトルと意味深な歌詞、普遍性ある充実した楽曲とサウンド ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Mick Jagger, Keith Richards /訳:Beat Wolf

[Verse 1]
人は皆、頼れる誰かが必要
もし君が望むなら、俺を頼ればいい
人は皆、頼れる誰かが必要
君が望むなら、俺をそうすればいい

[Bridge 1]
女は言った…この胸でよければ、いつでも開いている
あなたの疲れた頭を休めればいい
それに、このパーキングにはいつでも空きがある
あなたが、コークと共感を望む時

[Verse 2]
人は皆、夢みる誰かが必要
もし君が望むなら、俺をそうすればいい
人は皆、クリームを塗る誰かが必要
もし君が望むなら、俺をそうすればいい

[Bridge 2]
俺はスティール・ギターで暮らしを立てる夢を抱いてきた
お前が俺の健康を、香るジャスミン・ティーで乾杯してくれた時
だけどお前は、汚れて不潔な地下室で俺を傷つけた
荒み、色褪せたジャンキー・ナースと共に
あぁ、何て愉快な交わり…

[Verse 3]
人は皆、糧となる誰かが必要
もし君が望むなら、俺をそうすればいい
俺の手を取り、脚を取るがいい
だけどベイビー、頭は持ってかないで

[Verse 4]
人は皆、血を流す誰かが必要
もし君が望むなら、俺をそうすればいい
人は皆、熱い血を流す誰かが必要
もし君が望むなら、俺とそうしよう

[Outro]
楽しくやろう、馬乗りになって
熱い血を、俺にぶちまければいい…



~ 概要 ~

「レット・イット・ブリード」は、ローリング・ストーン誌『500 Greatest Albums of All Time』41位(2020年版)にも選ばれている、1969年12月5日にリリースされたローリング・ストーンズのオリジナル・アルバム『Let It Bleed』(UK;8th/US;10th)のタイトル曲です。
英・米ではシングルとしてカットされておらず、1970年2月1日に日本で独自発売されオリコンでシングル79位を記録しました。

作者はミック・ジャガーとキース・リチャーズで、1971年のローリングストーン誌のキースへのインタビューによると“タイトルは「Let It Be」(ビートルズ)の影響もあったかもしれない”と言及しています。
当初タイトルが決まらず、「Take my arm, take my leg」を経てミックが書いたフレーズの一行から「Let It Bleed」となりました。

1969年はストーンズにとって激動の年であり、同年6月にリード・ギタリスト/リーダーのブライアン・ジョーンズがバンドを脱退7月3日に急死、本アルバム発売の翌12月6日にもカリフォルニア州のコンサートで4人の死者が出る『オルタモントの悲劇』に見舞われました。
本曲のレコーディングは1969年3月9日~6月10日ですがブライアンは本アルバムにはギタリストとして演奏に参加しておらず、後任のミック・テイラーが加わる前だったためキースが一人でエレキ/アコースティック/スライド・ギターを担当するなど奮闘しています。
イアン・スチュワートの本アルバムでの演奏は本曲のみであるものの、全編に亘るそのピアノ・プレイの存在感は絶大で、これ1曲だけで“6人目のストーンズの面目躍如”といえる見事なプレイです。

「Let It Bleed」は1981年の北米ツアーのセットリスト曲であり、その1983年の音楽ドキュメンタリー映画『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』に収録されました。
1994〜95年にかけて行われた『ヴードゥー・ラウンジ・ツアー』でも演じられ、そのスモール・クラブでのアコースティック・セットとスタジオ・リハーサルを収めた1995年の“アンプラグド”アルバム『ストリップド(Stripped)』には、1995年7月3日にパリの老舗ミュージックホール・オランピア劇場 (L’Olympia)でのライブ録音が収録されており、本記事冒頭の動画の音源はここからのものです。


 
 



~ Story ~

And there will always be a space in my parking lot
それに、このパーキングにはいつでも空きがある
When you need a little coke and sympathy"
あなたが、コークと共感を望む時

意味深な歌詞は“スラング/メタファーだらけ”で、この2行が象徴的です。
【parking lot】は“駐車場”ですが【ass】のスラング、【coke】は[coke and]でより【cocaine】に聴こえるでしょう。
他にも【sympathy】とか【cream】【junky nurse】【bleed on】【get it on rider】…、アヤシイ言葉がまだまだあります。

でも結局、言いたいことはたった『二つ』!?
つまりは、『s●x』と『dr●g』…。


[Verse 2] Yeah, we all need someone we can dream on
人は皆、夢みる誰かが必要
[Bridge 2] I was dreaming of a steel guitar engagement
俺はスティール・ギターで暮らしを立てる夢を抱いてきた

本作は、『ヴァース;物語本編』と『ブリッジ;ドキュメント外伝』のような概念を感じます。
元々ストーンズのスライド・ギターというと初期からブライアンが取り入れ演じてきましたが、彼の脱退・死により事情が一変しました。
本アルバムにはスライド・ギターの名手ライ・クーダー(Ry Cooder)がゲスト参加しており、彼の美しい響きを放つ【オープンGチューニング】に魅了されたキースはアルバムで5曲スライド・ギターを演奏(キース本人もライ・クーダーから奏法を“パクった”と認めている)、本曲にも取り入れられました。

また、[Bridge 1]のようなエピソードはミックなら枚挙にいとまがない…? 


The Rolling Stones - Let It Bleed (Official Lyric Video)




~ Epilogue ~

Well, we all need someone we can lean on
人は皆、頼れる誰かが必要
And if you want it, you can lean on me
もし君が望むなら、俺を頼ればいい

1963年の“デビューから58年間転がり続けた Stones”の一人、ドラマーのチャーリー・ワッツが8/24に亡くなったことを既にご存じの方も多いでしょう(享年80)。
彼のバンド内での存在感と人物像をイメージしたとき浮かんだのが、「Let It Bleed」冒頭のスネアとこのフレーズでした。

チャーリーはデビューの僅か数か月前にバンドに乞われ最後に参加したオリジナル・メンバーですが、これまで60年近くに亘りほぼ全てのレコーディング作品とツアーに参加してきた“ストーンズの鼓動”であり、メンバーやファンらに愛され続けた人でした。
彼個人は元々ジャズ志向で“ストーンズが明日なくたって生きていける”、また有名な愛妻家で“家族との時間を大切にしたい”という考えの持ち主であり、21世紀に入ってからは癌などの健康問題もあって負担の大きいツアーへの参加について否定的で、引退を示唆する本人の発言や脱退の噂が何度も報じられてきましたが、メンバーやファンの強い要望に応えストーンズの活動を続けてきた歴史もあります。
そのチャーリーが最近手術を行い、自身の体調のせいでツアーの延期やキャンセルはしたくないと、9/26から予定される全米ツアーに参加できないことが決定し(代役はスティーヴ・ジョーダン)、心配していたファンもあったでしょう。


“ストーンズ” チャーリー・ワッツさん 日本メディア最後のインタビュー(2016年11月)

言うまでもなくローリング・ストーンズの“華”はミックとキースの強烈な個性であり、人々の多くは彼らに魅かれ集まってきます。
しかしチャーリーのドラミングは本人も“僕は彼(キース)のギターに従うまで”と公言するようにキースのギターと一体化したものであり、その重要さはキースの“チャーリーのドラムがなかったらバンドは成り立たない。チャーリー・ワッツこそがストーンズなんだ”の発言からも伝わってくるでしょう。
つまりストーンズは、キースという“暴れ馬”が放つ特異なエネルギーを、チャーリーという“名騎手”が巧みな手綱捌きによって誰も真似できないグルーヴへと転換させることで、稀代のロック・バンドへと進化を遂げることができたのです。

ストーンズは、本当に“かけがえのない一石”を失いました…
Charles Robert Watts の冥福をお祈りいたします。



The Rolling Stones - Let It Bleed - Live OFFICIAL

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1969年 Rock/ブルース 

コメント

こんばんは。
この曲が入ったアルバムはライブでも定番になっており初期の中では好きな1枚です。
しかしストーンズの歌詞をはある意味難解ですね。わざと伝わらないようにしているのか、60年後半から70分前半は反社会的な描写のものが多い気がします。ビートルズと違い当時はそれが戦略だったのか、周りと違った立ち位置だったのかも知れないですね(ビートルズも最後は難解でした)
因みにアルバムではMonkey Manも好きな曲ですが、これも上手く聴き手をはぐらかしている気もします。ある意味このアルバムが最後になったブランアンのことかも知れないですね。

2021.09.05  blackmore1207  編集

blackmore1207さん

いい曲が揃ってますよね。
曲作りを始めて数年、これだけの曲を作れたら楽しくて仕方なかったでしょう。

だって彼らの好きな言葉をそのまま書いたら全部「放送禁止」になってしまいますよ。(笑)
反社会的というより「反戦・反差別」だと思います。
だから若者たちは「ラブ&ピース」を訴え、ロックもそれが大きなテーマとなりました。
難解なのは当時の流行りもあったかもしれません。
普通「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は変な名前って思うでしょう。
それが流行りというやつです。(笑)
「Monkey Man」はどうなのだろう…
でも当時、ブライアンとキースはいろいろありましたからね。(笑)

2021.09.05  Beat Wolf  編集

こんにちは。

解説を読んでからと思ったのですがまだなので。
歌詞はなんだかんだ言ってますが、クスリで****しよう(コメントを読むと、戦争なんかくそっくらえ!)・・・・みたいな内容?(どうも不適切な文字があるようではじかれてしまいました!笑)

音楽はまだまだ素直なロックナンバーですよね。歌詞さえ気にしなければ初期?のビートルズなんかよりは洗練されていて僕はすきです。アメリカ的な単純さ(けして悪い意味ではありません)陽気さがあります。

2021.09.07  忠      編集

忠さん

ご推察のとおり「クスリで****しよう」な曲ですが、たぶん戦争は含まれていないと思います。
不適切な文字って「****」の部分なのでしょうね。
私ははじかれたことはありませんが、その4文字は使わないよう覚えておきます。
洗練はプロデューサーが変わったこともあるでしょう。
でも初期と比べたら、そりゃあそうですよ。
69年といえばアビイ・ロードを発表した年ですから。(笑)

2021.09.07  Beat Wolf  編集

チャーリーワッツに哀悼・・。ケーキのジャケットが印象的な「レット・イット・ブリード」は前作「ベガーズ・バンケット」と同様に彼らの傑作アルバムと称賛されていますね。ロック史に輝く古典の代表作、「無情の世界」はブライアン・ジョーンズのラストステージとなった「ロックンロール・サーカス」でも披露されていますが、やはり一番の押しは本アルバムに先駆けて発売されたシングル「ホンキー・トンク・ウィメン」かな!

2021.09.08  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうですね。
ストーンズのヒットを挙げたらきりがないですが、そうでない方がチャーリーらしいかなと選曲しました。
ただこの曲が目立たないということは、それだけ当時楽曲が充実していたことの証です。
ロックファンは楽しくて仕方なかった時代でしょうね。

2021.09.09  Beat Wolf  編集

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