I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ハーヴェスト・ムーン」ニール・ヤング

2021.09.10

category : Crosby, Stills, Nash & Young

Neil Young - Harvest Moon (1992年)

今夜、いい夢をみる前にちょっと踊りに出掛けませんか?ハーヴェスト・ムーンの明かりの下へ

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Neil Young /訳:Beat Wolf

ちょっと近くにおいで
伝えなきゃならないから聴いておくれ
まるで子どもが眠るように
二人で夢をみて夜を過ごすのもいいけれど
ごらん、今夜は満月だ
月明かりの中へ踊りに行こう
そこでは素敵な音楽も流れている
外に繰り出し、夜を味わおう

[Chorus]
だって、僕は今も君に恋してる
君の踊る姿をまた見たい
だって今も君に恋してる
このハーヴェスト・ムーンの夜に

二人が他人だった頃
僕は君を遠くから見守った
二人が恋人だった頃
僕は君をすべての心で愛した
この夜は更け
月はあんなに高い
だからお祝いしたい
君の瞳の中に輝く月を見ながら

[Chorus]



~ 概要 ~

ニール・ヤングは1966年にロック・バンド、バッファロー・スプリングフィールドでデビュー、これまでソロ・オリジナル・アルバムだけで40作を数え、他にも著名なCSNY(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)でも活躍するなど、1995年にロックの殿堂入りを果たし、ローリング・ストーン誌『100 Greatest Artists of All Time 34位』にも選ばれているカナダ出身のシンガー・ソングライターです。

「ハーヴェスト・ムーン」は1992年の19thアルバム『Harvest Moon』の収録曲で、シングルとしてはカナダで5位/イギリスで36位を記録しました。
“Harvest”というと、ファンの誰もが1972年のニールの代表作を思い浮かべると思いますが、『Harvest Moon』では『Harvest』に参加した多くのミュージシャンが再集結しています。
まず『Harvest』のレコーディングのためだけに結成されたバンド“ストレイ・ゲイターズ(The Stray Gators)”が本作のために再結成され、4人のうちケニー・バトレー、ベン・キース、ティム・ドラモンドが再参加、同じく『Harvest』に参加した“有名どころ”のジェームス・テイラーとリンダ・ロンシュタットが再参加しました。
『Harvest Moon』は『Harvest』(400万枚)以来実に20年ぶりとなる200万枚以上のセールスを記録、カナダのジュノー・アワードで『Album of the Year』(1994)に輝いています。

「Harvest Moon」の作者はニール自身で、ギターとバンジョー、ピアノ、パンプオルガン、ハーモニカも自ら演じているほか、本曲のバック・ヴォーカルにはリンダ・ロンシュタットが参加しています。
スティール・ギターの音色が非常に印象的ですが、むしろ本曲の本質を表しているのはドラム・ブラシが用いられていることで、その柔らかいストロークは月夜のやさしい静寂さの曲にはぴったりです。
ロマンティックでやさしい世界観に溢れる楽曲は女性にも人気で、いわゆる大御所的な歌手のカバーはないものの、youtubeにはプロ・アマ問わず女性によるカバーが多く見られました。


 
 


 
~ Story ~

Come a little bit closer
ちょっと近くにおいで
Hear what I have to say
伝えなきゃならないから聴いておくれ

この出だし、思わず私はさだまさしの「アレ」と重ねてしまうのですが…
本曲ではそういう“ネタ”は一切含まれていません! 

実は、本曲はニールの妻ペギ・ヤングに捧げられた作品であり、彼女本人もPVに出演しニールとダンスしています。
二人は1974年、彼女が牧場近くの食堂でウェイトレスとして働いていたときに出逢い、1978年に結婚しました。


Because I'm still in love with you
だって今も君に恋してる

もう一つ「アレ」と異なるのが“想定年代”で、「アレ」は“結婚前の若年世代”(その割に歌詞はジジ臭いですが)、本曲は“結婚後歳月を重ねた熟年世代”という点です(この時ニールの実年齢は47歳で結婚後14年が経過)。
それにも拘らず“僕は今も君に恋してる”と歌っているところが、本曲に多くの人が共感する所以であり、それが現実味があるかは兎も角、誰しも憧れとしてそうした境地を抱いているでしょう。

ここでも私が重ねてしまう“別のアレ”は、ニッカウイスキー『オールモルト』のCMです。
オールモルトは1990年に発売され、女優・中野良子“女房を酔わせてどうするつもり?”の台詞が話題となり、2005年には『ニューオールモルト』のCMで石田ゆり子によりこの台詞が再現されました(ここでのスタレビ「木蘭の涙」アコースティックver.も秀逸)。

 



~ Epilogue ~

On this harvest moon
このハーヴェスト・ムーンの夜に

本曲のタイトルである「Harvest Moon」は“収穫月”で、英語圏では“北半球の秋分(9月22日または23日)に最も近い満月”を表し、日本の『中秋の名月』とほぼ同義です(2021年は9/21)。
(※ただし満月は太陽・地球・月の位置関係で決まるが、中秋の名月は太陰太陽暦で決まるため、日付はずれることがある)

ニール・ヤングの“harvest(収穫)”へのこだわりは1985年、経営難に苦しむアメリカの小規模農家への支援基金を集めるために自らチャリティー・コンサート『ファーム・エイド(Farm Aid)』を主催したことが象徴しています。
同年世界的に話題を呼んだ『ライヴ・エイド』が一過性のイベントに終わったのと対照的に、ファーム・エイドは現在まで毎年のように開催されてきました。
しかしそんな強い信念に基づき長年継続されてきたチャリティー・コンサートも、今年は影を差しています…


ニール・ヤング、ファーム・エイドへの出演辞退を表明

2021年8月18日、ニールは9月25日にコネチカット州で開催が予定されている『Farm Aid 2021』への出演辞退を表明しました。
声明文の中で彼は、その理由として“コロナ・パンデミックの急速な拡大”を挙げ、その胸中を次のように明かしています。

俺が演奏するのを観て、もう安全なんだとは思って欲しくない。だから、君たちが安全だと思えるまで、または本当に安全になるまで、俺は演奏したくない。みんなが音楽を聴きたいから、友達と一緒にいたいから、という理由で、人が死ぬかもしれない危険を冒すのは、間違ってると俺の魂が言うんだ。ワクチンを接種した人でもコロナに感染し、コロナを広めるということが既に分かっているから、俺は子供たちのことを心配してる。ファームエイドの後、例えば両親がコロナに感染し、それに気付かないで子供たちにうつしてしまったら…既にあまりに多くの子供たちが入院しているから

ニールの声明を読むと、彼がコロナについての情報をよく勉強した上での決断であることが伝わってきます。
現在世界で流行しているデルタ株「感染力が当初比2-3倍/季節性インフルエンザの4倍」で「空気感染の可能性」があり、「ワクチンの感染予防効果が60%台」、「ワクチンを2回接種しても発症することがかなりあり」、「PCR検査の感度も約70%」であることを勘案すれば「多くの人を密集させるイベント開催により感染者・死者を出す危険性は十分予測でき」、人命を優先する人ならニールのような判断をするでしょう。

Neil Young - Harvest Moon
COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC

アメリカは9/10現在も一日17万人以上の新規陽性者/1777人の新規死者を出しており、政府のコロナ対策が適正であるようにはとても思えません。
その現状を鑑み、私はニール・ヤングの判断を全面的に支持します。



「ハーヴェスト・ムーン」


最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1992年 フォーク・ロック 優しい愛 月/星 

コメント

君の瞳に乾杯・・・・・とでも言いそうなラブソングですね!
やはり満月🌕の夜は狂気を誘うのでしょうか?笑)

昔、スーパーセッションが流行った頃?、CSN&YでSouthern Manを聴いていましたがそのNeil Yonngですよね。

2021.09.12  忠      編集

忠さん

そのNeil Yonngです。
でもSouthern Manを聴いていたなら、この曲はギャップを感じるでしょう。
まさにこの曲はそういうところがあるので、女性に人気があります。
「満月の夜に狂気」になるかは、人それぞれですが。(笑)

2021.09.12  Beat Wolf  編集

こんばんは。

今の生活にふと以前の穏やかな幸せな時間を思い出させてくれる曲ですね。
私は満月の夜に狂気どころか無になりそう。

今リピートして幸せな時間過ごしたい気持ちです。

ニールヤングのコロナパンデミックが理由という判断。

聡明な人なんですね。

いつも名曲ありがとうございます♪

2021.09.14  メロンボール  編集

メロンボールさん

たぶん幸せとは、季節の移り変わりを穏やかな気持ちで迎え、過ごせることだと思います。
しかし今の現実はコロナの感染状況に注意を傾ける日々の連続で、なかなか心を休めることができません。
でもお月さまは何処に行かなければ見られないものでなく、何処ででも見られることがよいところです。
あの穏やかなまんまる顔を見てるだけで心もほっこりしてくるでしょう?(笑)
しかしコロナパンデミックは、「安全を取り戻さない限り安心もありません」。
みんながニールのような行動をとればとっくに収められたはずなのに、もどかしいです。

2021.09.15  Beat Wolf  編集

ニール・ヤング「ハーベスト・ムーン」は過去に「月テーマ曲特集」で取り上げました。90年代でニールさんが月の歌でで復活していたんだと驚きました。1970年代初頭フォークロック「ハーベスト」に引っ掛けて再現したノスタルジア感が満載の癒し曲でしたね。そういえばジョージハリスンも「ヒア・カム・ザ・サン」に対比させ作曲した「ヒア・カム・ザ・ムーン」を70年代末期にリリースしていましたね。

2021.09.16  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんも月テーマ曲特集をやられていたのですね。
ジョージ以外でも洋楽は日本より月の曲が多い気がします。
80年代はどう見てもニール・ヤング向きの時代ではありませんでした。
ただ80年代後半辺りからベテラン再評価の動きがあり、多くの大物の復活がみられました。

2021.09.16  Beat Wolf  編集

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