I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「スーパースター」カーペンターズ

2021.11.01

category : Carpenters

Carpenters - Superstar (1971年)

スーパースターに恋をした女性の物語。想いを訴え掛けるサビとカレンのヴォーカルが切なさを誘う

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Leon Russell, Bonnie Bramlett /訳:Beat Wolf

ずっと昔、遠い過去
私は、あなたに心を奪われた
二度目のショーの前だった
そのギターの音色は甘く、澄んでいる
だけど、あなたはここにはいない
聴いているのは、ただのラジオ

[Chorus]
私を愛してると告白したこと、覚えていない?
あなたは、またここへ戻ると言ってくれた
Baby, baby, baby, baby, oh, baby
I love you...
あなたと会って、それを遂げたい

孤独とは、あまりに悲しい出来事
再び会えるのを待つなんて私にはできない
何と言ったら、あなたは戻ってきてくれるだろう
私のもとへ、再び
そして、その悲しいギターを

[Chorus]



~ 概要 ~

「スーパースター」は1971年5月14日に発売されたカーペンターズの3rdアルバム『Carpenters』からの3rdシングルで、Billboard Hot 100 の2週2位(年間30位)を記録した作品です。
5週No.1の「マギー・メイ」ロッド・スチュワートに阻まれた)
作者はレオン・ラッセルとボニー・ブラムレットで、レオンは他にも「ア・ソング・フォー・ユー」や「マスカレード (This Masquerade)」などをカーペンターズへ楽曲提供しています。

本曲のオリジナルは、作者の一人であるボニー・ブラムレットの夫婦を中心としたデラニー&ボニー(Delaney & Bonnie and Friends)が1969年にリリースしたシングル「Comin' Home」のB面曲として発表されたもので、当初のタイトルは「Groupie (Superstar)」でした。
ヴォーカルのボニーは白人女性ですが彼女は元アイク&ティナ・ターナー専属のヴォーカル・グループの一員であり、本曲の歌唱は黒人が歌ったものと区別がつかないほど本格派で、バック・コーラスもゴスペルのコール・アンド・レスポンスが取り入れられています。
1969年当時デラニー&ボニーはブラインド・フェイスのアメリカ・ツアーのオープニング・アクトを任されており、彼らの友人となったエリック・クラプトンが本曲でサポート・ギタリストとして参加しました。

デラニー&ボニー&フレンズ ver.のレコーディングにも参加していた女性歌手リタ・クーリッジは、1970年にジョー・コッカーのアメリカ・ツアーでレオン・ラッセルがバンド・リーダーを務めるバック・コーラスを担当、自身がソロを任されたコーナーで、当時すでに「Superstar」として知られていた本曲をステージで歌唱しました(ジョー・コッカーのライブ・アルバム『Mad Dogs & Englishmen』に収録)。
当時リチャード・カーペンターは本曲をまだ知らなかったものの1971年2月15日、アメリカの人気深夜トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』でレコード・デビュー前のベット・ミドラーが歌う「Superstar」を聴きカレンの声にぴったりの曲と思い、カーペンターズ ver.のきっかけとなっています。

1980年代に“ブラック・コンテンポラリーの第一人者”と称されたルーサー・ヴァンドロスは、1983年のアルバム『Busy Body』で「Superstar」と、アレサ・フランクリンが1973年に大ヒットさせた「待ちこがれて(Until You Come Back to Me (That's What I'm Gonna Do))」をメドレー形式でカバーしてR&Bシングル・チャートで5位を記録(Hot 100 は87位)、ステージでは女性ダンサーが“表現”に花を添えました。


 
 



~ Story ~

I fell in love with you
私は、あなたに心を奪われた
Before the second show
二度目のショーの前だった

主人公の女性は“一目惚れ”だったのでしょうか…
でもここからは、二人が会ったのは“一度きり”だったことを窺わせます。


You said you'd be coming back this way again baby
あなたは、またここへ戻ると言ってくれた

もし二人が普通の恋人同士なら、こんなことは言わないでしょう。
ただ相手がミュージシャンなら、ショーのために年中あちこちを転々としているのは常識で、彼らの恋愛事情は【Journey】の「時への誓い」からもわかります。
相手がスーパースターならアルバム発表に伴うツアーも数年毎になることも考えられますが、彼女は一体どれほど待たされていたのでしょう…。


Your guitar, it sounds so sweet and clear
そのギターの音色は甘く、澄んでいる
And play your sad guitar (Ooo)
そして、その悲しいギターを

そして、そのスーパースターはギターで人の心を魅了することのできる人物です。
ここで気になるのは、オリジナルのデラニー&ボニー ver.でギターを弾いている人物(前項参照)…
彼は“悲しいギター”を得意とし、現在も世界で最も有名なギタリストです。

彼をこのスーパースターのモデルとする言及はありませんが、この物語は彼の実像と重なるものがあるようにも思えます。


 



~ Epilogue ~

本曲に内包する本質は、オリジナルの「Groupie (Superstar)」を顧みるとよくわかります。

【groupie(グルーピー)】はロック・グループなどのあとを追い回す熱烈な女性ファン(主に10代の女性)を表す言葉で、日本語だと【追っかけ】に近い概念です。
カーペンターズが本曲のカバーに際し、リチャードは2番の歌詞の一部を以下のように変更しています。
(上段が「Groupie (Superstar)」、下段が「Superstar」)

And I can hardly wait to sleep with you again
再び共に寝るのを待つなんて私にはできない
And I can hardly wait to be with you again
再び共にあるのを待つなんて私にはできない

つまり【sleep with】を【be with】に変更したわけですが、【sleep with】は【have sex with】の比喩表現であることからカーペンターズのイメージを損ねるという判断により差し替えられたといわれます(カレンが抵抗感を抱いたという説もある)。
オフステージまで追い掛けるのは“音楽ファン”の域を超えており、グルーピーの中には“性的関係”が目的の女性もあるといわれ、ロック・スターにはこの手の“武勇伝”が絶えません。

こうした背景があるためか、カレンは当初この曲を歌うのに乗り気ではなかったものの、リチャードのアレンジを聴いてひっくり返るほど感動し、彼女のお気に入りの曲のひとつになったそうです(恐らくこの過程で歌詞も変更されたのではないか)。
そして、バック・ミュージシャン用にカレンが仮歌をただ一度録音したところ、彼女の歌唱があまりに素晴らしかったため敢えて録り直さず、そのテイクがそのままレコード化されたという逸話が残されています。


“約束したのに叶わぬ切なさ”は、万国共通です…
最後は、日本の名曲と共にお聴きください。


「会いたい」沢田知可子 (1990年) / 作詞:沢ちひろ 作曲:財津和夫



「スーパースター」

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1971年 AC せつない愛 

コメント

二人の美しいコーラスを中学~大学生時代までリアルタイムで傾聴しながら青春を過ごしてきました。カレンの究極の美声に彩られたバラードや名曲の数々にどれだけ癒されたことでしょう。RWが初購入した彼らのレコードは1970「遙かなる影」(close to you)でした。その後「愛のプレリュード」(We've Only Just Begun)、悲しみと憂鬱な気持ちを歌い上げた「雨の日と月曜日は」と立て続けに連続ヒットを放ち、この初期三大名曲が中学生時代のRWの脳裏に思い出深くクッキリと刻まれています。1970年代で世界的なヒット曲を続々と放ち、まさに文字通り「スーパースター」として君臨していきましたね。

2021.11.02  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうでしょう。
今となっては贅沢な時代でした。
近年は加工された歌声が多いので彼女の歌声は尚更そう思わせられます。
この曲は多くの歌手がカバーし素人も歌い易いですが、やっぱりカレンの声と表現力は格別ですね。

2021.11.03  Beat Wolf  編集

はじめまして^^

ブログランキングから来ました。
とても懐かしく聴かせていただきました。
当時は意味を考えずに聞いていましたが失恋の歌だったのですね。
加工なしの歌声いいですね。

2021.11.03  ふみ  編集

こんにちは。

何時聴いても、何度聴いても素晴らしいメロディー、ハーモニー、何と言ってもカレンの歌声です。特に低い声はまるでベルベットのような肌触りです。
でも歌詞にはギターが出て来ますが、アレンジにはギターの音は無いようですが(?)リチャードはあまりギターが好きではないのでしょうか?
ジャニス・イアンのstarsもこの頃でしたよね。starの光と影のような対照でしょうか。

2021.11.04  忠      編集

Re: はじめまして^^

コメントありがとうございます♪
失恋かは断定できませんが、少なくとも「長期間放置」された状況だと思います。
加工は作品によりけりで、でもこういう曲はあまりいじって欲しくないですね。

2021.11.04  Beat Wolf  編集

忠さん

そうですね。
わたしもカレンの歌声の魅力は低音にあると思っています。
確かに本曲はオーケストラとベースがメインですが、リチャード自身はピアニストですからね。
ただしオリジナルにはギターがあり、しかもこの上ない一流のギタリストが演奏していますのでお楽しみください。

2021.11.04  Beat Wolf  編集

好きです。カーペンターズ!!

こんばんは。
お久しぶりです。
「スーパースター」の詳しい解説ありがとうございました。
カレンがもっと長生きしていてくれたらあとどれくらい素敵な曲を聴けただろうか・・・と残念です。

私もカーペンターズの曲を聴きたくなりました。
おやっ?
忠さんは、ブロ友の忠さんかな?

山口百恵さんのコンサートで ”Sing”を彼女が歌ったのを憶えています。

ではまた。

2021.11.05  トリトン  編集

Re: 好きです。カーペンターズ!!

お久しぶりです。
もっと長生きしていてくれたらと思いますが、スーパースターは案外早く亡くなる人もありますね。
歌手にとっては歌を聴いてもらうことが最大の喜びなので、それがよい供養にもなると思います。
山口百恵さんのSingも聴いてみたいものです。

2021.11.06  Beat Wolf  編集

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