ダーレン・ラヴはローリング・ストーン誌【100 Greatest Singers of All Time 84位】(2008年)、【ロックの殿堂入り】(2011年)も果たしているアメリカの女性歌手です。
「クリスマス」は、1960年代を代表するプロデューサーの一人フィル・スペクターが自身のレーベル、フィレス・レコードに当時在籍していたクリスタルズ、ロネッツ、ボブ・B・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ、ダーレン・ラヴらを起用しクリスマスのスタンダード・ナンバーを編集したアルバム『クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィレス・レコード(A Christmas Gift for You from Philles Records)』の収録曲で、アルバム中唯一のオリジナル・ナンバーです。 ところが本アルバムが発売された1963年11月22日、アメリカ合衆国・第35代大統領【ジョン・F・ケネディ暗殺事件】が発生したためその年はクリスマスを祝うどころではなくなり、アルバムも、シングル・カットされた本曲もその混乱の中に埋没してしまいました。
アルバムは1972年にタイトルを『A Christmas Gift for You from Phil Spector』へ変更、アップル・レコードから再発売されると人気が高まり、同年12月に Billboard のクリスマス・アルバムのチャートで6位となりました。 その後1983年にイギリスで19位まで上昇、2018年には Billboard 200 で12位を記録するなど発売から50年以上経て人気を高めており、収録曲の殆どがスタンダード・カバーでありながらローリング・ストーン誌が【500 Greatest Albums of All Time 142位】と評したクリスマス・アルバムの名作です。
「クリスマス」の作者は、ロネッツの代表曲「Be My Baby」(過去ログ)を作曲したジェフ・バリー&エリー・グリニッチ夫妻とフィル・スペクターで、1963年のセッション時フィルは本曲をクリスマスに関係なく力のある楽曲と考え、歌詞とタイトルを変えた「Johnny (Baby Please Come Home)」をダーレンの歌唱でレコーディングしました。 ただ実際このバージョンは長年お蔵入りとなっており、フィル・スペクター1976年の『Rare Masters Vol. 2』とダーレン1977年のシングル「Lord, If You`re A Woman」UKリリースのB面としてようやく日の目を見ています。
1980年代になると本曲のメディア露出やカバーが多くなり、1984年には大ヒット映画『グレムリン』のオープニング曲に使用され、ダーレンも1986年から29年間、クリスマスの深夜トーク・バラエティ番組で本曲を歌い続けました。 1987年にはU2がツアーのサウンドチェック中に演奏したものが企画盤『A Very Special Christmas』に収録され、1994年には日本だけで280万枚売れたマライア・キャリーの『Merry Christmas』でカバーver.が収録されたので、恐らく日本ではオリジナルよりマライアver.の方が有名でしょう。 それ以降もマイケル・ブーブレ(2011年)はじめ新しい世代が続々カバーするなど愛され続け、今年2021/12/06付の Billboard Hot 100 でもダーレンver.が17位を記録、ローリング・ストーン誌は「クリスマス」を【The Greatest Rock & Roll Christmas Songs 1位】と高い評価を与えています。
~ Story ~
They're singing "Deck the Halls" 人々は「Deck the Halls」を歌ってる But it's not like Christmas at all だけど、全然クリスマスらしくない
「Deck the hall with boughs of holly」は“ファララ…”のフレーズが特徴のクリスマスに歌われる賛美歌で、日本では「ひいらぎかざろう」の邦題と日本語歌詞の童謡として親しまれています。 ハープやヴァイオリンで奏でられるウェールズの世俗的な新年のキャロル「Nos Galan」が原曲で、心が洗われるような美しさと晴れやかさが特徴です。
前項に貼った“淋しさをわかってくれる曲”もいいけれど、「Christmas (Baby Please Come Home)」の魅力は“淋しさを吹き飛ばせ!”なところです。 自分を奮い立たせ、他人を勇気づけるには相当なエネルギーが必要で、まさにダーレン・ラヴのパワフルな歌唱にはその力があります。 “それこそがロック”であり、ローリング・ストーン誌が数ある名曲の中から本曲を【The Greatest Rock & Roll Christmas Songs 1位】と位置付けたのもナットクでしょう。
…とはいえ、音楽はやっぱり“声を合わせみんなで歌ってこそ楽しい”と再認識させられるのが、アメリカの人気番組『レイト×2ショー』の名物企画【Carpool Karaoke】の映像です。 この企画ではホストのジェームズ・コーデンがスターと車中でトークしながら歌うというものですが、この日(2018年12月20日)は特別で、マイケル・ブーブレやカーディ・B、ポール・マッカートニー、ショーン・メンデス、バーブラ・ストライサンド、ミーゴス、アダム・レヴィーン、クリスティーナ・アギレラ、アリアナ・グランデらが「Christmas (Baby Please Come Home)」を歌い継ぐという豪華版! (肺の深くまで息を吸い、肺の深くから息を吐く歌唱を密閉空間・複数で行うのは通常の感染より重症リスクが高い。また、“よい子”のみなさんは映像のようなわき見・手放し運転はしないでネ)
大切な人が集うからこそ、より互いの感染に心を配り楽しいクリスマスをお過ごしください。
'Christmas (Baby Please Come Home)' Carpool Karaoke
コメントを投稿