I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ミッショナリー・マン」ユーリズミックス

2022.03.29

category : Eurythmics / Annie Lennox

Eurythmics - Missionary Man (1986年)

ユーリズミックスがマイケル・ジャクソンに並ぶ時代を超越した創作者であることを象徴する作品 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Annie Lennox, David A. Stewart /訳:Beat Wolf


そうね、私は生まれながらの罪びと
逃れられない原罪から生まれた
もしも私がこれまで犯した罪を1ドル札で数えたなら
顎まで積もる山となる

母は私に言った…善良で、強くあれ
自分に忠実であれば道を誤ることはない
だけど、一つだけ心しておくべきことがある
たとえ兄弟と間違いを犯したとしても…

[Chorus]
宣教師には手を出すな…

宣教師には神が味方し
後ろに聖人と使徒たちがついている
聖典から黒い目が見つめ
使命を抱く男は一心に伝道に励む

ジャングルに一人の女、木の上には一頭の猿
宣教師は後を追い、こう言った
“あなたのしていることを止め、跪きなさい
あなたの信ずるべき神のお告げがあるのです…”

Oh, yeah! Hey! Hey! Oh!


[Chorus]
宣教師には手を出すな…



~ 概要 ~

「ミッショナリー・マン」は、1986年6月30日にリリースされたユーリズミックスの5thアルバム『リヴェンジ(Revenge)』の収録曲です。
アメリカでは同年7月に1stシングルとしてカットされ Billboard Hot 100 で14位、本国イギリスは翌年2月の4thシングルで31位を記録しました。


作者はアニー・レノックスとデイヴ・スチュワートで、主な作詞者はアニー、作曲はデイヴと思われます。
デイヴは『Revenge』でサウンドの方向性をシンセポップからアリーナ向けなロック・テイストへの転換を試みており、U2の『Under A Blood Red Sky』やトーキング・ヘッズの『Stop Making Sense』などのコンサート・フィルムからインスピレーションを得たといわれます。
本曲はアルバムのオープニングを飾るリベンジ・ツアーの基軸となる楽曲であり、デイヴは“曲の冒頭でスピリチュアルな感じを出したかった”として、【Well I was born an original sinner】の歌い出しの前に、錬金術師がブルース、ロック、ブードゥー教の奇妙な醸造物を作っているようなギター、シンセサイザー、バックワード・ノイズ、ハーモニカをスパイラルさせたサウンドを創造し、“僕らのショーをもう一段階上のレベルに引き上げるのに最適な方法だった”と評しました。

レコーディングからワールド・ツアーまで“The Revenge band”と呼ばれる固定的なバンドが編成されており、本曲では特に Jimmy 'Z' Zavala のハーモニカと Joniece Jamison のバック・ヴォーカルが印象的でしょう。
こうした効果からか、ユーリズミックスは1987年の第29回グラミー賞で本曲により最優秀ロック・パフォーマンス賞(デュオ・グループ部門)を受賞しました。


「Missionary Man」はMTVで大々的に放送されるなどミュージック・ビデオとしての人気も高く、 1987年の『MTV Video Music Awards』で5部門にノミネートされました。
しかしこの年はピーター・ガブリエルの「Sledgehammer」やジェネシスの「Land of Confusion」など歴史的価値の高い作品が競合し、残念ながら本曲の受賞はなりませんでした。
本映像の一部で用いられたストップモーション・アニメーション(go motion)の手法は、「Sledgehammer」や1985年の a-ha「Take On Me」など80年代に流行し多くの名作を生みましたが、気の遠くなる程の手間とコストのかかる“コマ撮り”はその後“CG”に取って代わられ、今日に至っています。


 





~ Story ~

You can fool with your brother
たとえ兄弟と間違いを犯したとしても…
But don't mess with a missionary man
宣教師には手を出すな

本歌詞について、作詞者のアニーは“過去の経歴から、私にとって明らかに個人的な意味がある”と語っています。
アニーは1984年にクリシュナ教の宣教師のドイツ人と最初の結婚・翌85年に離婚しており、“「Missionary Man」はクリシュナ教徒と私のちょっとした悪戯に関係している”と、1991年にQ誌で告白しました。
クリシュナはヒンドゥー教で最も人気のある神であり、歌詞中にある【those Bible books】は“ヒンドゥー教の『マハーバーラタ』などの聖典”、【Black eyed】もサンスクリット語の“黒い(人)”を語源とする【Krishna】を指すものと想像します。

アニーはクリシュナ教について、ユダヤ教のような他の原理主義的な宗教と非常によく似ていて、古い時代に戻ることを望み、社会がどう思うかを気にせず、ただ自分たちにとって正しいことをしようとする所が好きと語っています。
ちなみに、1988年に再婚した二人目の夫は映画監督ですが、やはりイスラエル人だったというのは偶然でしょうか…。


He said, "Stop what you're doing, Get down upon your knees"
彼はこう言った…“あなたのしていることを止め、跪きなさい
"I've a message for you that you better believe"
あなたの信ずるべき神のお告げがあるのです”

宣教師は故郷から遠く離れた地球の裏側にまでやって来て、神の教えにより人々を苦しみから救おうとしてくれる奇特な人々ですが、いくら何でも文明社会を捨ててジャングルで暮らす人や、猿にまで…?
何かのメタファーの可能性もあるものの、“誰かへの皮肉”のようなものも感じます。

アニーは“メディアや政治家、宗教家や哲学者ら、他の人々に対し何らかの権力を持とうとする人たちにとってそこに大きな取引が含まれていて、私は鵜呑みに信用しない”と言及し、“何でも答えを教えてくれる人には気をつけるべき”とも語っています。
それらは何れも『神・公・真理』の看板を掲げ、“正誤を証明するのが困難なもの”を扱い、“人々の不安心理を煽るほど求心力(権力)を増す”概念であり、取引の成果とは“カネと支配力”でしょう。

すべてがそうであるとまでは言いませんが、熾烈な権力争いを勝ち抜いた者ほど『神・公・真理』の看板とはかけ離れた概念(カネと支配力)に魅入られ易いものです。
個人として騙されないために、社会を誤った方向に向かわせないために、心しなければなりません。



Eurythmics, Annie Lennox, Dave Stewart - Missionary Man (Peacetour Live)

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪

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tags : 1986年 Rock/ソウル 恋のアドバイス グラミー 名作MV 偉大な歌手 

コメント

ユーリズミックスは80年代を代表するサウンドであり。ファッションもカルチャークラブと比肩する先進的な中性的雰囲気を持っていました。いつかこのグループも紹介しなければと昨年ベスト盤を購入したのですが、まだ全く整理がついていません。今年も○○50周年というパターンで1970年代初頭のアーティストばかりの掲載に終始して80年代は思い出したようなタイミングになりそうです。(苦笑)

2022.03.30  ローリングウエスト  編集

こんばんは。
この頃のユーリズミックスは好きで特に「リヴェンジ」は一番聴いたアルバムでした。
ちょうどこの頃アニーレノックスは離婚と再婚を繰り返していたようでその辺りがどの曲にも歌詞内容に現れているみたいですね。
この曲は当時の夫(聖職者)と離婚を題材にしたのではないと思います。
この時の来日公演にも行きましたが「ミラクル・オブ・ラヴ」がアンコールのラストで演奏され、静かに幕を閉じる構成になっておりとても良かったです。
因みに「ミラクル・オブ・ラヴ」は新たな出会いが題材のようですね。

2022.03.30  blackmore1207  編集

こんにちは。

ボーカルのアニー・レノックス?はまるでSF映画に出て来そうな容姿ですね。それにしてもこんなところにもキリスト教が出てくるのが凄い。意味深な歌詞は解説を待つとして、僕はこの2週間で原罪という言葉に出会ったのは2回(「戦場の掟」というノンフィクション作品(この本はキリスト教の原罪とは関係なくアメリカのイラク戦争ですが)とこの曲)であり、今日見てきた映画「ベルファスト」は北アイルランドにおける宗教間の対立でした。もちろん全てではないことは承知していますが、蛇がイブをそそのかして知恵の実のリンゴを食べた原罪から人間の不幸が始まったと本気で考えている人がいるのか・・・・と少し心配になりました。
宣教師だって人間には違いないでしょうからあんな女性に口説かれたらひとたまりもないと思いますが・・・・

2022.03.30  忠      編集

ローリングウエストさん

それぞれのペースでやればいいと思います、70年代にも多くの名歌手がいますから。
冒頭ではマイケルと比べましたが、デヴィッド・ボウイの方が近いかもしれません。
際立った個性を持つ一方、マイケルのように必ずしも万人向けではありませんから。

2022.03.30  Beat Wolf  編集

blackmore1207さん

ネタバレを含むため、コメント公開は少しお待ちください。
「ミラクル・オブ・ラヴ」はこの曲と正反対ですね、いろんな意味で(笑)。
誰しも喜怒哀楽の感情はあるものですが、同じアルバムにこれらが同時に入っているというのは…
とても興味深いことです。
一般的に最後は「ミッショナリー・マン」で終わった方が盛り上がると思いますが、「ミラクル・オブ・ラヴ」を選んだということは、アニーにとって特に思い入れのあるからなのかもしれませんね。

2022.03.30  Beat Wolf  編集

忠さん

SF映画ってアレですね(笑)。
それは宗教で最大のタブーでしょう。
それを信じないとなると、神を信じないのか、となります。
それは個人の自由として、それが争いの原因になってしまうのは…。
ベリーショートにすると美人は際立ちますね。
もっとも、少し前彼女は丸坊主でしたが。(笑)

2022.03.30  Beat Wolf  編集

ユーリズミックスは

大好きなんです。本曲が収録されている「リヴェンジ」もバンド色が強い作風で私好みでした。本曲は当時人生いろいろだったアニーと、もろにシンクロしていたと思わせつつ、実はもっと意味深な何かが込められていたのでしょうか?

2022.03.31  YOU NO IT NAME  編集

Re: ユーリズミックスは

そうでしたか、それは幸いでした。
確かに彼女は人生いろいろでした。(笑)
追記ではそうしたところも掘り下げる予定です。

2022.04.01  Beat Wolf  編集

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