I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「バースデイ」ビートルズ

2022.06.03

category : Beatles & Solo

The Beatles - Birthday (1968年)

“1/365の出逢い”は偶然、それとも運命?でも誕生日にそれが起きればこのテンションも納得 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Lennon–McCartney /訳:Beat Wolf

君の誕生日だって?
何と、僕もそうなんだ
君も誕生日だって?
一緒に楽しい時間を過ごそう
君が誕生日でうれしいよ
Happy birthday to you!

One, two, three, four, five, six, seven, eight!
そうさ、一緒にパーティーしよう…

君とダンスしたいな (Birthday)
この機会に是非!(Birthday) 
君と踊りたいんだ (Birthday)
ダンスを…さぁ!(Come on)

君とダンスしたい (Birthday)
この機会に是非! (Birthday)
君と踊りたい (Birthday)
Woo, dance! Dance!

君の誕生日だって?
僕も誕生日なんだ
君も誕生日だって?
一緒に楽しい時間を過ごそう
君が誕生日でうれしいよ
Happy birthday to you!



~ 概要 ~

「バースデイ」は、イギリスで1968年11月22日に発売されたビートルズの9thアルバム『ザ・ビートルズ(The Beatles)』(俗称『ホワイト・アルバム』)に収録された作品です。

作者とリード・ヴォーカルは主にポール・マッカートニーで、レコーディングは1968年9月18日に行われていますが、当日作業を共にしたアシスタント・プロデューサーのクリス・トーマスによると“その日はポールが(スタジオへ)一番最初に来て、「バースデイ」のリフを弾いていた。やがて他のメンバーが到着するまでにポールは曲を(概ね)書き終えていた”と言及する一方、当のポールは“ジョンと僕が 50-50 即興で創った”と、事実関係が分かれています。
更に、メンバーが担当した楽器についても見解が割れており、音楽評論家のイアン・マクドナルドは2005年の著書で“リード・ギターはジョンとポール、ベースはジョージ・ハリスン”、2018年のボックス・セット『The Beatles:Super Deluxe Version』によると“ベース&ピアノがポール、ギターがジョンとジョージ”、驚くのは1979年の書籍『ビートルズ・サウンド』で“いちばん高いパートのギターはエリック・クラプトン(と思われる)”と言及されていることです。

「Birthday」のベーシック・トラックは4トラック・レコーダーで20テイク録音され、第19テイクを8トラック・レコーダーに移し替えたのち、当時ジョージの恋人パティ・ボイドとジョンの愛人であったオノ・ヨーコのバック・コーラス、ロード・マネージャーのマル・エヴァンスとリンゴ・スターによる手拍子などが追加されました。
ジャム・セッションに近いラフなサウンドに於いて異色なのが“壊れたチェンバロのような不思議な音”で、これはポールによるアップライト・ピアノの演奏をレスリー・スピーカーに通し録音したもので、内蔵されたローターと呼ばれる音の出口が物理的に回転することによってドップラー効果を生み、独特な揺らぎを伴ったサウンド効果を発生させています。

「Birthday」はビートルズとしてのライブ演奏はありませんが、ポールが1989年9月から行ったワールド・ツアー(通称ゲット・バック・ツアー)で披露され、それらを収録した1990年のライブ・アルバム『Tripping the Live Fantastic』に収録、本曲はシングル・カットされ全英シングル・チャートで最高29位を記録しています(この映像は本記事最後へ)。
2010年7月7日、ポールはリンゴの70歳の誕生日に行われたバースデー・ライブに飛び入り参加し、ジョー・ウォルシュほか豪華なメンバーと共にリンゴとの共演を披露しました。
ポールの70歳の誕生日である2012年6月18日、ポール・ウェラーのカバーした「Birthday」がその当日だけ配信され、UKシングルチャートで64位を記録しました。

日本では2015年の『Out There! Japan Tour』の追加公演、4月28日の日本武道館のアンコールで「Birthday」が演じられています(ドーム公演では演奏されなかった)。
またフジテレビ系『志村けんのバカ殿様』にも長年使用されていたので、国内では意外な層も本曲に耳馴染みがあるでしょう。

 
 



~ Story ~

Happy birthday to you
誕生日おめでとう!

【Happy birthday to you】のフレーズといえば、日本でも誕生日を祝う歌として英語のまま歌われる“あの歌”を思い浮かべるでしょう。
“あの歌”とは勿論、1893年にアメリカ人(ヒル姉妹)が作曲した「Good Morning to All」を替え歌した、“世界で一番歌われている(英語の)歌”としてギネス・ワールド・レコーズにも記された「Happy Birthday to You」です。

バリー マイルズ著『Many Years From Now』によると、「Birthday」作曲の理由の一つとしてポールは“クリスマスや誕生日にちなんだ曲があると、それがいい曲であればその日は引っ張りだこになるから曲の寿命も延びるし、そういう思いが少しあった”と告白しており、『二匹目のどじょう』の下心もあったようです。

一方、ジョンは1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで“ポールは50年代のヒット曲の「Happy, Happy Birthday Baby」みたいな曲を書こうとしていたんだと思う”と、言及しています。




They say it's your birthday
君の誕生日だって?
Well, it's my birthday too, yeah
何と、僕もそうなんだ

「Birthday」のレコーディングは、『それまでなかった環境』の下で行われています。
それまではプロデューサーのジョージ・マーティンの下でスタジオ内での“公私の区別”によりレコーディングが運営されていましたが、『ホワイト・アルバム』でマーティンはメンバーによって事実上そうした指揮権から遠ざけられ、マネージャーのブライアン・エプスタインも1967年8月27日に亡くなってしまったため、この時点で音楽界で名声を極めたビートルズをコントロールできる存在はありませんでした。

上記したように「Birthday」では、プロのミュージシャンでもないメンバーの恋人と愛人がバック・コーラスで参加したり複数の友人らがスタジオ内に出入りしており、ポールによると“普段は友達を呼んでセッションをすることはなかったので、とても珍しいことだった”と語ってしています。
更にポールは“そのうちの一人の誕生日だったんだ。誰だったか覚えていないけど”と言及しており、「Birthday」はそうした経緯から生まれた作品でした。


Yes, we're going to a party, party
そうさ、一緒にパーティーしよう…

ジョンがリード・ヴォーカルを執るブリッジは、恐らく彼の作詞作曲によるものでしょう。

パーティーが実際に行われたかはわかりませんが、「Birthday」のレコーディングが行われた1968年9月18日は、夜9時からメンバー全員の大好きな1956年のコメディ映画『女はそれを我慢できない(The Girl Can't Help It)』のテレビ放送予定があり、当日はいつもより早い午後5時からセッションを開始し8時半まで行い、みんなでポールの家に移動し映画を楽しんだ後、再びスタジオへ戻って作業を続ける…というスケジュールが立てられていました。

なぜビートルズが揃って映画『女はそれを我慢できない』を大好きかというと、表題曲「The Girl Can't Help It」を歌っているリトル・リチャードや、ファッツ・ドミノ、エディ・コクラン、ジーン・ヴィンセントら多数のミュージシャンが劇中でパフォーマンスしているからです。
彼らの曲はビートルズも数多くカバーするほど与えた影響力が大きく、「Birthday」についてもポール本人が“リトル・リチャード「Lucille」の【do-do do-do do-do do-do】のリフをロイ・オービソンが「Oh, Pretty Woman」で少し変えたように、僕らも同じように変えて使った”と告白しています(…というか、言わなくてもみんなそう思ってる)。

 



~ Epilogue ~

Happy birthday to you
誕生日おめでとう!

1942年6月18日生まれのポールは、間もなく80歳を迎えます。
後に“ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家”としてギネス認定されることになる彼の両親は綿花のセールスマン/看護婦と、必ずしもその未来を予測させる生育環境ではありませんでした。
ただ彼の父ジェイムズは素人ながらジャズ・バンドでピアノとトランペットを担当し、自宅にもそれらが備わっていたため父からレッスンを受けたことはあったものの、何れも長続きしなかったそうです。

転機は1956年6月18日、ポールの14歳の誕生日に父からトランペットをプレゼントされたことで、しかし“吹きながら歌うことができない”と気づいた彼は店でそれをギターと交換してしまうのです(この時点では“してしまう”だが、些細なことながら、彼がこの選択を取らなかったら彼の未来は全く異なるものとなっていたに違いない)。
更に同年10月に母メアリーを病気で亡くした悲しみが彼をギターとロックにのめり込ませ、翌57年7月6日にウールトンのセント・ピーターズ教会でジョンと出会い「Twenty Flight Rock」などでジョンにその実力を認められ“運命の歯車”が回り始めました。
しかし1960年11月、ビートルズのハンブルク・ツアーでポールがボヤ騒ぎを起こし国外退去処分となっててしまい、これに嫌気がさした彼はトラック運転手の助手として働き始めています。
するとそんな彼に対し相棒のジョンが“来るか出ていくかどっちかにしろ”と叱咤激励し、結果としてポールはビートルズに留まる道を選択しました。


14歳の時にギターを弾き始めたポールが、その何年後かに世界一の人気者となり、80歳になってもステージに立って歌い続けているなど想像もしなかったでしょう。
こうしてざっと振り返っただけでも、彼の築いた類稀なる成功は周囲の人との関わりや、彼自身による紙一重での適切な選択があってこそのものだと痛感させられます。

同じ成功を手に入れながら80歳を迎えられなかったジョンとジョージ…
彼らの分まで、リンゴとポールには一日でも長く元気でビートルズを伝え続けてほしいと願っています。



Paul McCartney - Birthday

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1968年 ロック エキサイト 誕生 ホワイト・アルバム 

コメント

こんにちは。

基本はブルースの定型的なコード進行から始まりますが、どうも映画の主題歌のようになります。しかし転調しても曲調は変わりません。
まぁ~即興で作ったナンパ曲という感じでしょうか。こういう時には定型的なコード進行はあてにできますから。

2022.06.05  忠      編集

この曲はフェイスブック繋がりの友達に、誕生日祝コメント代わりに毎回ユーチューブ投入で使わせてもらってます。永遠に人気が続くレジェンド曲の一つです。

2022.06.05  ローリングウエスト  編集

こんばんは。
一説によるとリンゴの誕生日について書かれた曲らしいのですがどうなんでしょう?
またヨーコとパティも参加しているとか?
謎が色々と多いホワイトアルバムですね。

2022.06.05  blackmore1207  編集

忠さん

そうですね。
でもかっこいい人は人並な服を着てもかっこいいように、定型的なコードも誰が演じるかによって全く別物になります。
ナンパなら特に!(笑)

2022.06.05  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

本人もそのつもりで書いたものだし、そうあってほしいと思います。
しかもこの曲を知らない人だと反応が面白そうです。
ただ日本では意外と知ってる人が多いかもしれません。

2022.06.05  Beat Wolf  編集

blackmore1207さん

リンゴの誕生日については初耳ですが、パティの声は分かりませんが歌声は明らかにヨーコの声ですね。
…というか、ビートルズほど関連本の多いスターはないでしょう。
wikiもほとんどの曲について説明されているし。
ただこの曲は肝心なことはわかりません。

2022.06.05  Beat Wolf  編集

知名度の高い曲

綴られている通り、映画を観て、往年のロックンローラーに触発されたポールがスタジオに戻って、一気に仕上げたそうですね。このギター・リフは一度聴いたら耳に残ります^^ 全くの余談ですが、数年前に観たファンタジー・コメディ映画の『イエスタデイ』では、ジョンが違うカタチで生きていて、それでもちょっと皮肉屋っぽく主人公を接するシーン...なんか良かった。

2022.06.08  YOU NO IT NAME  編集

Re: 知名度の高い曲

昔は直感的な作品が多く、理屈抜きに体が反応しますね。
時代が進むにつれて「アーティストらしい何か」が求められるようになり、直感的な作品がバカにされるような風潮が拡がりました。
ファンなら、誰もそういうことを妄想します。
でも彼は案外、「惚れると黒でも白に見える」タイプですけどね。(笑)

2022.06.08  Beat Wolf  編集

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