I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「シー・ドント・ノー・ミー」ボン・ジョヴィ

2022.06.11

category : Bon Jovi

Bon Jovi - She Don't Know Me (1984年)

HR/HMというより“青春ロック”と言うべきテイスト。デビュー当初の若くて美しいジョンも必見 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Mark Avsec /訳:Beat Wolf

これ以上、何ができる?
試さなかったことなど何もない
それでも君は気づいてくれない
真っ直ぐになろうと懸命に努力してきたけれど
もう言うべき言葉さえ残っていない
ただ俺のことを見てほしいだけなのに

[Chorus]
(She don't know me) 君はわかってない
(She don't see me) だから気にもかけない
(She can't hear me) だから聞こえない
(Can not help me) 君は望んでいない
(She don't want me) 俺が君を求めているようには
(Like I want her) だから伝えなければ
(Got to tell her) 愛していると
(That I love her) 君はまだ、俺の名前さえ知らない

いつか一線を越え
君が俺のものとなり
その身をやさしく抱きしめる…
それが実現する時を夢見ている
やりたいことはたくさんある
ただそのチャンスを与えてくれさえすれば

[Chorus]



~ 概要 ~

「シー・ドント・ノー・ミー」はボン・ジョヴィ1984年の1stアルバム『夜明けのランナウェイ(Bon Jovi)』から同年5月26日にカットされた2ndシングルで、Billboard Hot 100 の48位を記録した作品です。

作者はアメリカのファンク/ディスコ・バンド、ワイルド・チェリー(Wild Cherry)のメンバーだったマーク・アヴセック(Mark Avsec)で、楽曲は彼が1980年代初頭に手掛けていたディスコ・バンド【Fair Warning】のアルバムのために書かれ、リード・オフ・トラックとして収録される予定でした。
Fair Warningは当初のバンド名は【LaFlavour】で、1981年に改名しそのセルフ・タイトル・アルバムを発表する予定でしたが、“1981年に【Fair Warning】”といえばヴァン・ヘイレンの4thアルバム『戒厳令(Fair Warning)』がリリースされた年であり、Fair Warningのアルバム『Fair Warning』は数枚のプロモーション用コピーを除いて正式に発売されませんでした。

Fair Warningはボン・ジョヴィと同じポリグラム・レコード系列の所属で、同社はこの時期ボン・ジョヴィのデビュー・アルバムの発売を準備しており、その強力なシングル候補として「She Don't Know Me」をアルバムに収録することを決定していました。
ところが実際に1stアルバム『Bon Jovi』が発表されたのは1984年であり、その間にグラス・ルーツ(The Grass Roots)や Sonny Geraci(Peter Emmett)がボン・ジョヴィより先に本曲を世に送り出す事態が生じてしまいます。


日本では当初アルバムに掲げられた本曲の邦題は「愛は蜃気楼」ですが、評判が良くなかったのか(歌謡曲のタイトルみたい…)シングルでは「シー・ドント・ノー・ミー」に改められています。
ボン・ジョヴィは当時無名の新人でありながら、デビュー間もない1984年8月にホワイトスネイクやマイケル・シェンカー・グループらと共に西武球場・ナゴヤ球場ほかで催された大規模ロック・フェスティバル『SUPER ROCK '84 IN JAPAN』記事最後の動画)に参加し本曲などを演奏、一躍日本での人気を獲得しました。
翌年の『7800º Fahrenheit tour』でも来日し本曲を披露していますが、当時のライブ映像を見ると“ステージに投げ込まれたパ○ティーをジョンが拾い上げ”ているところをしっかりカメラに撮られています!


 
 



~ Story ~

What more can I do, there's nothing I haven't tried
これ以上、何ができる? 試さなかったことなど何もない
Still it's so hard for her to notice
それでも君は気づいてくれない

ボン・ジョヴィは『Slippery When Wet』の大ブレイク以降ヒット曲を連発し、本曲の48位はベスト盤に収録されるほどの成績でなく、その後ライブで演奏されることもないため、後世、初期のオリジナル・アルバムまで顧みる熱心なファンでなければあまり接することのない作品といえます。
“自作曲への強い拘り”を持って今日まで多くの作品を世に送り出してきた彼らにとって、実績もない無名の新人時代にレコード会社の意向に従って、他人の手による、しかも既に複数のバンドによって発表された楽曲を演奏した(させられた)ことは屈辱以外の何ものでもなかったに違いありません。
本曲はHR/HMとしてはあまりに“青臭く爽やか”なテイストであり、齢を重ね成熟した現在は尚更でしょう。

しかし純粋に楽曲として評価すると「She Don't Know Me」はとても潤いがあり、ボン・ジョヴィによって味付けされたロック・テイストは主人公のせつない気持ちをより豊かに表しています。
そうした感情が投影されることの多いJ-Pop/J-Rockを聴き馴染んできた多くの日本人にとって、むしろ親しみ易い作品といえるでしょう。


(She don't know me) She don't know
君はわかってない
(She don't see me) She don't care
だから気にもかけない

作者はどのような真意で主人公と女性の関係を設定したか詳細は不明ですが、PVに従うなら「アップタウン・ガール」(ビリー・ジョエル)のような事情なのかもしれません。
つまり、“労働者階級の男がお金持ちのお嬢様に恋をする物語”です。

お相手を演じているのは Beth Toussaint というモデル/女優で、“女性”と“その分身”という二役を演じているようです。
ビデオのラストシーンで女性がバーを出ると2人の男が尾行するように店を出て、ジョンも心配そうに後を追いますが、彼が追いつくと何故か2人の男は“両手を上げるポーズ”を取って逃げるように立ち去り、“なぜ彼らが去ったのか”戸惑われた方もあるでしょう。
実はこの部分には元々、彼女を襲おうとする“暴漢2人が銃口を向けられるシーン”が編集されており、現在公開されているビデオではそれが削除されているとのことです。
銃口を向けたのが誰かは定かではありませんが(映像の断片からすると女性の分身?)、その後も女性は何も言わず去ってしまいます。

『シンデレラ』の物語は現実にあり得ても、“男女の立場が入れ替わった物語”はあり得るでしょうか…
サビのジョンとバック・コーラスの“呼応”は、そんな主人公のせつなさをよく伝えている気がします。


 
John Bongiovi-She Dont Know Me (rare Demo) / Rockin' Live in Cleveland 1984



~ Epilogue ~


Rest in Peace: Alec John Such 1951-2022


ボン・ジョヴィ・ファンの方は既にご存じのことと思いますが、創設メンバーであるベーシスト、アレック・ジョン・サッチ(Alec John Such)が亡くなったと(享年70)、6月5日未明 BON JOVI の公式 SNS が伝えました。
バンドは1983年にジョン・ボン・ジョヴィの発意によるものですが、メンバーの形成に果たしたアレックの功績は大きく、彼が幼馴染のティコ・トーレス(dr)と元バンド・メイト(The Message)のリッチー・サンボラ(g)を誘ったことにより世界的人気を獲得した“黄金の5人”が揃いました。
アレックは1984年の1stアルバム『Bon Jovi』から1994年の『CROSSROAD』までバンドと共に活動を続け、その後バイク屋の経営に転じ、2018年にはほかのメンバーと共に『ロックの殿堂入り』を果たし、リッチーと共にバンドへ限定復帰してパフォーマンスも披露しました。
そして彼はこの式典で、次の言葉を残しています…

ジョン・ボン・ジョヴィに呼び出されて、バンドに入らないかと誘われた時、彼がどれだけ真剣で、彼にヴィジョンがあること、そして彼が自分たちのもたらそうとしているものを知ることになったんだ。そのヴィジョンに加われるのが本当に嬉しかった。この連中は最高だよ。素晴らしい時間をたくさん一緒に過ごしたし、この人たちがいなかったら自分がここにいることはなかった。死ぬほど愛しているし、これからもそう思うだろう


きっとあなたも、ジョン・ボン・ジョヴィに口説かれてみたいと思うでしょう…

そしてこの時アレックがジョンとめぐり会わなかったり、誘いを断っていたら、彼一個の人生も、ボン・ジョヴィというバンドも全く別の道を歩んでいたはずです。
前回のポール・マッカートニーの事例と合わせ、人生とはほんの少しのタイミングの違いで人と出会わなかったり、何気ない選択の違いで人生が全く変わるものだと再認識させられました。

アレック・ジョン・サッチの冥福を、お祈りいたします。



Bon Jovi - She Don't Know Me (Super Rock, Japan 1984)

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1984年 HR/HM せつない愛 青春 

コメント

ボンジョヴィ、デュランデュランあたりはまだ一度もレポしていないんですよね~。やはり80年代後半からはリアルタイムに聴いておらず洋楽離れしていった時代なので何か気後れ感があります。こちらの記事を参考にして勉強を重ねてからいつか記事を書いてみたいと思います。

2022.06.13  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうですね。
機会があったらぜひ挑戦してみてください。

2022.06.14  Beat Wolf  編集

こんにちは。
ボン・ジョヴィは奥様が大好きなバンドで、ドライブ中に流れる確率はかなり高いです。この楽曲はボン・ジョヴィのものではないようですが、最初の邦題「愛は蜃気楼」のように日本人には受けるメロディーと歌詞です。J-POPでも最近はメロディーが軽視されているように感じていますが、音楽ですからやはり共感を呼ぶのはメロディーが60%以上なのではないでしょうか?
ボン・ジョヴィはメロディー、サウンドとヴォーカルが奇をてらったところが無く上質に仕上がっていると思います。

2022.06.15  忠      編集

R.I.P.

Beat Wolfさんのブログは、2段階に分かれていますので、一粒で2度おいしいならぬ、2回楽しませていただいております。そういった意味では、本曲も一粒で4度...作者がおいしい思いをしたのはボン ジョヴィのリリース時のみですね、きっと。しかし、アレック ジョン サッチ...いやはや何とも。

2022.06.15  YOU NO IT NAME  編集

忠さん

ボン・ジョヴィは奥様がお好きでしたか、やはり女性にも抵抗なく聴けるのが広い人気の理由ですね。
この曲は元々ダンス調のアレンジでしたが、彼らによってロック調になりました。
最近のJ-POPは殆ど耳に入る機会がないのでわかりませんが、メロディーと歌詞が良ければいろんな味付けしても賞味できます。
彼らの一番の才能はそこにあったと思います。

2022.06.15  Beat Wolf  編集

Re: R.I.P.

この曲、埋もれさせておくのはもったいないと思います。
彼らが演じなくても、特に若い人に歌ったり聴いてほしいです。
もちろん昔からのファンにも。
アレックがジョンと10も齢が離れているとはいえ、あまりに早かったです…。

2022.06.15  Beat Wolf  編集

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