I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「たそがれの恋」オリビア・ニュートン=ジョン

2022.08.13

category : Olivia Newton-John

Olivia Newton-John - Don't Stop Believin' (1976年)

歌姫として、一人の女性として、オリビアが生涯大切にしたテーマこそ「Don't Stop Believin'」

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): John Farrar /訳:Beat Wolf

世界が人生に大切なことを示してくれる…
幸運は、いつまでもそこにあると思っているあなた
そうね…かつてあなたは、何を試みるにも輝きを放ち
その微笑みは、どんな扉も開けてきた


だけど、誰もあなたを見向きしなくなり
その微笑みが冷たい石の地面に零れる日々に苛まれようと
信じることを諦めてはいけない
信じることを、やめないで…
きっと何とかなる
つらい日々は、急ぎ足で過ぎ去る

追いかけなくても、夢はあなたを見つけ出す
求めていれば、愛はきっとあなたを見つけてくれる
たとえあなたが一人で自由に出帆しても
きっと私もあとに続き
あなたがやり抜くことを祈りましょう





~ 概要 ~

「たそがれの恋」はオリビア・ニュートン=ジョン1976年の8thアルバム『たそがれの恋(Don't Stop Believin')』の先行シングルで、Billboard Hot 100の33位を記録、Adult Contemporary では1974年の「愛の告白」以来7曲連続のNo.1に輝きました。
作詞・作曲・プロデュースは1971年以来のオリビア作品に欠かすことのできないオーストラリアの音楽プロデューサー、ジョン・ファーラーです。

オリビアのアメリカでの人気の最初のピークは「愛の告白」「そよ風の誘惑」の2曲連続全米No.1を含む5曲連続Top10を達成した1973~75年ですが、日本での最初のピークは本曲がリリースされた1976~77年です。
同年9月に始まったTBS系・朝の情報番組『おはよう700(セブンオーオー)』で、取材班が車で移動し世界各地をレポートする人気コーナー『キャラバンⅡ』のテーマ曲(アラスカ→フェゴ 80000キロ: 南米編)にオリビア1973年の「カントリー・ロード (故郷へ帰りたい)」が長期間・毎日のように使用されてお茶の間レベルまで国民に浸透し、当時最新シングルであった「Don't Stop Believin'」とのカップリングで発売、オリコン洋楽チャートで1976年11月29日付から15週連続1位/オリコン総合チャートでも1977年1月17日付で6位と大ヒット(37.6万枚)しました。

こうした人気の高まりの中、オリビアは1976年12月にソロとして初の日本公演(武道館2公演を含む)を実現させており、そのライブの一部が冒頭の動画です。
オリビアは1972年にクリフ・リチャードの日本公演のバックコーラスとして初来日、73年には東京音楽祭出場のために来日していますが、76年の3度目の来日での感慨を次のように語っています。
日本には2度来ましたけれど、その時は1台のカメラも私を振り向いてくれませんでした。でもこの度はもの凄く大勢のカメラマンと、小さな太陽のようなフラッシュが私を歓迎してくれました…

この日本公演の模様は1981年に初のライブ・アルバム『愛のパフォーマンス(Love Performance)』として発表されており、日本ではLPが12.3万枚/カセットが1万枚売れ、もちろん本曲も収録されています。


 
 



~ Story ~

You think the world should see things your way
世界が人生に大切なことを示してくれる…
Love, I know you, you think good fortune's here to stay
幸運は、いつまでもそこにあると思っているあなた

殆どの時間を親と過ごす幼少期、その殆どはそう思っているでしょう。
人生は海に浮かぶ船のようなものであり、当初は外的環境(波や風)次第でどちらにも流される存在に過ぎないため親などによって保護され、学習や経験により自力で進む動力を修得することで、自分の航路をコントロールできるようになります。
ところが大海原の旅は好天や順風(幸運)に恵まれるばかりではなく、嵐や逆風に苛まれることもあり、海の藻屑とならないためには更に何らかの備えが必要です。


You never chase your dreams, they find you
追いかけなくても、夢はあなたを見つけ出す
Love, I know you, if you need love, it finds you too
求めていれば、愛はきっとあなたを見つけてくれる

1番の歌詞が“他力本願的な生き方への警鐘”のようなニュアンスに対し、2番は“他力本願でも夢や愛は得られる”ようなことが綴られ、矛盾しています。
しかし精一杯頑張っている人に“もっと頑張れ”と言えるものではなく、2番は1番の境遇より深刻な苦しみを抱えた人に対する励ましなのかもしれません。
【猫に小判】の喩えがあるように“求めていなければ価値ある尊いものも無価値”であり、その価値が理解できなければ目の前に訪れた愛にさえ気づくことかできないでしょう。

代表曲「そよ風の誘惑」がそうであるようにオリビアは“励まし”がとても似合う歌手であり、それは後年のさまざまな活動、そして彼女自身への支えにもなりました。


 



~ Epilogue ~

既に報じられているように8月8日朝(現地時間)、オリビアは亡くなりました(享年73)
彼女の夫ジョン・イースタリングさんによると、オリビアは南カリフォルニアの自身の農場で家族や友人に囲まれながら穏やかに天国へと旅立ったそうです。



オリビアの悲報に際し、ユーロヴィジョン・ソング・コンテストの公式ツイッターは1974年のオリビア・ニュートン・ジョンのパフォーマンス動画を投稿、彼女と共にコンテストへ出場したABBAのアンニ・フリード・リングスタッドは次のように追悼しました。
オリビアが勝ち目のない敵と勇敢に闘ったことを知って、心を痛めています。彼女は自身の状況について決して諦めたり、不平を言わず、それについて私たちが理解を深め、他の人たちを助けたいと思うように自身の物語を伝えてくれました…”


ファンの方はご存じのように、オリビアは30年間自身の“がん”と闘い続けてきました。
1992年に乳がんが発見され、克服したと思われましたが2013年に再発、2017年には新たに脊柱への転移が発見されステージ4と診断され、翌2018年にそうした事情を含めオリビアが人生を自らの言葉で綴った自伝のタイトルが『Don’t Stop Believin’』でした(※日本語版『信じることをやめないで』は、今年5月にシンコーミュージックより発売)。

2020年のインタビューによると、オリビアは1992年に胸の違和感を覚え初めてマンモグラフィを受けた際に医師から“(しこりは)良性”と言われたものの、彼女自身は“何かおかしい”と直感し診断に納得せず外科的生検を行い右胸に初期の乳がんを発見、乳房の部分切除手術と9か月の化学療法、乳房再建手術を受けたそうです。
そうした経験から彼女は、“がん患者やがんと共に生きる人たちに、より優しい治療法を提供したい。そして患者たちがより幸せに、より健康に、より穏やかに生きていくために必要なツールや情報を与えたい”と考え、オリビア・ニュートン=ジョン財団を立ち上げたと語っています。

また1992年に乳がんを発見される僅か2日前、オリビアは実の父をがんで亡くすという二重のショックに見舞われていますが、見方を変えれば父が同時期がんに苦しんでいたことが、彼女に“がんの恐ろしさと自分の身に起こり得るリスク”を意識させ、娘のがんの早期発見に繋がったのかもしれません。
簡易的な検査は少なからず病を見落とすものであり、定期的な検査と、毎日体調を検知している自身の直感を信じ、拭い得ない違和感を覚えたなら早期・精密な検査を試みることをオリビアは長年人々に啓蒙し続けてきました。
何より彼女ががん発病から30年間、その多くを元気に生き続けられたことが、その大切さを証明しています。

Don't stop believin', don't stop believin'
信じることをやめないで…

50年間の素敵な歌声をありがとう、そして30年間の闘病と患者への支援、本当におつかれさまでした。
あなたの遺した歌とメッセージをファンはこれからも大切に守り、それぞれが家族や友人のために語り継いでくれるでしょう。

R.I.P. Olivia Newton-John.



Olivia Newton-John - Don't Stop Believin'

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1976年 カントリー/ポップ 励まし 追悼 

コメント

こんにちは。

これだけの美貌、歌手としてのキャリア、いつまでも失わない少女のような爽やかさ、にもかかわらず経営の破綻やガンとの闘い。
確かに"Don't stop believin'"な人生だったのでしょうね。
どうぞ安らかにお眠り下さい。

2022.08.14  忠      編集

こちらもオリビアの追悼記事をやっておられますね!今回取り上げられた曲の頃が一番好きです!小生も次回記事で大学生時代に癒されたカントリー系、美しいバラード曲(1970年中盤)前後の名曲でレビューを行う予定です。小生にとってはグリース以前のオリビアが最も大好きな時代(それ以降は距離感・違和感)でした。冒頭曲は「一人ぼっちの囁き(Come On Over)」 (1976年)で行きたいと思っております。

2022.08.14  ローリングウエスト  編集

忠さん

忠さんが認めるくらいですから、本物の美人ですね。(笑)
75歳が薄命かは別として、美貌と歌唱力が揃って世界的な成功を収めても、健康は別の問題と痛感させられます。
やはり病気にならないのが一番ですね。

2022.08.14  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

ローリングウエストさんの年代の多くはそうでしょう。
私は最初に見た彼女がレオタードだったので、セクシーが当たり前でした。
デビュー当初初々しかったアイドルがその後セクシーに変貌するのに距離感もわかりますが、私にとってはウルトラマン・仮面ライダーの主人公がその後悪代官に変貌した方がよほどショックでした。(笑)

2022.08.14  Beat Wolf  編集

またひとり...

給食の時間に放送委員が運営する「お昼の校内放送」で流れた"XANADU"を聴いて以来、彼女の声の虜(死語?)となりました。次はもちろん私もレオタードです(笑) 『グリース』も観たしなぁ。あの何処までも突き抜ける透明感ある歌声は唯一無二でしたね。現在「PHYSICAL」聴きまくりです(/_;) 解説楽しみにしてます。

2022.08.14  YOU NO IT NAME  編集

Re: またひとり...

給食の時間に「Xanadu」が流れたなんておしゃれですね。
私はテレビ番組で「カントリー・ロード」が使われた時初めて彼女の声を聴きましたが、ヴィジュアルとして記憶があるのは「PHYSICAL」以降です。
歌手にルックスは関係ないと言われますが、厳しい競争の中では彼女のように歌とルックス両方に魅力のある方が有利ですよね。

2022.08.15  Beat Wolf  編集

ショックです!!

こんばんは。
訃報を聞いてショックでした。

オリビア、大好きでした。
天使のような、素敵な女性でした。
ラッキーなことに盛岡公演で前の方の席で「若き日の生オリビア」を観ています。

フルコーラス英語で歌える曲が何曲あるかなあ~。
「グリース」も「ザナドゥ」も映画館で観ました。
”Physical”何回歌ったかなあ~。

"Don't Stop Believin'"
励ましの言葉ですよね。
勇気を貰えます。

今は静かに合掌・・・。
ありがとう、オリビア!!
安らかに眠ってください。
貴女の音楽は愛され続ける・・・。

2022.08.27  トリトン  編集

Re: ショックです!!

それはラッキーでしたね。
武道館以上の大きな会場だと「会える」という意味では大き過ぎます。
トリトンさんは女性の歌も歌われるのですね。
振り付きPhysicalも見てみたいものです。
亡くなったのは悲しいですが、本人やご家族はきっと苦しくもあったことでしょう。
安らかに眠って欲しいと思います。

2022.08.27  Beat Wolf  編集

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