I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「愛はすべてを越えて」ルイ・アームストロング

2022.09.23

category : Louis Armstrong

Louis Armstrong - We Have All the Time in the World (1969年)

この世には表面的な美しさでも、富と栄誉でもない大切な何かがあることを“Satchmo”が歌う ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Hal David, John Barry /訳:Beat Wolf

僕らはこの世界で
人生に十分な時間を持っている
あらゆる大切なことを広げるため
愛が備わっている

僕らはあらゆる愛を持っている
もし誰もがそうであるなら
あなたもきっと気づくだろう
それ以上、何も必要ないことに


途上のあらゆる一歩が
僕らに気づかせてくれる
その遥か後ろにある
心を配るべき世界と共に

**
僕らはこの世であらゆる時間を持っている
まさに愛するための
それ以上でも、以下でもない
ただ、愛するため


**

Only love



~ 概要 ~

ルイ・アームストロングは【Satchmo(サッチモ)】(Satchel Mouth;小型かばんのような大きな口)の愛称でも知られれる、アメリカ・ポピュラー音楽史上屈指のトランペット奏者・作曲家・歌手&エンターテイナーです。
20世紀最初の年である1901年(明治34年)~71年(昭和46年)没の生涯で1923~69年まで作品を発表し続け、うち1925年~67年まで12曲でグラミー殿堂入りを果たし、1964年には Billboard 14週連続No.1(I Want To Hold Your Hand/She Loves You/Can’t Buy Me Love)に君臨していた人気絶頂のビートルズを王座から引きずり下ろしたのが、当時63歳のルイの「Hello, Dolly!」だったことは(史上最年長のNo.1)、彼の音楽キャリアを象徴する出来事といえます。

しかし日本でも有名な「この素晴らしき世界」ほか没後も彼は人々に愛され続け、今年は特にNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で重要な役割を果たした彼の「On the Sunny Side of the Street」の記憶も新しいでしょう。


そして「愛はすべてを越えて」は、1969年のスパイ映画第6作『女王陛下の007』(On Her Majesty's Secret Service)の挿入歌です。
(過去のセルVHSでは特典として本曲がエンドクレジット後に流れるバージョンのものが一時期販売されていたが、現在流通されているDVD版には収録されていない)
『女王陛下の007』は2代目ジェームズ・ボンド役ジョージ・レーゼンビーが演じた唯一の作品であり、本映画のオープニング・テーマ「On Her Majesty's Secret Service」は映画タイトルを歌詞に含む歌曲が通例となった第3作『007/ゴールドフィンガー』以降唯一のインストゥルメンタルによるOPテーマ、モンティ・ノーマンの「ジェームズ・ボンドのテーマ」に代わる勇壮なアクション・テーマとなっています。

「We Have All the Time in the World」の作曲は007/ジェームズ・ボンド・シリーズの音楽担当であるジョン・バリー作詞「雨にぬれても(B.J.トーマス)」「遥かなる影(カーペンターズ)」などのハル・デヴィッドが創作し、プロデュースはビリー・ジョエルほか数々のグラミー受賞で知られるフィル・ラモーンが担当しました。

ジョン・バリーは本曲をボンド映画のために書いた音楽の中で自身のお気に入り/最も素晴らしい作品の1つとして挙げており、その理由を“ルイ・アームストロングと仕事ができた喜び”と説明していますが、当時ルイは病を患っていたためトランペットは他のプレイヤーが演じています(本曲はルイの最後のレコーディング曲といわれている)。


映画公開時、本曲はアメリカとイギリスでシングルとして発売されましたが、何れもチャート・インしませんでした。
1994年にアイルランドのロック・バンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのカバーver.がギネス・ビールのCMに使用されたことを契機にルイver.もレコードとCDで再リリースされ、UK シングル チャートで 3 位、アイルランドで 4位を記録しました(定かではないが、冒頭のMVはこの時に編集されたものと想像)。
また2005年のBBCの調査によると、本曲は“結婚式で演奏されるラブソングとして3番目の人気”だったそうです。


 




~ Story ~

We have all the time in the world
世界は2人だけのもの(映画字幕より)

曲のタイトルであるこのフレーズは、ボンドが劇中で発する言葉に基づいています。
前項では本映画シリーズの中でも特筆すべき2点を挙げましたが、そのもう一つは“ボンドの結婚”です。
本作でボンドは“ボンド・ガール”の一人テレサ(ダイアナ・リグ)と“本気の恋”に落ち、心からの結婚式を挙げます。

…でもその後の作品で、カレは独身貴族として多くの女性と“ムフフ”を謳歌してるじゃん?

そう、それがこの恋の結末を表しています。
結婚式の後、ハネムーンへと出発したアストンマーティンの車中でテレサが“男の子と女の子3人ずつ欲しい”と夢を語り、ボンドの発した言葉がこのフレーズです。
しかしそんな幸せも束の間、夢を打ち砕く突然の“ある出来事”によりそれが叶わなくなり、失意のボンドが発した言葉でもありました。

ジョン・バリーはルイ・アームストロングを本曲に選んだ理由として、“タイトルラインを皮肉たっぷりに表現できると感じたから”と語っています。



We Have All The Time in the World - Louis Armstrong ⎥ No Time To Die Montage

We have all the time in the world
時間はいくらでもある(映画字幕より)
No Time to Die
死ぬための時間などない

「愛はすべてを越えて」は2021年の最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でルイ・アームストロングによる歌とジョン・バリーによるインストゥルメンタルとして2回使用、劇中でも『女王陛下の007』と重なるシーンが設定され、ボンドが特別な絆を結んだマドレーヌに【We have all the time in the world】を2度メッセージしています。

【We have all the time in the world】と【No Time to Die】…

『女王陛下の007』でボンドを演じた御年82歳のジョージ・レーゼンビーは『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の封切りに先がけて本編を鑑賞し、Twitterで“音楽のチョイスが興味深かった”と呟いており、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の編集技師トム・クロスも“最新作のエンディングは『女王陛下の007』を意識して作られている”と語っているそうです。


On Her Majesty's Secret Service • We Have All the Time in the World • John Barry




~ Epilogue ~

9月8日に亡くなられたイギリスのエリザベス女王…
彼女が即位したのは1952年のことで、英国の歴代君主として最長となる在位70年は“殆どの世代にとって生まれる以前からの女王陛下”ですが、同じく長きに亘りイギリスの象徴として世界に親しまれてきた『007』シリーズも浅からぬ関連があります。


Archive footage shows life of young Queen Elizabeth II on 94th birthday | ABC News

まず007シリーズの作者イアン・フレミングが処女作『カジノ・ロワイヤル』を発表したのは1953年で、エリザベス2世が女王に即位した翌年です。
英国秘密情報部のエージェントを主人公とする本シリーズの端々には国家と元首への忠誠が織り込まれ、エリザベス女王の即位記念の年には劇中のパラシュートにユニオン・ジャックをデザインするなど祝賀を演出した作品もありました(私を愛したスパイ/ダイ・アナザー・デイ)。

実は【Her Majesty】をタイトルに掲げた『女王陛下の007』もエリザベス女王の即位15年、即ち1967年に公開の予定でしたが、スイスでの撮影準備や当時ボンド役だったショーン・コネリーのスケジュールの都合などにより第5作は日本ロケの『007は二度死ぬ』に変更され、本作は2年後に第6作として公開されました。
ただ本作はタイトルに反し直接的に女王が絡むストーリーとはなっておらず、【Her Majesty】の登場はボンドが辞職願の承認待ちにMI6の自室でウイスキーを飲む際、正面にあるエリザベス女王の肖像画へ向かって“Sorry ma’am(失礼、女王)と呟く小ネタのみとなっています。


寧ろ『女王とボンド』といって多くの人の記憶に焼き付いているのは女優が演じるニセの女王ではなく、“本物のエリザベス女王との共演”でしょう。
2012年のロンドン五輪の開会式に於いて、架空の人物であるジェームズ・ボンド(六代目ダニエル・クレイグ)がまさに『On Her Majesty's Secret Service』として“本物のエリザベス女王”をバッキンガム宮殿から会場までエスコートしたことです。
しかも女王は、ヘリコプターでオリンピック・スタジアム上空に到達すると自らスカイダイビングで会場入りするという007の映画でもあり得ない演出に協力し、世界をアッと驚かせました(もちろん代役)!

この映像への出演依頼に対し、エリザベス女王は5分で快諾してくれたといいます。
ただしそれには“ある条件”を求められたそうで、それは女王が“Good evening Mr Bond”の台詞を言うことと伝えられた時、開会式の芸術監督を務めたダニー・ボイルは椅子から落ちそうになるほど驚いていたそうです。



Ma’amalade sandwich Your Majesty?

また今年6月4日にバッキンガム宮殿で行われた『エリザベス女王在位70周年記念祝賀コンサート』では、女王自身はコンサート会場に出席せず(恐らくコロナ感染を避けるため)、宮殿内で【くまのパディントン】とお茶を楽しむ映像が公開されました。
マナーがわからず次々と粗相をしてしまうパディントンに少女のようにわくわくした表情を浮かべる女王、粗相でテーブルの上の食べ物を台無しにしてしまい“いつも緊急用に持っている”と帽子の中からマーマレードサンドイッチを取り出す彼に、“私もここに持っています”とハンドバッグからサンドイッチを取り出す女王…。

エリザベス女王が国民から広く敬愛された理由が伝わる映像です。
彼女のご冥福をお祈りいたします。


James Bond and The Queen London 2012 Performance

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1969年 バラード/Jazz 安らかな愛 映画-60's 007 

コメント

ルイ・アームストロングとはこりゃまた渋い!このだみ声いいですね~!やっぱすぐ浮かんでくる曲は「この素晴らしき世界」ですかね~

2022.09.28  ローリングウエスト  編集

こんにちは。

何か懐かしいです。007もほとんど観ていますし、ショーン・コネリーが亡くなった時には現実のMI6の長官までがボンドの死を悼んだくらいですから、007がどれくらいイギリスで愛されていたかが分かります。(ちなみに僕が今乗っているオープンカーの愛称は”ショーン”で、もちろんショーン・コネリーから採っています!最初はジェームズにしようかと思いましたが、ジェームズというディスカウントストアがあるのでやめました!笑)
そうそうサッチモのCDも車に入っています。今のオーディオはメモリーに入れられますから便利ですね。あの声を聴くとスピードを時速10kmくらい抑えられます。

2022.09.29  忠      編集

ローリングウエストさん

まさにローリングウエストさんの時代の曲ですね。
とても個性的で、私の時代にもリバイバルヒットしたので結構知ってる人も多いと思います。

2022.09.29  Beat Wolf  編集

忠さん

ほとんど観られていましたか。
ショーン・コネリーがお好きなのですね、愛車もその名をつけるなんて想像以上のマニアと推察いたします。(笑)
長官クラスだと、子供時代にショーンの007を見て育った世代かもしれませんね。
この曲だと運転してて心地よい眠りを誘いそうですが、初期の曲だと時折つんざくようなトランペットの音が眠気覚ましにもなるかもしれません。(笑)

2022.09.29  Beat Wolf  編集

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