I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ラヴ」ジョン・レノン

2022.12.01

category : Beatles & Solo

John Lennon - Love (1970年)

ピアノとアコースティック・ギターによるシンプルで、ジョン・レノンの中でも屈指に美しい楽曲 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください


~ Lyrics ~

Writer(s): John Lennon /訳:Beat Wolf

愛は偽りない真心
真心こそが愛
愛は感じること
感じあうことが愛
愛は望んでいる
ただ愛されることを

愛は触れること
触れあうことが愛
愛は相手に向かい手を伸ばすこと
互いに手を差し伸べることが愛
愛は希(こいねが)っている
ただ愛されることを

愛とはあなた
あなたと私
愛は知っている
二人なら叶えられることを

愛は自由
自らの心に由るものが愛
愛は生きること
生きていることが愛
愛は要(もと)めている
ただ愛されることを



~ 概要 ~

「ラヴ」は、ジョン・レノンが1970年12月11日に発表した 1st ソロ・アルバム『ジョンの魂 (John Lennon/Plastic Ono Band) 』の収録曲です。
当初ジョンは本曲をシングルとして検討していたものの実行には至っておらず(本アルバムから唯一のシングルは「マザー」)、彼の死後1982年11月1日 (UK)に発売されたベスト・アルバム『ジョン・レノン・コレクション(The John Lennon Collection)』 に収録された際、本曲のリミックス ver.(B面は「真実が欲しい」)が同年11月15日にプロモーションとしてシングル・カットされ、イギリスで41位/日本58位を記録しました。
ちなみに本シングルのジャケットに使用された写真は1980年12月8日、つまりジョンが暗殺された当日に撮影されたうちの一枚となとなっており、アルバムの写真と共に話題となりました。

作詞・作曲はジョン、プロデュースはジョンとオノ・ヨーコ、フィル・スペクターで、演奏はジョンのアコースティック・ギターとフィル・スペクターのピアノだけという、極めてシンプルな作品です。
本曲のシングル ver.がリミックスされたと先述しましたが、元々『ジョンの魂 』では Side 2-1 の「思い出すんだ(Remember)」が爆発音で終わるためか、続く2曲目の本曲は少し長めのフェードインで始まるイントロ、それに合わせたアウトロとなっており、シングル ver.はその部分が短縮されたものになっています。

本曲は1997年のベスト盤『Lennon Legend〜The Very Best of John Lennon』、1998年のボックス・セット『John Lennon Anthology』にも編集されていますが、1998年のドラマ『世紀末の詩』の主題歌に本曲が起用され、第13回日本ゴールドディスク大賞で【ソング・オブ・ザ・イヤー(洋楽部門)】を受賞しました。

カバーは1971年にアメリカの男性ポップス・ヴォーカル・トリオ、レターメン(The Lettermen)がオリジナルに忠実なアレンジのシングルを発表し Billboard Hot 100 で42位/日本19位と、好成績を収めました。
他にもオリジナルとは異なる世界観を表したバーブラ・ストイライサンドやドリーム・アカデミーもオススメです。


 
 



~ Story ~

Love is real,
愛は偽りない真心
real is love
真心こそが愛

“言葉遊び”は、ジョンの作詞の原点と言えますが、『ジョンの魂 』発表直後の1971年1月にヨーコと休暇で来日した際のインタビューで、彼は次のように語っています。

最近(俳句や禅に)影響を受けていて、俳句は今まで読んだ詩の形態の中で一番美しいものだと考えている。今回アルバムでは曲も詞もシンプルで、禅の精神が入っている。装飾的なサイケデリックの音楽とは自ずと違ってくるはずで、これはシブイ(日本語でハッキリと!)アルバムといえる”


Love is free,
愛は自由
free is love
自らの心に由るものが愛

【free】は、“なにものにも束縛されていない”概念です。
一方で【love】は一般に“特別な人と束縛されるからこそ価値”があるものであり、矛盾しているようにも思えるかもしれません。
オフコース「眠れぬ夜」の“あれが愛の日々ならもういらない/愛のない毎日は自由な毎日”は、その葛藤を象徴しています。

果たして、どちらが愛の真実を表しているのか…。




love is the child of freedom, never that of domination.
愛は自由の子であり、決して支配の子ではない

「Love」は、ドイツ生まれの精神分析学者エーリッヒ・フロム1956年の著作『愛するということ(The Art of Loving)』から着想を得ているかもしれません。
本書は愛の本質を分析した思想書であり、【Love is free】という一見矛盾する概念の真意を理解するために、もう一つ彼の言葉を引用してみましょう。

It is not until you love something not useful to you that your love blooms.
自分の役に立たないものを愛して初めて、愛は開花する

愛とは本来“与えること”で、“(自分の役に立つ)見返り”を目的とするものではありません。
つまり“見返りを期待している時点でそれは愛とは異なる概念”であり、心が見返りに呪縛されることで【free】も失うのです。

フロムは“愛は技術”であるとし、“知識と習練が必要”と説いています。


LOVE. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon/Plastic Ono Band




~ Epilogue ~

In the sphere of material things giving means being rich. Not he who has much is rich,
but he who gives much. The hoarder who is anxiously worried about losing something is,
psychologically speaking, the poor, impoverished man, regardless of how much he has.
Whoever is capable of giving of himself is rich


物質の領域では、与えることが豊かであることを意味する。たくさん持っている人が豊かなのではなく、たくさん与える人が豊かなのである。何かを失うことを恐れ溜め込んでばかりいる者は、心理学的に言えば、どんなにたくさんのものを所有していようと貧しく不毛な人だ。自分自身を与えることのできる人こそが豊かな人である (エーリッヒ・フロム『愛するということ』より)

ここで言う【自分自身】とは“自分の中に息づいているもの”(喜び、興味、理解、知識、ユーモア…etc.)であり、それを与えることで他人を豊かにし、それを栄養に何かを育んだ他人も与える者となって、今度は自分がそれを享受したり、その循環が社会全体を豊かにすると、フロムは説いています。


あなたが感染しないことは、「あなたの大切な人に感染させないこと」に繋がります。
あなたとその隣人が互いにマスクをし、手の清潔を心掛けたら、相乗して感染確率は下がります。
その心をみんなが共有することは、周り巡って更に「あなたと、あなたの大切な人の命を守る」ことに繋がるはずです。
あなたと、あなたの隣人がそうした心で繋がっている社会こそ「最も有効なウイルス対策」であると、私は信じています
  過去ログ『緊急事態宣言』と『ロックダウン(都市封鎖)』は本当に必要か

この過去ログは2020年4月時点のコロナ対策への考え方ですが、現在も全く変わらず、フロムの考え方とも重なるでしょう。
フロムは“一人の人を誠実に愛するとは、すべての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである”としており、社会に蔓延する不当な差別やハラスメント・暴力などから最愛の人を守るために隣人相互の思い遣りと連携が有効である一つの事例として、ここに『コロナとマスク』を再掲載しました。
今日あなたが見知らぬ誰かに掛けた思いやりが、いつかまた別の見知らぬ誰かの親切によってあなたの大切な人が助けられる…そんな隣人との関わりが自然に循環する社会こそ私の理想です。


You may say I'm a dreamer
あなたは僕を夢想家と思うかもしれない
But I'm not the only one
でも僕は一人じゃない  (「Imagine」より)



【名著】愛するということ|フロム ~幸福に生きるための最高の技術、それは「愛」である~

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1970年 バラード/ピアノ 安らかな愛 フィル・スペクター ドラマ ジョン・レノン 

コメント

こんにちは。

僕でも知っている曲ですね。シンプルで美しい曲です。やっぱりヨーコとの結婚が大きかったのでしょうか。

2022.12.02  忠      編集

忠さん

ご存じでしたか。
ファンなら知っていて当然の曲ですが、それ以外だとメジャーかは微妙です。
案外多い知るきっかけはドラマかもしれません。

2022.12.02  Beat Wolf  編集

またもジョンのの命日とともに今年も暮れようとしています。レターメンも好きですがジョンの「ラブ」は本当に大好きです。ビートルズ解散後ヨーコと「プラスチックオノバンド」を結成、反戦平和運動を精力的に推し進め「ジョンの魂」や「イマジン」などの数々の名作を発表。1970年初期がジョンのソロ時代で一番充実していた時期ですね・・。

2022.12.02  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

もうすぐですね。
レターメンが出てくるところはさすがで、私の世代だと彼らが「ラヴ」を歌ったことも存在したこともほとんど知らないと思います。
ただ80年代はジョンの暗殺という衝撃的な事件があり、それを契機にベスト盤が発売され、その時にシングルにもなったのが本曲なので、ソロ作品としては古い割に知名度があったと思います。

2022.12.03  Beat Wolf  編集

こんばんは。
ビートルズ解散後、はじめて出したソロアルバム「ジョンの魂」に収録された曲ですね。
彼のパーソナルな面をさらけ出した作品で、シンプルなサウンドがより鮮明にうつし出し、ありのままのジョンを堪能できますね。
アルバムでは「Mother」「Love」「God」が好きでした。

2022.12.06  blackmore1207  編集

blackmore1207さん

彼のソロの中でも評価の高いアルバムです。
パーソナルな面は、そういう治療を受けていたせいもありますが、それが「濃いダシ」が出たかもしれません。
もっとも、この後ますます濃くなって飲みづらくなってゆきますが…。(笑)

2022.12.06  Beat Wolf  編集

Johnの"穏やか三本柱"

"BECAUSE"と"JULIA"そして"LOVE"

なるほど、Beat Wolfさんの訳詞を拝読しますと、同じ綴りの単語の繰り返しは、様々な意味合いの解釈ができるんだなと。
仰る通り、言葉遊びの好きなJohnが意図したことなのかな。

あと"穏やか三本柱"には言葉を省略して表現しているなんて共通点もありますね。

しかし、オフコースの"眠れぬ夜"にも繋がるとは、これまた、なるほどですね(^^)

2022.12.07  YOU NO IT NAME  編集

Re: Johnの"穏やか三本柱"

穏やか三本柱ですか…なるほどそのとおりですね。
ただし彼はツンデレなので、それがだけで彼を判断すると…?(笑)
同じ綴りの単語の繰り返しは、心地よいリズムを作るので音楽と相性抜群です。
ラブソングに愛の束縛による葛藤は付きものですが、真っ先に浮かんだのが「眠れぬ夜」でした。

2022.12.07  Beat Wolf  編集

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