I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「フロム・ミー・トゥ・ユー」ビートルズ

2023.05.26

category : Beatles & Solo

The Beatles - From Me To You (1963年)

60年前“旋風”を巻き起こした軽妙なラブ・ソングは、今も変わらない愛の極意を教えてくれる ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): McCartney-Lennon /訳:Beat Wolf

Da da da da da dum dum da...


もし何か欲しいものがあるなら
僕にできることがあるなら
おねだりしてごらん、きっと届けてあげる
愛を込め、僕から君へ

僕なら君の欲しいもの、何だって持っている
例えば、君だけを想う純粋な心
おねだりしてごらん、きっと届けてあげる
愛を込め、僕から君へ

[Bridge]
この腕は君を抱きしめ
懐から手放そうとはしない
この唇は、君に口づけし
ずっと満足させてあげたい



僕から、君へ
おねだりしてごらん、きっと届けてあげる
愛を込めて、僕から君へ

[Bridge]



[Outro]
To you, to you, to you...



~ 概要 ~

「フロム・ミー・トゥ・ユー」はビートルズが1963年4月11日にイギリスでリリースした3作目のシングルで、初めて全英シングルチャートのNo.1に輝いた記念すべき作品です(B面は「Thank You Girl」)。
2作目のシングル「Please Please Me」を“人気に火を点けた”と表すなら「From Me To You」は“火を燃え拡げた”作品であり、本曲の7週連続No.1(ビートルズで最長)「She Loves You」6週No.1-「抱きしめたい」5週No.1…と続く“上昇気流”を形づくったことを鑑みると、彼らのキャリアでどれほど重要な役割を果たしたか理解できるでしょう。

一方、アメリカでは1963年5月27日にリリースされ、ロサンゼルスの一部のラジオ局の貢献により【the Billboard Bubbling Under the Hot 100】(※)の116位と初めて全米チャートに登場したものの、約22000枚程しか売れませんでした。
(※文字どおり、メインである Billboard Hot 100の下位チャート)
また同年6月にアメリカの歌手デル・シャノンが本曲をカバーし、ビートルズの楽曲として初めて Billboard Hot 100にチャートイン(77位)させています。
更に1964年、アメリカでの「抱きしめたい」の好感触に伴い「From Me To You」と「Please Please Me」をカップリングした超強力シングルが1月3日に同国で発売されており(「From Me To You」はB面でありながら Hot 100の41位を記録)、約110万枚のセールスを挙げました。

「From Me To You」はジョンとポール・マッカートニーが実際に膝を交えて共作した数少ない楽曲で名義も【McCartney-Lennon】、ヴォーカルも全編に亘り二人が務めています。
「Please Please Me」の大成功を受けて二人はプロデューサーのジョージ・マーティンから次のシングルに「Please Please Me」に匹敵する曲を要望され書いたのが「From Me To You」で、持ち込まれた曲を聴いてマーティンは“彼らには底なしの曲の源泉でもあるようだ”と、その才能に舌を巻いたそうです。
一方、イントロのハーモニカと【da da da da da dum dum da】のアイデアを提案したのはマーティンであり、レコーディング経過を辿るとビートルズは当初イントロが中々定まらず苦労していた様子が窺え、ジョンは“最初はあまりにブルースっぽかったため録音しないところだったけど、マーティンがハーモニカを加えて良くなった”と言い、EMIプロデューサーのロン・リチャーズも“ある意味、これで(ビートルズは)マーティンの並外れた音楽的センスを知った”と語っています。


「From Me To You」は公式オリジナル・アルバムに収録されておらず、多くの企画盤/ベスト盤に収録されています。
本曲にはモノラル・ミックスとステレオ・ミックスがあり、イントロにジョン・レノンのハーモニカが入ったモノラル・ミックスはシングル盤や『オールディーズ(A Collection Of Beatles Oldies)』『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』『ザ・ビートルズ1』、イントロでハーモニカがないステレオ・ミックスには『パスト・マスターズ』(2009年盤)などがあります。

また公式ライブ音源には、『Pop Group from Liverpool Visiting Stockholm』という非公式盤から採用された1995年の『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』ver.、イギリスBBCラジオ放送で演奏された1963年5月21日の音源、同10月20日の音源(2013年の『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』)などがあります。

更に、本曲は英・米両国の代表的なステージであるイギリス王室主催の『ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス』(1963年11月4日)と『エド・サリヴァン・ショー』(1964年2月16日)でパフォーマンスされた楽曲の一つであり、これらは別項で紹介いたします。


 
 



~ Story ~

If there's anything that you want
もし何か欲しいものがあるなら
If there's anything I can do
僕にできることがあるなら

ジョンは本曲が生まれた経緯について、次のように語っています。
最初の一行は僕のものだったと思う。元々はもう少しブルースっぽい曲だった。「From Me To You」を書いた夜、僕らはヘレン・シャピロのツアーでヨークからシュルーズベリーまでバスで移動していた。真剣に取り組んでいたわけではなく、ただギターを弾いてふざけていただけだったけれど、良いメロディ・ラインができ始めたので本気で取り組むようになった。「From Me To You」という名前は、NME誌のチャートを確認していたとき『From You To Us』(読者欄)からインスピレーションを得たんだ…

因みに、当時ビートルズが出演していたBBCのラジオ番組名は『From us To You』で、「From Me To You」の“替え歌”「From us To You」がオープニング・テーマ曲として使用されていました。


From Us To You (Live At The BBC / Opening Theme From "From Us To You" / 1964)


I got arms that long to hold you
この腕は君を抱きしめ
And keep you by my side
懐から手放そうとはしない

一方、ポールは本曲について次のように語っています。
「From Me To You」の好きな所は、ミドル・エイトがとても完成されていることだ。この曲のCからG、そしてFへと続くミドル・エイトのコードは僕らの新しい世界を予感させる重要な部分であり、それによって僕らの曲作りのレベルが少し上がったと思う…

【ミドル・エイト】は“ヴァース(Aメロ)とコーラス(サビ)を橋渡し(ブリッジ)する8小節のメロディ”であり、全体と異なるフレーズを中間部に入れることでテーマの印象を強めたり内心の葛藤を投影したりと、ビートルズの常識に囚われない斬新なコード展開は音楽の新たな世界を切り拓いたとも評されます。

本曲によって初めて全英No.1を味わった彼らですが、その実感についてポールは次のように証言しています。
僕らが本当に成功したと初めて思ったのは、ある朝ベッドで寝ていたとき牛乳配達の人が口笛で「From Me To You」を吹いていたのを聞いたことだった。でも僕は、鳥が同じようにさえずるのを一度聞いたんだ…誓って本当さ!


The Beatles - From Me To You (The Ed Sullivan Show - Deauville Hotel, Miami, 16th February 1964)




~ Epilogue ~

「Please Please Me」に続く3作目のシングルを想定しジョンとポールが最初に作曲した楽曲は、実は「Thank You Girl」でした。
ところがその後ツアー中に思いがけず「From Me to You」が浮かんだため、何れを優先すべきか二人はツアーで同行中のヘレン・シャピロにこの2曲を歌って聴かせ、彼女が「From Me to You」を支持した…というエピソードがあります。
彼女の意見が影響を及ぼしたかは不明ですが、結果としてシングルはA面;From Me to You / B面;Thank You Girl としてリリースされビートルズの飛躍に貢献しました(A面が「Thank You Girl」では7週連続No.1にならなかったのではないか…)。

それにしても、このツアーは1963年2月2日から3月3日まで行われ、その合間にアルバム『Please Please Me』、3月5日にシングル「From Me to You / Thank You Girl」をレコーディングしたというスピード感は、まさに驚異と言わざるを得ません。


Thank You Girl (Remastered 2009)


Just call on me and I'll send it along
おねだりしてごらん、きっと届けてあげる
With love, from me to you
愛を込め、僕から君へ

「Thank You Girl」は、ビートルズを熱烈に応援し、多くのファンレターを寄せてくれた女性ファンへ感謝の気持ちが込められた楽曲であり、「From Me to You」にも同様の趣旨が推察できます。
それがファンへの感謝であれ、純粋なラブ・ソングであれ、本曲に込められた【With love】こそ、私たちの日常に於いてとても大切な因子だと思います。

【With love(感謝の気持ち)】の込められない形式的な“ありがとう”や、何かをしてもらっても“ありがとう”の言葉さえ表さないやり取り…

それがどんなにお互いの人生の大切な時間を味気ないものにするか、多くの方も覚えがあるでしょう。
ビートルズの歌は、幾つになっても“ドキッ”とさせる因子がちりばめられています。


【余談ですが、大事なこと…】

“同じ部屋にいるだけで空気感染も” はしかの怖さは【6/1版】

ところで、先日のNHKの報道にも別の意味で“ドキッ”とさせられました…
私はこのWebタイトルに“胸騒ぎ”を覚え、記事を読むと、“やっぱり”だったのです。

本記事で私が最大の問題と感じたのは、はしかの基本再生産数(感染力)を「12から18」(この数字はコンセンサス)と示す一方、新型コロナウイルスの基本再生産数を「2から3」と“矮小化して報じた”ことです。
前回記事でも詳述したように、「2から3」は“武漢で発生した野生型の数値”であり、その後感染力が何倍にも増大したオミクロン株の基本再生産数は「5.5から24」にまで達し、既に“はしかの感染力を上回っている可能性”もあります。

デルタ株の基本再生産数が「5から9.5」であることは1年以上前からWikiレベルで公開されていることであり、NHKがそれを知らないはずなどなく(増して専門家も出演している)、前回記事で触れた「コロナワクチン死を自然感染死と捏造した問題」が冷めやらぬ間に“コロナを矮小化/終わったことにする政官財のプロパガンダ”に加担するなど、私利私欲と無責任を優先する悪行への怒りとこの国の未来に対する危機感しかありません。

公ごとに携わる人間にこそ、国民全体に対する【With love(思いやり)】が必要不可欠なのに…。


The Beatles - From Me To You [The Royal Variety Performance, Prince of Wales Theatre, London]

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1963年 マージー・ビート 優しい愛 パスト・マスターズ  

コメント

こんにちは。

確かに60年前のサウンドとは思えないくらいビートルズらしいです。ただ”おとなしい”とは感じます。シンプルと言うべきか・・・・?

2023.05.27  忠      編集

久しぶりの更新でしたね~!スタイル・カウンシルから長らく更新されていなかったのでやや体調不良なのかと心配しました。フロムミートゥーから60周年ですか!確かにビートルズ結成され初期曲席巻したのは小生が小学校低学年時代、年をとるわけですね~!
(PS)ビリー・ジョエルのデビュー50周年記事特集(その2)も「オネスティ」で公開していますのでまた覗いてみて下さい。

2023.05.27  ローリングウエスト  編集

忠さん

みんなビートルズみたいな曲を書き彼らのように歌いたいと思って、マネできないと思います。
特にシンプルなほど素材の勝負になりますから…。

2023.05.27  Beat Wolf  編集

ローリングウエストさん

確かに今回はすごく長かったですね、ご心配かけて恐縮です。
当時20歳でキャーキャー言われてたポールが80歳のおじいさんですからね。
私がこの曲をはじめて聴いた時すでに20年経過して凄い昔の曲のイメージでしたが、今はそれからさらに40年が経過しました。
今の若者がビートルズを聴いているとすれば、もっと凄いことだと思います。

2023.05.27  Beat Wolf  編集

小生は初期名曲についてはベスト盤「オールディズ」でしたが、中学1~2年ころに針が擦り切れるほど聴いていました。「赤盤」の方は買いませんでしたが2枚組ですから名曲の幅は広がりますよね。ビートルズ結成や初期曲の60周年のサイクルに入ってきました。10年に数回仕掛けてくる「結成〇〇周年、解散××周年、名盤△△周年」の節目商業イベントで若い世代にその名曲は受け継がれてきました。この永遠のループでビートルズ音楽は確実に若い世代に受け継がれていきますよね。

2023.05.31  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

ビートルズ初心者にとって難しいのは、オリジナルアルバムを揃えても有名な曲が揃わないことで、その穴を埋めたのが「オールディズ」でした。
そして興味深いのはシングルやアルバムなどによって音源やミックスが異なっていたりすることです。
世代の異なる私がビートルズに出あい好きになったように、今後の世代にも愛されつづけると思います。

2023.06.02  Beat Wolf  編集

ファルセット

"I Can Doゥゥゥゥゥ"のファルセット、彼らの十八番はこの曲からでしたね(その後、"She Loves You"に展開) でも、彼らのシングル曲の中では、地味に感じてしまうのは私だけかな。当然、好きですけど(^^♪ "With Love"...またBeat Wolfさんのブログで気づかされてしまった。有難うございます。

2023.06.04  YOU NO IT NAME  編集

Re: ファルセット

ビートルズ・特にポールの歌唱ではデビュー前からシャウトやファルセットが使われており、これはリトル・リチャードの影響が大きいと思います。
また本曲が地味と言うより「プリーズ・プリーズ・ミー」や「シー・ラヴズ・ユー」が派手過ぎると言うべきかもしれません。
本曲を地味と定義するなら、「抱きしめたい」も地味に入る気がします。(笑)

2023.06.04  Beat Wolf  編集

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