I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「アイム・エヴリ・ウーマン」チャカ・カーン

2023.09.24

category : Chaka Khan

Chaka Khan - I'm Every Woman (1978年)

ホイットニー・ヒューストンもカバーしたディスコ・ナンバー。“持ってる女”を視覚化すると…

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Nickolas Ashford, Valerie Simpson /訳:Beat Wolf

[Chorus]
私はすべてを備えた女
あなたのしてほしいこと何でも、自ずと叶えてあげる 
私こそ、女のすべてを備えた女
あなたの思うこと何でも、瞬時に、初めから終わりまで理解できる
Whoah whoah whoah

魔法だってかけられる
あなたの口にできない秘密だって
特別な醸造酒を混ぜ合わせ
その心に火をつける
あなたが危険か恐怖を覚えたら、どんな時も
すぐにだって現れる
'Cause...

[Chorus]

あなたの必要なものなら、わかる
種の心を知る雨のように
心地よい韻を添えることだってできる
かき乱れたその心の混乱に
それが古き良き流儀の恋へと行きついた時
私の愛がいっぱいになる
'Cause...

[Chorus]

[Bridge]
自慢なんかじゃない、ただそれは私ひとり
あなたが求めるだけで、それを叶えられるのは
人と比べることに心を悩ませないで
私がすべてを持っている
Whoah whoah whoah

[Outro]



~ 概要 ~

「アイム・エヴリ・ウーマン」は、1970年代に Billboard 200 で3作連続 Top10 を記録しグラミー賞にも輝いた人気ファンク・バンドのルーファス(Rufus)のリード・ヴォーカルだったチャカ・カーン1978年10月の 1st ソロ・アルバム『恋するチャカ(Chaka)』からの先行シングルで、Billboard Hot 100 の21位(同 Best Selling Soul Singles は No.1)を記録した楽曲です。
翌79年のグラミーではドナ・サマー「Last Dance」に敗れたものの【Best R&B Vocal Performance, Female】にノミネートされ、2022年にはローリングストーン誌【200 Greatest Dance Songs of All Time 27位】に位置づけられました。

作者は1960年代後半以降のモータウンで「Ain’t No Mountain High Enough」ほかマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの共演作品など多くのヒット曲を創作したソングライター・チームとして、またソウル・デュオとしても活躍したニック・アシュフォードとヴァレリー・シンプソンによる夫婦デュオのアシュフォード&シンプソンです。
プロデュースはアレサ・フランクリンやビー・ジーズ、ロバータ・フラック、ダニー・ハサウェイ、カーリー・サイモン、ノラ・ジョーンズらを担当し2度【グラミー・最優秀プロデューサー賞】を受賞したアリフ・マーディンで、彼は1984年にも「I Feel For You」でチャカと組んで成功を収めました。

ミュージック・ビデオは、当時MTVやVH1、BETなどポピュラー音楽のビデオクリップを流し続ける音楽専門チャンネルが開設する数年前、つまりビデオが“プロモーション”として確立されていなかった時代に制作された映像作品として先鋭的です。
「I'm Every Woman」を表すであろう“さまざまな衣装を着て踊る5人のチャカ”の映像編集は当時の最新技術であったかわかりませんが、『ザ・ベストテン』でピンク・レディーの「透明人間」に二人の姿が突然消えたり現れたりする演出がなされたのも、1978年でした。
更にアース・ウィンド&ファイアーが映像技術を駆使した「September」のMVも同年であり、1978年は映像技術にとって革新的な変革があった年だったのかもしれません。


 



~ ホイットニー・ヒューストンのカバー ~

オリジナルのチャカ・カーンに劣らない知名度と、それ以上のチャート成績を残したのがホイットニー・ヒューストン ver.です。
ホイットニーが1992年の映画『ボディガード』「オールウェイズ・ラヴ・ユー」を歌唱し Billboard Hot 100 で14週連続No.1という歴史的大ヒットを記録したことをご記憶の方も多いでしょう。
全世界で4200万枚/日本でも当時洋楽史上最高の280万枚を売り上げた同サウンドトラック・アルバムに「I'm Every Woman」のホイットニー ver.が収録され、アルバムから2枚目のシングルとして1993年に Hot 100 の4位(年間39位)を記録、1994年のグラミーで【Best Female R&B Vocal Performance】にノミネートされました。

ホイットニー ver.のプロデュースはナラダ・マイケル・ウォルデンとデヴィッド・コール&ロバート・クリヴィリス(1990年に「エヴリバディ・ダンス・ナウ!」で一世を風靡した【C+C ミュージック・ファクトリー】の2人)が担当、冒頭にオリジナルにない【Whatever you want, whatever you need...】の独自フレーズとハウス・ジャム、アウトロでホイットニーが“Chaka Khan”と連呼する特徴があります。
PVには『ボディガード』のシーンが挿入されているほかにホイットニーの母シシー・ヒューストンとチャカ・カーン、本曲作者のヴァレリー・シンプソン、TLC(90年代に爆売れした女性R&Bグループ)、マーサ・ウォッシュ(「エヴリバディ・ダンス・ナウ!」の“本当の女声”)というバラエティー豊かな顔ぶれが出演しているほか、当時ホイットニーは娘のボビー・クリスティーナ・ブラウンを妊娠中で、ビデオでは大きくなったお腹を確認できるでしょう。

またオリジナルの1978年 ver.について、少女時代のホイットニーがバッキング・ヴォーカルとして参加していると一般に信じられてきましたが、チャカ本人は2012年のレスター・ホルトとのインタビューで、“ホイットニーは参加していない”旨を言及しています。


Whitney Houston - I'm Every Woman (Official Video)




~ Epilogue ~

And when it comes down to some good old fashioned love
それが古き良き流儀の恋へと行きついた時

このフレーズに覚えがないでしょうか…特に“クイーン”ファンの方?
そう、「Good Old-Fashioned Lover Boy(懐かしのラヴァー・ボーイ)」です。
「Good Old-Fashioned Lover Boy」は1976年12月、「I'm Every Woman」は1978年リリースで、関連があるかはわかりません。
一つ確かなのは、どんなに流行が変わろうと、【手のひらに澄んだ 水をすくって お前の喉に 流し込む】ことが恋人たちの喜びであり続けることは決して変わらない、ということでしょう。
「時代遅れの恋人たち」中村雅俊

「I'm Every Woman」はチャカやホイットニー、アレサ・フランクリンほか実力・影響力の際立った歌手によって歌い継がれ、女性の素晴らしさを称える“フェミニストのアンセム”として長年に亘り世界で愛されてきました。
2021年3月8日にチャカとイディナ・メンゼルはデュエットした「I'm Every Woman」の動画を公開し、国際人道支援機関『CARE』の【#IMEVERYWOMAN国際女性デー・キャンペーン】を支援しています。




I'm every woman, it's all in me
私はすべてを備えた女
Anything you want done, baby, I'll do it naturally
あなたのしてほしいこと何でも、自ずと叶えてあげる

「I'm Every Woman」の作者は夫婦デュオのアシュフォード&シンプソンですが、実は本歌詞を書いたのは夫のニック・アシュフォードでした。
妻のヴァレリー・シンプソンによると、彼女がコードを弾き、彼が【I’m every woman】のフレーズを発案したものの、ヴァースをどうすればよいか思いつかなかったそうです。
そこでヴァレリーが“腰に手を当てて、あなたの心の中の女性的な面を探求してみて”とアドバイスすると、歌詞が出てくるようになったといいます。

チャカは【すべてを備えた女】を“分身の術”で表しましたが、現実的に不可能であることは言うまでもありません。
【雌雄一対】の喩えがあるように、それを“男らしさ/女らしさ”と言うかは兎も角、それぞれ不完全で異なる性質を持つ二つが一対となるからこそ、より多くの場面でその不足を補い合えるのでしょう…
アシュフォード&シンプソンのエピソードは、それを象徴しています。

最後はチャカとホイットニーが競演した『VH1 Divas Live '99』の映像


Remaking WhitneyhoustonXChakaKhan I’m every woman(live from divas live 99)

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 偉大な曲 1978年 ダンス/Funk 情熱の愛 アリフ・マーディン 名作MV 映画90's  

コメント

こんにちは。

たぶん洋の東西を問わず世界を動かし元気にしているのはいつだって女性です。そのことを分かっている男の所には必ず素敵な女性が現れますが、そこを分かっていない男の所には素敵な女性は行かないでしょう?笑)

2023.09.28  忠      編集

忠さん

たぶん生物にとって最も重要なのは子孫を残すことであって、メスがその主役で、オスはその確率を高めるために存在すると思います。
人間界では男が威張っていますが、動物界ではメスに選ばれるため血の出る努力を重ねているオスを見ていると、涙が出ます。(笑)

2023.09.28  Beat Wolf  編集

チャカ・カーン懐かしい!1978年と言えばやはりディスコサウンド全盛期でしたね~!チャカ・カーンの曲といえばビートの効いたアップテンポ曲「フィール・フォー・ユー」が有名ですが、「スルー・ザ・ファイア」あたりは落ちついたバラードになったり変幻自在って感じでした。

2023.09.29  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

当時は音楽が社会に与える影響は大きく、世界中が「フィーバー」してました。
近年はボヘミアン・ラプソディが奮闘しましたが、ビートルズやマイケルジャクソンのような音楽ファン以外も知るスターがいなくなってしまいました。
ティナが亡くなってしまったので、チャカには頑張って欲しいです。

2023.09.29  Beat Wolf  編集

Chaka KahanもWhiteney Houstoneもどちらとも声量がある方達なので、聞きごたえありますよね。なつかしいです。どんどん実力のあるsingerが亡く

2023.10.07  bluskyus  編集

bluskyusさん

この曲は女性が集まって合唱したら盛り上がるでしょう。
でも二人のような超絶的歌唱力を誇った歌手ほどそれを維持することが至難で、晩年のWhiteneyの歌声の衰退は心が痛みました。
それだけに、先日のTony Bennettの凄さが痛感させられました。

2023.10.07  Beat Wolf  編集

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