I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ナウ・アンド・ゼン」ビートルズ

2023.10.28

category : Beatles & Solo

The Beatles - Now and Then

“最後のビートルズ・ソング”発売!未完ながらジョンの原曲の美しさは「イマジン」に劣らず ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): John Lennon /訳:Beat Wolf

それは真実
すべては君に由来する
僕がそれをやり遂げたとして
すべては君のお陰
時に二人は
やり直さなければならないとして
やがてきっと僕の愛を
確信するだろう

君を失いたくない
- oh no, no, no
君を失い裏切るなんて
- oh no, no, no, sweet doll
でも君が行くと
去らねばならないというなら
行かねばならないなら…
(※)

時々、君が恋しくなる
時々、僕は…(※)
君が戻ってくることを

それは真実
すべては君に由来する
たとえ君が行ってしまうとしても
僕は…(※)

君を失いたくない
- oh no, no, no
君を裏切り心を乱すなんて
- oh no, no, no, sweet doll
でも君が行かねばならないなら
僕は止めたりしない
行くというなら…
(※)

歌詞はジョン・レノンのオリジナル、(※)は不明な歌詞



~ 概要 ~

「Now and Then」はジョン・レノンが1970年代後半に創作し、ニューヨークのダコタ・ハウスにある自宅ピアノの弾き語りによってカセット・テープへ録音した楽曲です。
上の音源からも判るように歌詞や曲構成自体が創作途中と思われる“未完”の作品で、1980年にジョンが急死したため存命中に完成・発表されることはありませんでした。

1994年に“ザ・ビートルズ・アンソロジー”プロジェクトが構想されると妻のオノ・ヨーコは、生前にジョンが自宅録音した未完成・未発表曲を多数含む2本のカセット・テープを提供、「フリー・アズ・ア・バード」「リアル・ラヴ」「グロー・オールド・ウィズ・ミー」(過去ログ)などと共に入っていたのが本曲です。
「Now and Then」は『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に“ビートルズ3枚目の再結成シングル”として発表することが予定され、1995年3月20日/21日にポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターがそれぞれのパートを新しくレコーディング、プロデューサーのジェフ・リンがラフ・ミックスを完成させましたが、最終的に同アルバムへ収録されませんでした
その要因として“この曲にはコーラス(サビ)はあったが、ヴァースがほとんどなかった”(ジェフ・リン)、“デモテープに残っていたバズ音を除去できなかった”(不明)など伝えられる一方、恐らくより決定的な理由は“ジョージの反対”でしょう。
ポールは、ジョージが本曲を“fucking rubbish(酷いゴミ)”と呼び発表を望まなかったため、“ビートルズは民主主義”(メンバーの一人でも反対したら実行しない)により棚上げとなったと、語っています。
一方、ジョージの未亡人オリヴィア・ハリスンは“1995年当時、スタジオで数日間この曲に取り組んだ後、ジョージはデモの技術的な問題を克服できないと感じ、この曲を十分に高い水準で仕上げることは不可能だと結論づけた”と語っており、恐らくジョージの反対は楽曲に対する評価でなく“録音状態が悪過ぎる”との判断なのでしょう。

2023年6月、BBC のポッドキャスト番組でポールはカセット・テープに収められた劣化したデモ音源からジョンのヴォーカルだけをAIで取り出し、それを元にしたビートルズ最後の新曲を現在制作中であることを告白、“今年のうちにリリースされる予定”と述べました(この時点で曲名は示されなかったものの、BBCは「Now And Then」と予想)。
ビートルズは2021年にピーター・ジャクソン監督による長編ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』を配信公開しましたが、その際ウィングナット・フィルムスのMALというオーディオ・テクノロジーを採用しサウンドトラックの楽器とヴォーカル、メンバーの会話の個々の声を分離することに成功しており、この技術を“「Now And Then」のデモにも適用できるのでは”と、2022年にポールとリンゴがこの曲を完成させるべく始動しました。

2023年10月26日、“ビートルズ最後の曲”が「Now And Then」であることを正式に公表、“ビートルズ最初の曲”「Love Me Do」との両A面で11月2日23時(日本時間)にリリース(デジタル配信)すると発表しました(輸入盤アナログ/カセット:11月3日、日本盤アナログ[直輸入盤仕様限定盤]:11月17日発売)。
また「Now And Then」は、11月10日に発売されるビートルズのベスト盤『The Beatles 1967-1970』(通称:青盤)の“2023エディション”(日本盤CD・デジタル・輸入盤)にも収録されています(日本盤LP[直輸入盤仕様限定盤]:11月22日発売)。
今回の2023エディションでは、『The Beatles 1962-1966』(通称:赤盤)と青盤に「I Saw Her Standing There」「Twist And Shout」ほか計21曲を追加、すべての音源を2015年以降のステレオ/ドルビー・ミックスやAI技術を使った新たなミックスが採用されています。


 
The Beatles 'Now And Then' trailer / It looks like it was just shot yesterday.



~ Story ~

But if you have to go, away
去らねばならないというなら
If you have to go ...
行かねばならないなら…

元々の音源が著しく音質の劣るカセット・テープに自宅で録音されたデモであり、【...】のように言語化するのが難しい部分が歌詞中に何か所もあります。
ネットの歌詞サイトを幾つか確認したところ何れの歌詞フレーズもバラバラで正確に表しているとは思えず、私は“言語化不能”と判断しました。

これは個人的推論ですが、この時点で本曲は完成にまだ遠い段階で、ジョンが思いついたアイデアを忘れないよう“メモ”代わりに録音した音源と想像します。
歌詞の定まっていない部分は“スキャット、または試行の言葉”であろうと…。


Now and then, I miss you
時々、君が恋しくなる
I don't want to lose you - oh no, no, no
君を失いたくない - oh no, no, no

興味深いのは元のタイトルは「I Don't Want to Lose You」や「Miss You」とされるのに対し、2006年にポールが“元のタイトルは良いとは言えなかった”と語っていることです。
また【Ono Music, Inc 1985】の歌詞では、本曲のタイトルが「I Don't Want to Lose You」と印刷され、そこに手書きで「Now and Then」のタイトルが加筆されていることからも、元のタイトルは「I Don't Want to Lose You」の可能性が高いと推察します。
加筆がいつ行われたかは不明であるものの少なくとも1985年以降、つまり“「Now and Then」はジョン以外の第三者が変更したタイトル”であることはまず疑いありません。

もう一つ興味深いのは、同じくポールがジョンから生前最後に言われた言葉“Think about me every now and then, old friend”(古き友よ、時々は僕を思い出しておくれ)であったと語り、アンソロジー・プロジェクト後に何度も本曲のビートルズ ver.を完成させたいと公言してきたことです。
そこで一つの仮説として浮かぶのが、“【now and then】の言葉に特別な思い入れのあるポールの意向によってタイトルが変更されたのでは?”、という疑念です(レコード会社の商業利益の思惑も?)。
しかし幾らポールであっても、ジョンが名付けたタイトルを独断で変更するなど許容されるはずがありません。

そこでポールの意向が反映されタイトルが変更されたのが真実であると仮定し、逆説的にそれが許される状況を推理してみると、“「I Don't Want to Lose You」はジョン本人が名付けたタイトルではない”としたら、どうでしょう?
本作品の歌詞とメロディ全体から印象付けられる概念を象徴する言葉というと、やはり私も「I Don't Want to Lose You」か「Miss You」が浮かびます。
すなわち“出て行った最愛の人が恋しくて、再会したい”であり、ジョンとの過去に“そんな出来事”があったことを身をもって知るヨーコにとって、九分九厘彼女への想いが込められた【I don't want to lose you】【I miss you】が何より大切なメッセージであろうことは想像に難くありません。
本曲についてジョン本人が書いた歌詞草稿が存在するかは不明ですが、もし遺されたものがこのカセットテープだけだったなら、ジョンの遺品を預かるヨーコが「I Don't Want to Lose You」と名付けても不思議はないでしょう。

果たして本作品は、ジョンが誰にメッセージを宛てたものなのでしょう…
彼の純粋な思いとは別に、本タイトルには“ジョンを巡るポールとヨーコの激しい駆け引き”が見え隠れしているように思えてなりません。


The Beatles - Now And Then - The Last Beatles Song (Short Film)

11/1の公開されたオリヴァー・マレーが脚本・監督を手がけた12分間のドキュメンタリー映画)


~ Epilogue ~

11月2日23時に配信された“最後のビートルズ・ソング”「Now And Then」
(MVは11/3 22時に公開)

公式ウェブサイトによるとビートルズ2023年 ver.では、オリジナル・デモからAIで抽出したジョンのヴォーカルに加え、ジョージが1995年に録音したエレクトリック・ギターとアコースティック・ギター、リンゴの新しいドラム/タンバリン/シェイカー、そしてポールによる新しい追加の歌詞/ベース/ピアノ/ジョージにインスパイアされたスライド・ギター・ソロ、そして4人によるバッキング・ヴォーカル、更にポールとジャイルズ・マーティン、ベン・フォスターによって書かれたストリングス・アレンジメントを取り入れたサウンドとなっており、ポールは“すべて本物で(AIにより人工的・合成的に作成されたものは何もない)、みんなで演奏している”と説明していました。


The Beatles - Now And Then (2023)

あなたは“最後のビートルズ・ソング”、どうお感じになられたでしょう?

私の感想を一言で表すと“残念”、です。
私はジョンのオリジナルをとても気に入っており、このまま音質をクリアにしたものが最善と思っていますが、“ビートルズ”としてサウンドを構築する以上、ジョージのギターやポールのベース、リンゴのドラムスを加えた“ソフト・ロック”なテイストに変更されるであろうことは想定していました(現役のバンドなら「Yesterday」のようなアレンジも可能だが、イベント的な今回の復活では“全員参加”が最優先)。

しかし想定外だったのは、ジョンのオリジナルに存在した【I don't want to lose you... 】のパートがビートルズ2023 ver.で丸ごと削除されたことです。
オリジナルではこのパートが2か所あり、元のタイトルにもなっていた作者(=ジョン)の心情を表す重要な言葉といえます。

逆に増えたのは【Now and then】のパートであり、これはポールが生前ジョンから受けた最後の言葉で、彼は“元のタイトル(I Don't Want to Lose You)は良いとは言えなかった”と発言していました。
ジョンのオリジナルは彼とヨーコの過去や、彼女と出会ってからの彼の作風を鑑みて“ジョンからヨーコへのメッセージ”と私は理解しますが(“母ジュリアへの想い”にも重なる)、上記のとおりポールには“ジョンとポールの友情物語”としたかった節がみられます。
本記事に於いて【Story】までは2023 ver.配信前に、本項は配信後に書いていますが、記事編集中にジョンのオリジナルの動画(非公式)が2度閲覧不可能になっただけでなく、【I don't want to lose you... 】のパートを含むビートルズ公式のアンソロジー ver.まで閲覧できなくなったことからも、“その強い意志”を感じました。


…ところで、最下の動画をご覧ください。
「Now And Then」の動画を検索していてこのサムネイルを見た時、私は自分の目を疑いました!
ところが動画を再生してみると“歌っている彼はまさにジョンであり、歌声もジョン”で、もっと驚かされたのです。
タイトルに【Impersonator(扮装者)】とあるものの“あまりにジョン”であったっため私は『AI』を疑いましたが、ネットで調べてみると彼は素人でなく数々の映画やTVコマーシャルに出演している“ジョンのトリビュート・アクト”で、長年ジョンを見(聴き)続けてきた私を惑わせるとは、個人的に今回のビートルズ2023 ver.以上のサプライズでした。


John Lennon - Yesterday [AI]

一方、AIを使うと「Yesterday」をジョンに歌わせることだってできちゃいます!
現実にあり得ない願望をバーチャルで叶えるという使い道はあろうものの、この世界にどっぷり浸るのはどうでしょう…
仮にAIが著作権問題をクリアし音楽ビジネスの常識になったとして、『AI レノン/マッカートニー』が作曲・歌唱し『AI クラプトン』がギター音源を生成し続けるというのは、考えものです。
また2019年に「俺ならマイク・タイソンを倒せるぜ」(過去ログ)で、AIの Deep Learning(深層学習)を用いて作成された映像が現実と区別するのが極めて難しいレベルにまで達していることに警鐘を鳴らしましたが、こうした“フェイク”が犯罪に悪用される“諸刃の剣”であることを忘れるべきではありません。

核兵器を生み出した科学者が過ちを犯したように、21世紀に生きる現代人も“AIとの関わり方”を真剣に考えるべき時期にあると、私は考えます。


Now and then - John Lennon Impersonator - Javier Parisi 必見です!

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : バラード/ピアノ ソフト・ロック せつない愛 ビートルズ(その他) 

コメント

まさかAIのおかげでジョンの声を再抽出してビートルズ4人の歌が聴けるとは思いませんでした。まさにイマジンの様に語り掛けてくるような曲です。12月ジョンの命日はまた盛り上がるでしょうね。

2023.10.29  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

解説前で詳細は語れませんが、そういうことです。
でもそれはAIverが好評か次第かもしれません。
どのようなアレンジになるか、見ものです…。

2023.10.29  Beat Wolf  編集

早いもので明後日はもう11月、ジョージハリスンの命日が近づきますね。12月はジョンの命日を迎え、今回のビートルズ新曲でジョンもジョージのお二方も天国から喜んでいることでしょう!
(PS)四国霊場への激励を頂きありがとうございました。洋楽記事はアーハ 「テイク・オン・ミー」を公開していますので、またコチラも覗いてみて下さいね。

2023.10.30  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

生きているうちは何かと喧嘩しても、いなくなってみればどれだけ貴重だったかわかるものかもしれません。
ポールはストーンズみたいに一生みんなで続けたかったでしょう。
後ほどお邪魔させていただきます。

2023.10.31  Beat Wolf  編集

こんにちは。

それにしてもすごい物語になっていますね。4人のうち2人が亡くなっているにも関わらず、ビートルズとして音楽を作るんですから。
こういう企画には賛否両論あるんでしょうが、メンバー個人に特別な思い入れがなければこういう厚い音の方がビジネス的には成功するのでしょうね。

それにしてもビートルズには「物語」が似合い過ぎています。

2023.11.05  忠  編集

忠さん

普通なら私も歓迎しますが、それを帳消しにしたのが中心的歌詞の削除です。
あの世に行ったら、ポールはジョンに厳しい叱責を受けるでしょう。
創作に対する解釈は受け手の自由ですが、歌詞そのものを削除して趣旨を変えるなど、やってはならないことです。
もしかしたらジョージが反対した理由も、このことだったのかもしれません。

2023.11.05  Beat Wolf  編集

ご無沙汰しております。
大変詳しく解りやすい解説を読み納得しました。
個人的にはビートルズに興味は無いのですが、TV等の情報を
見て(曲も一応聴いて)も、ピンと来ないと言うのか、しっくりしないと
言うべきか.... 兎に角釈然としない曲だなと感じました。
最後の動画を見て納得しました。全く違う曲ですね。
ジョンさんの曲、だから息子さんが仕上げればよかったのに....

ポールさんが"新曲"に拘った?誰か借金してるの?ヨーコさんの熱望が
あった?関係者皆んな高齢だから?とか意地悪を想像しそうです。
これじゃ誰の手柄にならずジョンさんは喜ばないと思います。私はデス。

2023.11.08  コタパパ  編集

コタパパさん

お久しぶりでした。
原曲やビートルズとその関連の人間関係、ジョージ(と恐らくヨーコ)がこういう“改変”を伴う形での本曲の発表に反対していたこと、現在ヨーコが病で反対できないことを知らない一般人にとってはおめでたいことと思います(メディアは知っていて商業利益のために隠蔽)。
しかしビートルズ、特にジョンのファンにとってはたとえ未完であろうとオリジナルに遺された彼の歌声とピアノ演奏のすべてを入れた上でのビートルズver.であって欲しいと願うはずです。
しかし今回のは歌詞の中心的部分とピアノを削除してしまい、こんなことをされたら創作者の誰もが怒るでしょう。
私は明らかにポール・ファンですが、今回は彼の悪い癖が出たと思っています。

2023.11.09  Beat Wolf  編集

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