I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「セイ・イット・イズント・ソー」ダリル・ホール&ジョン・オーツ

2023.11.29

category : Daryl Hall & John Oates

Daryl Hall & John Oates - Say it Isn't So (1983年)

同時ベスト盤入りの新曲でホール&オーツとマッカートニー&ジャクソンが最強デュオ対決!

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Daryl Hall /訳:Beat Wolf

Say it
Say it isn't so...

“満足していない”なんて
君は苦もなく口にする
この前、僕が聞いた下手な言い訳
君の嘘など、お見通し

今や悪い何かが起こりそう
まさに一触即発の事態
だけど静観で収まるなんて弄んでいると
そいつは更にもっと噛みついてくる

(Say it)
何が望みか言ってごらん
すぐ叶えてあげるから、約束する
(Say it)
君が立ち往生した時、誰が支えになった?
やる気を失い、地に伏した君を

[Pre Chorus]
君の最初の反応はわかってる
滑るように遠のいてゆき
人目につかないよう身を隠し、サヨナラさ
だけど一つでも疑いがあるなら、僕が答えてあげよう
君が“そうじゃない”と言わなければならない千の理由を

[Chorus]
(It Isn't So)
Now Say It isn't So...

(Say it)
僕らはパーティの知らぬ人でありたい
一つの貝殻の中でせめぎ合う二人
(Say it)
君は最高の相手と共にありたいと望む
そして僕らこそ、それに適うと知っている

[Pre Chorus 2]
誰かに頼る必要なんてない
ドアが開いている理由も知っている
でも、たとえ誰かに置き換えられる悲劇に直面しようと
僕はなお、君を求めている
だから、“そうじゃない”と言っておくれ

[Chorus]
[Refrain]

[Bridge]
何故そんなに行きたがり
それを口にしなければならない?
どうしても行きたいと…
あぁ、どうか“そうじゃない”と言っておくれ

[Outro Coda]



~ 概要 ~

「セイ・イット・イズント・ソー」はダリル・ホール&ジョン・オーツ1983年10月18日にリリースされたベスト・アルバム『フロム・A・トゥ・ONE(Rock 'n Soul Part 1)』に収録された“新曲”の一つで、10月29日にシングル・カットされ Billboard Hot 100 で4週連続2位(1984年の年間22位 / All Time 900位)を記録した彼らの代表曲の一つです。
“4週連続2位”という特異な記録は同時期ポール・マッカートニー&マイケル・ジャクソンの「Say Say Say」が6週連続No.1を遂げていたためで、“10週連続2位”という歴史的珍事を残したフォリナーの「ガール・ライク・ユー」の悲運にも9週連続No.1という歴史的大ヒットとなったオリビア・ニュートン=ジョン「フィジカル」の存在があり、ちなみに残りの1週間フォリナーの1位を阻んだのがホール&オーツの「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」でした。

「Say it Isn't So」は前作『H2O』のツアー中にダリルが作詞・作曲し1983年9月に録音されたもので、バッキング・ヴォーカルが「I Only Have Eyes for You」(1934年発表)の【The Flamingos】ver.(1959年に Hot 100 で11位)にインスピレーションを得て構築されるなど、古い時代のドゥーワップ/R&Bの様式に基づいており、Cash Box 誌は“モータウン風だがノスタルジックというより活力に満ちたもの”と評しました(※The Flamingos はモータウン所属ではない)。
一方、プロデュースはホール&オーツに加え、当時ブライアン・アダムスのプロデューサーとして知られたボブ・クリアマウンテンを起用(彼はH&Oの次回作『Big Bam Boom』も共同プロデュース)、キーボードやシンセサイザーを駆使した80年代らしいサウンドとなっており、ジョンは“ダンス・ミュージックとソウル、ロックが上手くミックスした良い例”と語っています。
12インチ・シングルが流行した当時、本曲はジョン・"ジェリービーン"・ベニテスによって【Special Extended Dance Mix】がリミックスされ、Billboard Hot Dance Club Play で No.1 に輝きました。

ミュージック・ビデオは2種類制作されており、一つは上記【Special Extended Dance Mix】を音源とした5分余りの映像で、当時 MTV でヘビー・ローテーションされました。
もう一つは MTV で放映されたホール&オーツの特別番組『The Greatest & The Latest』のために制作された映像で、こちらは後半にダリルとジョンが寸劇を演じているのが特徴です。


 
 



~ Story ~

Say it
Say it isn't so...


言うまでもなく【そうじゃないと言ってくれ】は“現実を受け入れ難い心情”が込められた表現であり、誰しもそのような感情に見舞われた経験はあるでしょう。

それはアメリカも同じで、このフレーズにまつわる有名な逸話があります。
ベーブ・ルースが“今まで見た中で最高の打者”と形容した20世紀初頭の有名なメジャー・リーガー、“シューレス”ジョー・ジャクソン(最高打率.408/通算打率.356)が関与したワールドシリーズでの八百長事件(ブラックソックス事件)の大陪審で、証言を終えて裁判所から出て来た彼に1人の少年ファンが“Say it ain't so, Joe!(嘘だと言ってよ、ジョー!)”と叫び、元CCRのジョン・フォガティ「Centerfield」でもネタにされました(※実際は、少年の発言は事実でなく新聞記者の捏造だったらしい)。

ちなみに、ホール&オーツの「Say it Isn't So」のNo.1を阻止した曲が「Say Say Say」だったというのも、何かの因縁でしょうか…。


But if I'm faced with being replaced
でも、たとえ誰かに置き換えられる悲劇に直面しようと
I want you even more
僕はなお、君を求めている

「Say it Isn't So」は“軽妙なポップ”で包まれていますが、その内側には“せつない核心”がときめいています。
“顔で笑って心で泣いて”…こういうサウンドと歌詞に内包された真意があべこべな歌は案外多いですが、今回は日本の“かなりユニークな歌”を挙げてみましょう。

その歌とは、本曲とほぼ時を同じくして発表(1983年10月21日)された中島みゆきのシングル「あの娘」です。
中島みゆきというと『生きていてもいいですか』や「うらみ・ます」「わかれうた」など、繊細で“せつない核心を、より深く暗い水底に沈める”ような作風イメージを抱くでしょう。
しかし「あの娘」は【あのこを例えば殺しても あなたは私を愛さない】という“絶望”が綴られているにも拘らず、曲調は“ぶっ壊れた?”と思えるぐらい不自然に明るいのです!
まるであまりに辛いことを忘れるためヤケ酒飲んで酩酊し、くだを巻いているかのように…?

ちなみに、カップリング曲の「波の上」はこれぞ“みゆき節”と言える名曲です。

  
あの娘 / 波の上


Daryl Hall John Oates SAY IT ISN'T SO 1983




~ Epilogue ~

We like to be the strangers at the party
僕らはパーティの知らぬ人でありたい
Two rebels in a shell
一つの貝殻の中でせめぎ合う二人

解り易い歌詞にあって、“意味深”なライン…
これについてダリルは“ジョンと僕の関係に大きく関わりがある”とし、この感情が本曲の原動力となったと説明しています。
また当時彼らは人気絶頂で“成功バブル”の只中にあり、またそれに伴う様々な批判が浴びせられたこともあって外の世界からの疎外感を抱いていたそうです。

更に80年代後半にそれぞれのソロ活動の機会が増え90年代にH&Oとしての活動が停滞すると、メディアが“不仲”だ“解散”だと書き立てた一方、当の本人たちは一度も解散を宣言したことはなく“それぞれやりたいことがあるし、また一緒にやりたくなったらいつでもH&Oに戻る気持ちはある”と公言し事実、その後何度もH&Oとしてツアーや創作活動を行ってきました。
また二人の関係について私は、彼らが普段“プライベートは別々”との趣旨の言及に何度か触れた記憶があり、このフレーズを“常時デュオという【小さな貝殻】の中で慣れ合うことに満足せず、常に広い世界に出て新たな発見を獲得し、それを貝殻に持ち寄ることが、長く創作活動を続けるために大切”なのだと、ずっと理解してきました。
しかし…

ダリル・ホール、ジョン・オーツに対する接近禁止命令を申請

今年11/23のニュースに、とても驚きました!
当初その詳細について報じられていませんでしたが、その後の報道によると、H&Oはその著作権を二人が半分ずつ株を保有する会社『ホール・オーツ・エンタープライゼスLLP』が管理しており、ダリルによると、ジョンが自分の持ち株をダリルの同意なく音楽出版/マーケティング会社のプライマリー・ウェイブ社に売却する計画を進めていたらしく、そのためにダリルが“私はプライマリー・ウェイブとパートナーになるつもりはなく、オーツ・トラストがこのような非道なやり方で私に新しいパートナーを押し付けることは許されない”として、提訴したようです。
(プライマリー・ウェイブ社はH&Oの楽曲の一部権利を15年間所有してきたが、ダリルは同社のビジネスを評価しておらず、過去数年に亘りジョンと揉めていたらしい)
一方、ジョンも裁判所に“ダリルがこのような手段を取り、このような卑猥な発言をする動機が誰なのか、何なのか、私には見当もつきませんが、私は深く傷ついています”と、反論を提出したといいます。

近年、大物ミュージシャンが自身の著作権を売却する動きが顕著となっており、ブルース・スプリングスティーンが5億5,000ドル(約712億円)、ボブ・ディランが3億〜4億ドル(約518億円)、ポール・サイモンが2億5,000万ドル(約323億円)、ジャスティン・ビーバーが2億ドル(約258億円)…といった巨額も話題となりました。
著作権は著作者の死後70年を経過するまで有効ですが、当人が元気なうちに利益確定するは当然の権利だし、異なる考え方の人もいます。

庶民にとっては雲の上の話ですが、私たち誰もが願うのは彼らの音楽がこれからも長くファンの心と共にあり続けること、そしてダリルとジョンのハーモニーが再び私たちの前に帰って来ることです。


Daryl Hall & John Oates - Say It Isn't So (The Liberty Concert, 1985)

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1983年 ロック/ポップ せつない愛  

コメント

ホール&オーツは初期時代の濃厚なブルー・アイド・ソウル時代が大好きでした。とはいえPOP化した80年代の彼らの大活躍は目を見張るものがありましたね。ホール&オーツは実はまだ初期時代の曲しか公開していなかったので、来年こそもう一度彼らの歴史を全て網羅するシリーズを立ち上げようと思っております。

2023.11.30  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

本人の弁によると初期は他人であるプロデューサーを介し音楽を表現していたことに満足できず、1980年からセルフ・プロデュースするようになって満足と結果が得られるようになったようです。
黒過ぎると「黒人の模倣」ポップだと「売れ線狙い」と批判され、創作者は大変ですね。

2023.12.01  Beat Wolf  編集

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