I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「炎のロックンロール」クイーン

2023.12.07

category : Queen

Queen - Keep Yourself Alive (1973年)

ブライアンの知性を物語る歌詞とセンスを窺わせるギター、記念すべきクイーンのデビュー曲 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


~ Lyrics ~

Writer(s): Brian May /訳:Beat Wolf

俺は人生のあらゆる困難について、百万回教え込まれた
少しでも賢くなる努力を重ね、僅かでも日々成長せよ、と
だがたとえ百万の河を渡り、百万マイル駆け巡ろうと
俺は依然出発点にあり、パンとバターが笑顔の糧
確かに、百万の鏡を路地裏の店で売った
だが俺は、飾り窓に映る己が顔すら見たことがない
家族はお前を“スーパースターになれ”と教え込んでいると聞く
だが教えておこう、今いる場所に留まり満足することだ

[Chorus]
生き続けろ、生き続けるんだ
すべての時間とあらゆる対価を払ってでも…
お前はきっと生き残る

私はベラドンナの霞の中で百万の女を愛し
銀のトレーで運ばれる百万の晩餐を口にしてきた
この肉体と魂を養うに足るすべてを与え給え
私はきっと少し大きくなる、それが終着点へと導くかもしれない
会う人すべてに百万と尋ねられた
どうして努力し続け、日々成長しなければならないか、と
だがたとえ百万の河を渡り、百万マイル駆け巡ろうと
私は依然出発点にあり、歩みを始めた時と同じ…

[Chorus]

[Drum Solo]
[Guitar Solo]

[Chorus]

[Bridge: Roger Taylor & Brian May]
お前は自分が日々成長してると思う?
いいや、俺は己が墓穴に二歩近づただけ

[Chorus]

[Outro]
すべての時間とあらゆる対価を払え…お前はきっと生き残る
己が心を満たし、生き続けろ



~ 概要 ~

「炎のロックンロール」は1973年7月6日にイギリスでリリースされたクイーンのデビュー曲で、同年7月13日の1stアルバム『戦慄の王女 (Queen)』にも収録されたロック・ナンバーです。
アメリカではそれぞれ1973年10月8日/1973年9月4日にリリースされアルバムは1974年2月に Billboard 200 で最高83位、イギリスではようやく1974年3月に47位で初チャート・インする反応の悪さで(1976年2月に最高24位)、本シングルに於いては何れの国もチャート・インさえ果たせませんでした(クイーンにとってイギリスでチャート・インできなかった唯一のシングル)。

こうした惨憺たる結果についてブライアン・メイは、モジョ誌に“(「炎のロックンロール」は)最初のヴォーカルまで30秒以上かかるため(敬遠され)ラジオであまりオンエアされなかった”と語り(EMIも5回要請したがその度に拒否された)、『戦慄の王女』についても“制作に時間がかかり過ぎ、アルバムを出す頃には音楽シーンが大きく変わってしまった”(後述参照)とギター・マガジンで振り返っています。
しかし後世、NME誌は【100 Greatest Albums You’ve Never Heard;54位】(2011年)、ローリングストーン誌も【100 Greatest Guitar Songs of All Time;31位】(2008年)と高い評価を与えており、トータル・セールス3億枚とも言われる彼らのデビュー作として少し名誉も回復されたと言えるのでしょう。

『Queen: The Early Years』の著者であるマーク・ホドキンソンによると、「炎のロックンロール」は元々クイーン結成後でジョン・ディーコンが加入する前の1970年、インペリアル・カレッジやフェリー・ロードの庭園でバンドがセッションを行っていた時にブライアン・メイがアコースティック・ギターで着想したものです。
当時彼らはまだ正式なレコード契約を結べておらず、1971年にデ・レーン・リー・スタジオの導入機材のモニター役を務める代わりに無料でデモテープを制作する権利を得たことにより「グレイト・キング・ラット」、「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」、「ライアー」、「ジーザス」と共にスタジオでデモ録音したのが「炎のロックンロール」でした。
このデモテープを素にした各レコード会社への応募は尽く失敗に終わったものの、デモテープのレコーディング時にデ・レーン・リーを訪れていたプロデューサーのジョン・アンソニーとロイ・トーマス・ベイカーが「Keep Yourself Alive」を気に入り、トライデント・スタジオの経営者へクイーンを推薦してくれたため、彼らは深夜などの空き時間に限りスタジオを無料で使用できる契約を獲得、1972年夏頃から上記2人のプロデューサーを迎え『戦慄の王女』のレコーディングが本格的に始まっています。
トライデント・スタジオはビートルズ「ヘイ・ジュード」『ホワイト・アルバム』('68)、ローリング・ストーンズ「ミッドナイト・ランブラー」('69)、エルトン・ジョン「ユア・ソング」('70)、デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』('72)ほか数々の名曲がレコーディングされた当時最新・超人気スタジオであり、これを契機にクイーンの拠点となった)

ローリングストーン誌が“限界を超えてエフェクトされたリズムと質感を伴い、ユニゾンで叫びを上げる多重録音されたギターはブライアン・メイの決意声明であり、アルバム全体分の価値のリフが1曲に凝縮されたシングル”と表したギターについて、EMIミュージック・パブリッシング『Off the Record』の楽譜に印刷されたトランスクリプションには少なくとも7つの異なるエレクトリック・ギター・パートが記載され、そのうちの1つは顕著なフェイジング・エフェクト(時短軸と音程が連続的に変化することによって音にうねりが生じる効果)を使用しており、ブライアンも1982年に『On The Record』で、激しくかき鳴らされるギター・リフの背後にあるテクニックを“あれはまさにテープ・フェイジング(※)だった。ただ僕が覚えている限り、この曲のソロには何の加工もされていない”と言及しています。
テープの再生ヘッドが録音ヘッドの後方に付いていることで再生音が少し遅れる仕組みを利用し、山彦のような反響音を作り出す)
またこれに関連したテクニックにについて今回、ブライアン本人が本曲のギター演奏・解説している動画を発見したので、こちらも掲載しましょう。

アルバムは1972年11月までに完成しましたがこの時点で所属レコード会社が決まっておらず、EMIレコードとライセンス契約を結び実際にレコードが発売されるまで更に8か月を費やしたため、先述したブライアンの“ぼやき”へ繋がったと思われます。
「Keep Yourself Alive」はライブで80年代も即興演奏や「フラッシュ・ゴードン」メドレーと組み合わせるなど様々な形で演奏された定番曲であり、最も多くの耳に知られるのは2018年の映画『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディとジョンを迎えた初ライブのシーンに使われた音源で、これは1974年3月31日にロンドンのレインボー・シアターで行なった実際のライブによるものです。


 
Brian May: As promised 'Keep Yourself Alive'... 25 March 202 / Brian May: 'Keep Yourself Alive' Pt 2 - 25 March 2020

 
 



~ Story ~

But if I crossed a million rivers and I rode a million miles
だがたとえ百万の河を渡り、百万マイル駆け巡ろうと
Then I'd still be where I started, bread and butter for a smile
俺は依然出発点にあり、パンとバターが笑顔の糧

「Keep Yourself Alive」は、結成されたばかりのクイーンがすぐライブのセット・リストに入れた作品であり、フレディは本曲について“当時のクイーンを人々へ伝えるのにとても良い曲だった”と言及しています。

ブライアンは1968年にハンプトン・スクールの同級生だったティム・スタッフェル(vo/b)とクイーンの前身となるバンド【スマイル(Smile)】を結成し、広告によりロジャー・テイラー(dr)を迎えバンド活動を始めました。
1969年8月にマーキュリー・レコードと1度限りのシングル発売契約というチャンスを得たものの、シングル「Earth」は全く売れず、失意のティム・スタッフェルが1970年3月に脱退するバンドの危機に見舞われています。
「Keep Yourself Alive」が創作されたのはその直後のことであり、この間フレディが加入したものの代わりのベーシストが見つかっておらず、当時24~21歳の彼らは“堅実だけど平凡な人生”と“ロック・スターへの夢”の間で脅迫に近い葛藤を抱いていたことでしょう。
音楽を一生の職業として成立させることさえ一握り、スターなど夢幻レベル…の世界の話です。


Do you think you're better every day?
お前は自分が日々成長してると思う?
No, I just think I'm two steps nearer to my grave
いいや、俺は己が墓穴に二歩近づただけ

ロジャー&ブライアンが歌うブリッジ…
1977年にアルバム『世界に捧ぐ』リリース時のラジオの特別番組でブライアンが本曲の歌詞について、“自分らの考えを皮肉と冗談交じりに書いた”と言及しているそうですが、上の経緯を踏まえれば“推して知るべし”でしょう。

一方でブライアンは“フレディが歌うとその意味がまったく変わってしまった”と語っていることも、興味深く思えます。
恐らく本曲を聴いた人は“皮肉”より“励まし”を感じた方が多いと思いますが、それこそ、世界が魅了されたフレディの歌唱が持つ“不思議な魔法”というものでしょう。


Well, I've loved a million women in a belladonic haze
私はベラドンナの霞の中で百万の女を愛し
And I ate a million dinners brought to me on silver trays
銀のトレーで運ばれる百万の晩餐を口にしてきた

1番と2番の歌詞の【I】の人物像は全く正反対であり、私は“1番と2番の【I】は別の人物”と解釈しています。
即ち【1番のI】は“貧しい労働者(またはデビュー前のクイーン)”、【2番のI】は“富裕層”を表し、固定化された伝統的な階級制度が人生を左右するイギリスでは、低賃金で働く労働者階級が王族・貴族(上流階級)のような名声と資本家(中流階級)のような莫大な富を得ることは、まさに“奇跡”の領域でしょう。

しかし興味深いのは、貧しい労働者・富裕層を問わず“何らかの苦悩”を抱えている…ように描かれていることです。
大きな夢を抱く一人の少年が“奇跡”に恵まれスーパースターとなり莫大な富と名声を手に入れるも、やがてそれが“当たり前”となって喜びを感じなくなり奇跡を維持する“重圧”へと転じ、現実が奇跡から遠ざかってゆく“苦痛”を薬物に逃避し、不幸な結末で人生の幕を閉じる…といった例えを示してみると、ロック・ファンなら覚えがあるでしょう。

日々努力を重ね成長し続けることは確かに重要ですが、人生が幸福であること、日々の小さな幸せを感受できることの方がもっと大切なのかもしれません。


Queen - Keep Yourself Alive (1973/74)




~ Epilogue ~

クイーン+アダム・ランバートが特別企画で出場決定!

あなたもご存じの事でしょう…
今年の第74回NHK紅白歌合戦にクイーン+アダム・ランバートが出場予定ということを。
曲目や出演方法、演出などは「検討中」とのことですが、2023年はクイーンの“デビュー50周年”であり、“その歴史を振り返るメドレー”を想定し、その始まりである「Keep Yourself Alive」を選曲しました。

だけど
“僕にとって、「Keep Yourself Alive」は本来備わっているはずの魔法を表せず、決して満足ではない”

実は、ブライアンは自らが創作しクイーンのデビューを飾った記念すべき作品に不満を抱いています。
この“本来備わっているはずの魔法”とは1971年にデ・レーン・リー・スタジオでオーディション用にデモ録音したバージョンを指しており、1972年にトライデント・スタジオで録音しシングル/アルバムに採用された正式ver.に不満を抱いている、という意味です。
クイーンはこのデモ録音を高く評価していましたが、レコード契約できていない彼らに過分な超一流スタジオのレコーディング機会を与えてくれたプロデューサーのロイ・トーマス・ベイカーに、(トライデントの)より良い機材で楽曲を再録音するよう指示されては拒むことなどできなかったでしょう。

しかし「Keep Yourself Alive」の再録音を試みたものの、何度やり直してもデ・レーン・リーを上回るものが録音できず、ブライアンはそれを“(決して取り戻すことのできない)魔法”と呼んだわけです。
(最終的にエンジニアのマイク・ストーンが助力したバージョンをクイーンも了承し、正式ver.となった)
実際にそのデ・レーン・リーver.を聴いてみると、確かにギターとドラムスのグルーヴが素晴らしく、正式ver.に勝ると感じました(但しヴォーカルはフレディにしてはオーラに欠ける気がする…)。


Keep Yourself Alive (De Lane Lea Demo / December 1971)


Keep yourself alive (come on), keep yourself alive
生き続けろ、生き続けるんだ
You take your time and take my money, keep yourself alive
すべての時間とあらゆる対価を払ってでも…お前はきっと生き残る

2016年にトヨタ自動車はSUV『C-HR』CMで「炎のロックンロール」をテーマ曲に採用し“KEEP YOURSELF ALIVE 走るなら、自分の道を。”のキャッチフレーズを掲げましたが、クイーンは最初のメッセージから50年後もまさに“生き残って”彼らの道を走り続けています。
そしてこれはクイーン自身のテーマ曲であり、私たちを含む“生きとし生けるもの”にとって永遠のテーマでもあるのです。

そういえばNHKは、あの“60年転がり続けるロック・バンド”にも紅白の出演交渉を行っているという噂も…。



Queen In The 70s

最後までお読みいただき、ありがとうございました ♪
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tags : 1973年 偉大なギター HR/HM 人生 CM曲 ボヘミアン・ラプソディ  

コメント

小生は実はクイーンはⅠ~Ⅲが一番大好きです。彼らとの出会いは高校生の時、デビューアルバム「戦慄の王女 」の衝撃的な1曲目「キープユアセルフアライブ」のイントロを聴いた瞬間、一挙にクイーン世界の虜となってしまいました。綿密なアレンジと美しいコーラスワーク、スピード感溢れるパワフルサウンド、洗練された高い技術のゴージャスな多重録音・・、従来のロックにないクイーン独特のハイテクニック華麗サウンド世界が繰り広げられ本当に衝撃的でした!あとは 「輝ける七つの海」もノックアウトされました!美しい旋律(ピアノ・イントロ)でスタート、激しく奏でられるアップテンポで鋭い切れ味の展開曲、渋いギター・リフも実に素晴らしい~!見事にクイーンのイメージを表現した邦題!7つの海を支配した大英帝国「女王の国」を賛美していましたね~!映画ボヘミアンを見た時もこの2曲が登場した時は一人でニンマリしていました。(笑)

2023.12.08  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

そうでしたか、早熟な少年だったのですね。
私はマイケルのスリラーを初めて見た時それが当たり前と受け取り、ビートルズのサージェントペパーを聴いても何が凄いのか理解できませんでした。
ただ初めてリアルタイムで聴いたクイーンはレディオ・ガガですが、それは断片的にしか知らない私のクイーンのイメージとずいぶん違ったので違和感を覚えた記憶があります。
そしてクイーンは今年デビュー50周年であり、この曲もまさに50周年ですね。

2023.12.08  Beat Wolf  編集

こんにちは。

さすがに天文学者を目指しただけあってスケールが大きいです。そういえばブライアンは何となくニュートンに似ている。ヘアスタイルのせいか?
それにしてもブライアンのギターの音は最初からあんな特徴的な音だったんですね。今年はNHKの紅白に出るそうですから寝ないように頑張ります。何を演奏するのでしょうか、メドレーなんでしょうね、楽しみです。

2023.12.09  忠      編集

私はロックが苦手でした。ただうるさいだけのイメージがあったのですが、クイーンのBohemian RhapsodyやDon't stop me nowなどの曲やチェッペリンのStairway to Heavenを聞いてはまりました。^^

2023.12.09  blueskyus  編集

忠さん

フレディが感情表現が豊かなのに対し、ブライアンはクールで温和です。
二人が対照的なのは性格だけでなく、一説によると「デビュー以降10年間で最も外見が変化したミュージシャン」がフレディで、「デビュー以降10年間で最も外見が変化していないミュージシャン」がブライアンとも言われています。(笑)
これは私見ですが、本人はニュートンに似ていることを自覚・意識してずっとヘアスタイルを変えないと思います。

2023.12.09  Beat Wolf  編集

blueskyusさん

うるさいのは否定しません。(笑)
でも炭酸を抜いたコーラが不味いように、うるさくなくしたらロックの魅力も失われるでしょう。
どんなジャンルでも最も重要なのは楽曲であり、ご紹介の曲はそれが備わっていると思います。

2023.12.09  Beat Wolf  編集

でもボヘミアンラプソディーを最後にクイーンから遠ざかってしまいました。何か人気が上がり過ぎて、女子がキャーキャー騒ぐようになってから完全に距離を置きました。そういう意味では70年代後半からのアルバムは自分も再勉強の必要があるんですよね。

2023.12.15  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

クイーンが初期から日本で人気だったのは某女性雑誌編集者による貢献が大きいですが、女性の人気が高かったのもその影響でしょう。ただ彼女がプッシュしたチープ・トリックやデュラン・デュランがキャーキャー騒がれるのは納得ですが、クイーンがそうだったというのは少し違和感があります。

2023.12.15  Beat Wolf  編集

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