I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

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「ゲット・バック」ビートルズ

2014.01.27

category : Beatles & Solo

Beatles with Billy Preston - Get Back1 Beatles with Billy Preston - Get Back2


The Beatles with Billy Preston - Get Back (1969年)


~Prologue~

1969年1月30日は、事実上のビートルズ最後のライブ・パフォーマンスとなった“ルーフトップ・コンサート (Rooftop Concert)”が行われた日です。
ライブの名前はご存じない方も多いと思いますが、真冬のロンドン・アップル・コア本社屋上での寒そうに演奏する映像や写真の一場面は、ファンの方であれば一度は目にしていると思います。
ルーフトップ・コンサート全体の話は別の機会に譲りますが、今回はその最後を飾った歴史的なナンバーの特集です♪


~概要~

「ゲット・バック」は1969年4月11日(英)にリリースされたビートルズ19枚目のオリジナル・シングルで、B面はルーフトップ・コンサートでも演奏された「ドント・レット・ミー・ダウン」。
イギリス“ミュージック・ウィーク”誌では6週連続No.1、アメリカBillboard Hot 100では17曲目のNo.1(5週連続/年間8位)を記録し全世界で1,000万枚を売り上げ、「抱きしめたい」、「ヘイ・ジュード」に次ぐビートルズの中でも3番目のヒット・シングルです。
作者・ヴォーカル共にポール・マッカートニーで、ジョン・レノンはリード・ギター、ジョージ・ハリスンがリズム・ギターという変則的な編成。
変わってるといえば珍しく外部ミュージシャンを起用していて、途中ソロも任される印象的なエレクトリック・ピアノを弾いているのはビリー・プレストンで、彼はビートルズ史上唯一シングル曲に共同クレジットとして名を刻まれました。

「Get Back」はポールのジョンに対するメッセージ・ソングとして有名ですが、実は当初「(Don't Dig) No Pakistanis」(パキスタン人は要らない)というタイトルの作品でした。
当時、イギリスでは大量のパキスタン難民が流入し社会問題に発展、時の首相が彼らに“母国に帰れ”と呼び掛け、ポールはこれに皮肉を込めて反対の意思を示したものだったのです。
しかし逆説的なタイトルをはじめ、反って誤解を招く恐れがあったため現在知られる歌詞に書き換えられています。


~主なバージョンについて~

シングル・バージョン

1969年1月28日、アップル・スタジオで録音された音源が使われています。
ジョージ・マーティンがプロデュースしたこのバージョンは“フェード・アウト”で終わるのが特徴で、『青盤』や『パスト・マスターズ Vol.2』などベスト盤でよく見かけられます。




“ルーフトップ・コンサート”での演奏・その1

1969年1月30日の、“ゲリラ・ライブ”によるものです。
この日「ゲット・バック」は計3回演奏されていますが、このうち映画『レット・イット・ビー』に収録されたのは“1or2回目”と“3回目”の2回分。
一般的に多く紹介されるのは、“ハプニングなし”の“1or2回目”の映像です。




“ルーフトップ・コンサート”での演奏・その2

3回目はこのコンサートの最後を飾る演奏であり、ビートルズ史上としても最後のライブ演奏ですが、こちらは“ハプニングあり”の映像になってマス!
演奏開始時点で、演奏を止めさせようと警官が屋上まで上がって来てしまっていて、何やらロード・マネージャーのマル・エヴァンスに話し掛けています。
すると、マルはジョンとジョージのギター・アンプの電源を切ってしまい突然ギターの音が途絶えますが、すぐにジョージがそれを復旧させてしまったため、止むなくジョンの電源も入れる…という“ハプニング”をシッカリ証拠映像として残されてしまいました。

演奏終了後、リンゴ・スターの奥さんモーリーンが大きな拍手と歓声を揚げると、ポールは"Thanks, Mo.…"と応えます。
ジョンも間髪置かず、"I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, I hope we passed the audition.…(バンドを代表して皆様にお礼申し上げます。オーディションに受かるといいのですが…?)"というジョークを忘れません。
このアタリは、ジョンとポールそれぞれの持ち味が出ていて、面白いですネっ♪
また、この部分は下記・アルバム『レット・イット・ビー』バージョンのアウトロに付け加えられています。




アルバム『レット・イット・ビー』バージョン

シングル発売から1年以上経ち、ポールがビートルズを脱退してしまった後ようやく世に送り出されたこのバージョンは、1969年1月27日にアップル・スタジオで録音された音源がベースになっています。
ここではフィル・スペクターがプロデュースを担当していて、ライブの感じを出すためか曲のイントロやアウトロにMCのような雑談が入れられているのが、オモシロい所!
例えば「ゲット・バック」のイントロではスタンバイ中のジョンとポールの“言葉遊び”…

ポール"Rosetta..."
ジョン"Sweet Loretta fart thought she was a cleaner but she was a frying pan. "
ポール"Sweet Rosetta..."
ジョン"Yeah,... The picker, picture the finger, Greg. Okay"
ポール"Oo-wee!..."

イチイチ訳しませんが、2番のフレーズをイタズラして遊んでます♪
何故だか、ロレッタのfart(オナラ)のハナシになっちゃってますケドっ!?


Get Back / The Beatles 投稿者 beatlesuploader


アルバム『レット・イット・ビー...ネイキッド』バージョン

2003年、フィル・スペクターのプロデュースを排し映画『レット・イット・ビー』の音を再現すべくリミックスしたもので、今回のメイン動画はこれを採用しました。
当時ミック・ジャガーはビートルズのレコーディングをよく“偵察”に来ていましたが、この映像の (2:12)にはミックとチャーリー・ワッツが映っていますよ♪


~Lyrics~

Jo Jo left his home in Tucson, Arizona
そこで、Jo Jo はアリゾナ・トゥーソンの家を出て
For some California grass
緑広がるカリフォルニアへと向かった

“トゥーソン”って、何処!?
有名な“OK牧場”の近く…とにかく、長閑なトコロです!
この年ポールと結婚することとなるリンダが学生時代を過ごした町。
後にポールはこの地に別荘を買い、1995年には癌で余命を悟ったリンダはここを訪れ、生涯を終えました…。


Sweet Loretta Martin thought she was a woman
かわいいロレッタ・マーティンは女の看板を掲げているけれど
But she was another man
中身は、まるで男みたい

“Jo Jo=ジョン”は誰もが察しが付くと思いますが、私は“Loretta=ヨーコ”だと思っています。
ヨーコはポールに負けないエネルギッシュな活動家であり、さらに精神的にはビートルズの4人が束になっても敵わないほどタフな人です。
私は今回、ポールの本心を察する形で少し踏み込んで訳していますが、ポール本人はジョンに気づかれないよう表現に苦心した節があります…。


~Epilogue~

実は、私の“Loretta=ヨーコ”説には、それを裏付けるようなエピソードもあります。
この歌のサビに…

Get back to where you once belonged
お帰りよ、元いた場所へ

…というフレーズがありますが、“ポールはこの部分を歌う時、いつもヨーコの方を見ていた”と、ジョンは語っているようです。

ビートルズを、誰よりも愛し続けたポール…
そのために不可欠な存在である、ジョン…
そのジョンの心をビートルズから奪った女性、ヨーコ…

この物語には、“フクザツな三角関係”のナゾが秘められている…カモ!?



「ゲット・バック」


Writer(s):Lennon-McCartney /訳:Beat Wolf

~Lyricsはこちら~


Jo Jo は一匹狼を気取った男だけど
それを全うできないことも、知っている
そこで、Jo Jo はアリゾナ・トゥーソンの家を出て
緑広がるカリフォルニアへと向かった


Get back…
戻って来いよ、一度は身を寄せた場所へ
Get back…
戻って来いよ、かつての場所へ
戻って来いよ、Jo Jo
君の家へと…



かわいいロレッタ・マーティンは女の看板を掲げているけれど
中身は、まるで男みたい
周りの女の子たちは、彼女に最高の瞬間が訪れたと言うけれど
そんな至福は、いつまでも続くものじゃない

**
Get back…
お帰りよ、元いた場所へ
Get back…
お帰りよ、かつての場所へ
お帰りよ、ロレッタ
君の家へと…

**

お帰りよ、ロレッタ
ママが待ってるよ
ハイヒールと
ロー・ネックのセーターで着飾って
お帰りよ、ロレッタ

Get back…
お帰りよ、それぞれの場所へ
Get back…
お帰りよ…Oh, yeah


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1969年 Rock/ブルース 物語 レット・イット・ビー 

コメント

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2014.01.28    編集

匿名さま…

ありがとうございます。
朝からラッキー番号が出たとは、気分がいいですね!
しかも何かと良い機運が巡っておられるようで、羨ましい限りです。

そうですね。
ミュージシャンで、ビートルズほど多数本が出版されるのもないですね。
私も昔、結構よく買ってました…。

2014.01.28  Beat Wolf  編集

こんばんは♪

Get Back に変わる前
"パキスタン人は要らない"というタイトルだったとは。
たしかに過激ですよね。
やっぱり歌はメッセージなんだな~と改めて思います。

これは中学2年生ぐらいのときに聴いたことがあります。
今の表現で言ったら「何となくレトロっぽい響き」
そんな"レトロな"印象をもったことを憶えています。
でも当時はレトロなんて言葉はなかったはず
どんな聴こえかただったのかな。

2014.01.29  あんず  編集

あんずさんへ

正確には
"パキスタン人は要らない"という政策は要らない
…というのが趣旨だと思いますが、タイトルを見るとみんな誤解すると思います。

そうですね。
ポールの創るロックって、オールド・スタイルが多いと思います。
「ゲット・バック」なんか、かなり“プレスリー”が入ってるでしょう?
ちょっと皮肉を込めるような時、ポールはよくこんなスタイルを採りますよ♪

2014.01.29  Beat Wolf  編集

こんばんは!

いつも訪問有難う御座います。
音楽大好き人間なので楽しく拝見させていただいております。
今後とも宜しくお願いします。

2014.01.30  優しい心  編集

ただ好きで聴いてた曲にも、いろんな意味があるんだなぁとこちらで初めて知ります。
とても面白いです。
ヨーコの存在って大きかったんですね〜
先日テレビで音楽祭で歌ってるポールとヨーコも映っていたのを見たばかりなのでリアルです。

2014.01.30  きり  編集

この曲は字面通り「帰れ!」なのでちょっとしたエピソードがある曲だと思ってましたが、始めからしっかり紐解いてゆくと相当なウラ話がわんさかなのですね。

2014.01.30  わんわんわん  編集

Re: こんばんは!

コメントを頂き、ありがとうございます。
このブログを楽しんでいただけていたなら、光栄です。
こちらこそ、宜しくお願いします。

2014.01.30  Beat Wolf  編集

きりさんへ

そうですね。
単にジョジョとロレッタの物語だと、「何で“戻って来い”なの?」と思うでしょうが
実際の人間関係が反映されていると知れば、意味がわかるでしょう!

この頃、ジョンはヨーコにしか興味がなかったでしょう。
ビートルズの活動は、その妨げでしかなかったのかもしれません。

2014.01.30  Beat Wolf  編集

わんわんわんさん

この頃のポールの曲って、こんなのばかりです。
ビートルズ存続のために、何とかジョンに帰ってきて欲しかったのでしょうね…。

2014.01.30  Beat Wolf  編集

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2014.01.31    編集

Re: はじめまして

はじめまして
コメントありがとうございます。
ブログを楽しんでいただけて、うれしいです。
こちらこそ、宜しくお願いします。

2014.01.31  Beat Wolf  編集

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