I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」ビートルズ

2014.02.04

category : Beatles & Solo

Beatles - Back In The USSR1 Beatles - Back In The USSR2


The Beatles - Back In The U.S.S.R. (1968年)


~いよいよ、ソチ・オリンピック!~

いよいよ、現地時間2月7日午後8時14分(日本時間8日午前1時14分)の開会式により幕を開ける“ソチ・オリンピック(XXII Olympic Winter Games)”。
そこで、大会の公式テーマ・ソング(ロンドン大会・ミューズの「サバイバル」のような)を調べてみましたが見つからず(設けられていない?)、開(閉)会式の式典の内容は本番まで極秘で演奏曲や参加ミュージシャンなどの情報もほとんど伝わっていませんでした(一部、噂などあるが…?)。

そこで、今回は私の願望も込めて、開(閉)会式での演奏予想曲をお届けいたします!


~概要~

「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」は、1968年11月22日リリース(英)のビートルズ9作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『The Beatles(通称;ホワイト・アルバム)』のオープニングを飾る作品です。
作詞作曲/リード・ヴォーカル共にポール・マッカートニーで、当時のシングル・カットはありませんが1976年にイギリスでリリースされ19位を記録しています。
ビートルズがビーチ・ボーイズ風のコーラスを取り入れたことや、当時イギリスやアメリカと“冷戦”状態にあったソ連(U.S.S.R./現在のロシア)を歌った作品として話題を呼びました。

歌の内容は、アメリカに暮らすロシア人の青年が何年ぶりかで“Back In The U.S.S.R.(ソ連に帰る)”というものですが、タイトルは当時イギリス政府が推進していた“I'm Backing The U.K.”から採って当初「I'm Backing The U.S.S.R.」だったとされます。
しかし、当時のビートルズの影響力からサスガに“I'm Backing The U.S.S.R.(ソ連を支持する)”ではシャレで済まない騒ぎになるとして、現在のタイトルに改められました。
ソ連政府は西側諸国のロックを固く禁じていたので、国内にはビートルズがツアーで訪れることはおろかレコード販売も許されていませんでしたが若者からの人気は絶大で、密輸や海賊盤が多数流入し中でもやはり「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」の人気が一番だったそうです。

そんな彼らの願いが叶ったのはこの曲が発表されてから実に35年後の2003年、ポールによるロシア公演で、この時“モスクワ・赤の広場で真っ赤なシャツを纏い「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」を歌う”ステージは、もはや伝説です!
このライブはプーチン大統領も観覧予定でしたが演奏時刻に遅れて来場したため、大統領のためにもう一度演奏し直されたという逸話まであり、映像にはシッカリとプーチン大統領も映っていますよ♪



冒頭で私がオリンピックでこの曲の演奏を期待したのは、プーチン大統領とのこうした因縁に由るもので、大統領が要望すればポールが断るはずはないと思ったからです。
ひょっとしたら、グラミーの流れからリンゴ・スターがドラムを叩くと期待するのは、妄想…!?


~パロディー・ソングとして~

「Back In The U.S.S.R.」はパロディー・ソングとしても有名ですが、その元歌となったのがチャック・ベリー「Back In The U.S.A.」
タイトルからして解り易いですが、主人公が飛行機で帰ってくることや祖国の良さを思うなど、趣旨もよく似ています。

また、ビーチ・ボーイズのパロディーという側面もあり、コーラスだけでなく彼らのいろんなエキスが注入された作品です。
ビートルズは1968年2月からインドのリシケシでマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの瞑想修行に参加していますが、ここでビーチ・ボーイズのマイク・ラヴと一緒になり、ビーチ・ボーイズ風にするコツを伝授されています。
この作品でソ連の各地の女の子について語られているのはそのせいで、特に彼らの「California Girls」からは歌詞の一部も引用されました。

もっとも、瞑想なんて柄じゃないポールがこうした修行など長続きするハズもなく、“収穫♪”を得ると(メンバー中二番目に)サッサと帰国してしまったとさっ!
(ちなみに真っ先に逃げ出したのはリンゴ・スターで、ナンとなくワカるような…。


~リンゴ・スターが脱退!?~

修行を途中で放り出した災いか、この頃リンゴには“シャレにならない逃亡劇”が待っていたのです…。
メンバーが帰国後『ホワイト・アルバム』のセッションが始まりますが、ありがたい修行を積んだはずの彼らにかつてのチーム・ワークは存在せず、その心も行動もバラバラでした。

8月22日、「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」の打ち合わせでリンゴはポールにドラミングの注文を受けます
しかしその際、“こういう風に叩いてよ…”と難しいプレイを事も無げにポールがドラムを叩いて見せたことが、リンゴのプライドを傷つけました。
「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」で少し触れたように、ずっとバンドに対する自らの貢献度に引け目を持っていたリンゴにとって、ポールの巧みなドラミングを見せられたことは“唯一”であるドラマーとしての存在価値を揺るがすモノだったに違いありません。

いたたまれなくなったリンゴはメンバーに脱退の意思を告げ、放浪の旅へと出てしまいます。
「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」は彼が不在の間にレコーディングされた作品で、ここではポールがドラムを叩き、リード・ギターも務めました。
しばらくしてリンゴがバンドへと戻ってきますが、彼はポールのドラム・プレイを素直に讃え、自分のプレイで録音し直すようなこともしませんでした…。


~Lyrics~

この作品にはパロディーを含め、たくさん“仕掛け”が施されています

Well the Ukraine girls really knock me out
ウクライナの娘たちには、マイッタよ
They leave the West behind
“西側”の話なんか、見向きもしない

このフレーズには、ビーチ・ボーイズの「California Girls」のエキスが詰まってます!
「California Girls」は全米各地の素敵なGirlsを紹介する歌ですが、ウクライナは美人が多いことで有名な土地柄ですね(現在ウクライナは独立国)♪
そんな女の子に“knock me out”という趣旨は、まさに「California Girls」から受け継いでいます。


And Moscow girls make me sing and shout
モスクワの娘らにかかったら、歌い叫ばずにはいられなくなる
That Georgia's always on my my my my my my my mind.
“Georgia's always on my mind”…ってね!

ココも、面白いネタが隠されています!
ここでいうGeorgiaは直接的にはアメリカ・ジョージア州のことではなく、旧ソ連の“グルジア”を指します。
グルジアをグルジア語で表記すると“საქართველო”という見慣れぬものですが、英語表記するとGeorgia(ジョージア)となることを知ったポールは、レイ・チャールズのカバーで有名なスタンダード・ナンバー「Georgia on my mind(我が心のジョージア)」に引っ掛けたのです♪


Let me hear your balalaika's ringing out
あと、バラライカもたっぷり聴かせてよ
Come and keep your comrade warm.
君の“同志”にも迎えてね

ここもロシア風のネタが仕込まれています!
ギターではなくロシアの弦楽器“バラライカ”を引き合いに出してみたり、また特に“comrade”が特殊な意味を果たすのです。
comradeは仲間という意味ですが、敢えて friendを使わないのは“ここがソ連だから”!
つまり、この単語には“ 同志(共産党員)”という意味もあることから、この言葉を用いたと思われます。


~Epilogue~

この作品の面白さはビートルズ屈指のギター・サウンドやパロディーだけでなく、当時世界を二分した“東西”社会のギャップを一つの作品に組み込んだことにあります。
もし、“西側”・自由主義の盟主“アメリカ(U.S.)”と、東側・共産主義の盟主“ソ連(U.S.S.R.)”が交わったら…
だからこそ、U.S.S.R.を舞台としたこの作品で、最もアメリカらしさを象徴するビーチ・ボーイズ的なロックでアップローチしたのでしょう。

かつて東西社会の緊張は、“オリンピックのボイコット”という愚行を犯しました。
世界はそのような愚かな時代を克服したように見えますが、文化や利害の対立を根源とする“テロの脅威”は現在も増すばかりです。
異なる文化との出合いは、自らのアイデンティティーを識ることであり新たなものを生み出す可能性であって、異質を破壊するものではありません。
ソチ・オリンピックがそういう“出合いの場”であることを、強く願います…。



「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」


Writer(s):Lennon-McCartney /訳:Beat Wolf

~Lyricsはこちら~


マイアミ・ビーチからBOACで空の旅
ゆうべは横になって眠れず
道中、膝の上には紙袋が載ってるわで
いやはや、とんだフライトだったけれど


とにかく、U.S.S.R.に帰ってきた
これがどんなにツイてるか…ピンとこないだろう、坊や?
Back in the U.S.S.R.…

ずっと離れていたから、知らない場所もあるけれど
まぁ…、故郷っていいもんさ
荷物を解くのは明日にして
Honey…今夜は受話器も外して、しけ込もう!

とにかく、U.S.S.R.に帰ってきた
これがどんなにツイてるか…ピンとこないだろう、坊や?
Back in the U.S.
Back in the U.S.
Back in the U.S.S.R.

ウクライナの娘たちには、マイッタよ
“西側”の話なんか、見向きもしない
モスクワの娘らにかかったら、歌い叫ばずにはいられなくなる
“Georgia's always on my mind”…ってね!

山々から南にかけて下る、美しい雪景色を見せておくれ
お父さんの農場も連れてって
あと、バラライカもたっぷり聴かせてよ
君の“同志”にも迎えてね




最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1968年 ロック ホワイト・アルバム 

コメント

おはようございますe-60

Beat Wolfさんが訳詞されたのですねv-353
特殊な感性をお持ちなのですね。
詞を読ませて頂いただけで、大まかなメロディが流れてきそうな感じがします。

”とにかく、U.S.S.R.に帰ってきた
 これがどんなにツイてるか・・・ピンとこないど ろう、坊や?”
のところが、特にいいですねv-21

2014.02.05  結依  編集

結依さん

未熟ながら、勝手に訳させてもらってます…!
訳すことで、作品の意味や作者の思いを探検するようで
楽しいです♪

アハハ…
ありがとうございます。
その部分は、最後の「boy」が耳に残るので
「坊や」を後ろにつけてみました♪v-290

2014.02.05  Beat Wolf  編集

ソチオリンピック開閉会式が楽しみになってきました。
どちらかでこの曲が聴けるかしら(^ ^)
また寝不足の毎日です(^^;;

2014.02.06  きり  編集

きりさんへ

いえいえ、ビートルズ・ファンの勝手な妄想です!
でも、この曲だったら世界中の多くの人が元気になれると思いません?
そういう楽しみがあっても、イイでしょ♪(*^^*)

2014.02.06  Beat Wolf  編集

一つの曲から、いろんなエピソードが聞けて楽しいです。
リンゴ・スターの脱退など^^。
自分の存在価値、どんな人も悩みは同じ。。。

ファンの妄想、現実になると良いですね(*^^*)

2014.02.07  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

☆dct☆さんは、リンゴのエピソードが心に留まったのですね♪
劣等感に心が沈むことって、誰でもありますが
彼らのような「スター」も、そんな思いをすると思えば
少しは、気が楽になりますね!

私の妄想、実現するよう一緒に願ってくださいね♪(*^-^*)

2014.02.07  Beat Wolf  編集

こぐまのミーシャ


これですっ!これっ!
昭和の小学生女子の心を、
ちょっぴり(?)鷲掴みした「ピンバッチ」や「アニメ―ション」も楽しみだったオリンピック(^^)♪

つかですよぉ?
ボイコットとか無くなった(のかなぁ?)今の時代になって本当に良かったよ。と思いますよぉ。
まぁ、まだまだ全世界が参加するワケもなく…
特に、冬季は潤沢な国でないと参加も出来ない雰囲気が払拭できないのもありますからねぇ…。
それでも、BeatWolfさんのお話の通りな世の中がこのまま続いて欲しいし、そうであって欲しいです。
(このアニメーションが、またいいですねぇ(^^)b♪
ジョージ、顎が長っ!(#^.^#))

2014.02.09  sunbluelovely  編集

Re: こぐまのミーシャ

モスクワ・オリンピックってほとんど記憶に無いのですが
テレビで中継してましたっけ?
私の記憶が確かなのは、ロスからなのです…i-229

ボイコット…
でもこのまま中韓か悪化すれば
東京五輪の時、かの2国がボイコットする可能性もあるかも!?
一見平和に見えても、現在の日本はいつ中国と紛争が起きても
不思議じゃないと思います。

アニメ、面白いでしょ?
この頃は映像が少ないだけに、重宝します!i-239

2014.02.10  Beat Wolf  編集

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