I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「君に想いを」スティーヴン・ビショップ

2014.03.28

category : Soundtracks

Stephen Bishop - It Might Be You1 Stephen Bishop - It Might Be You


Stephen Bishop - It Might Be You (1983年)


~Prologue~

全国的に、桜の便りが届けられる季節となりました。
日本に於いて桜は単なる花の一種ではなく、どこか私たちにとって象徴的な存在でもあります。
残念ながら洋楽には日本の桜ソングのようなものは殆ど無いと思うので、今日はそれに近い“フィーリング”を
お届けいたします…。


~概要~

「君に想いを」は1982年のコメディ映画『トッツィー(Tootsie)』の主題歌として創作され、作曲も映画の音楽担当デイヴ・グルーシンらによって為されました。
彼はグラミー賞10回、アカデミー賞1回受賞の映画音楽を代表する作曲家の一人ですが、主演のダスティン・ホフマンとは1967年の映画『卒業』でも縁があります。

歌ったのはアメリカのシンガー・ソングライター、スティーヴン・ビショップで、この曲のような繊細な優しさが持ち味の歌い手といえるでしょう。
「君に想いを」はBillboard Hot 100の週間チャートでは25位と中ヒット止まりでしたが年間では83年の95位となる大健闘で、派手さはないものの“じんわり沁みてくる”作品の魅力がロング・ヒットに繋がったのかもしれません。
スティーヴン自身は“一時代を築いた”と言えるほど大売れしたワケではなく地味な職人みたいなタイプで、彼の作品で最もヒットしたのはフィル・コリンズ&マリリン・マーティンに提供した「セパレイト・ライヴス」が1985年にHot 100でNo.1に輝いています。


~映画『トッツィー』の主題歌として~

映画『トッツィー』は非常にユニークなコメディであり、ロマンスです。
まず設定が面白く、主人公“マイケル・ドーシー”ダスティン・ホフマン)は売れない役者ですが、思わぬきっかけで“女優ドロシー・マイケルズ”としてオーディションに合格してしまい、一躍人気者となりました。
“tootsie”とはアメリカのスラング(俗語)で、そんな彼(彼女?)に親しみを込めて“かわいこちゃん♪”と囃し立てているというワケです!
しかし男であることを秘密にしていた事から、イロイロ“不都合”が生じてきてしまい…。
このアタリ、想像しただけでナンとなく可笑しいでしょ?

ところが、“想定外の不都合”が彼をさらに苦しめることになります。
共演女優のジュリージェシカ・ラング)は“大先輩女優ドロシーとして家にも招くほど(彼女を)慕い”ますが、
一方の彼は“一人の男マイケルとしてジュリーに恋”をしてしまうのです。
彼女を騙している“良心の呵責”、それを明かした場合生じる彼女からの“信頼喪失への恐れ”、そして“男として彼女に愛されたい”という願望…。

物語はこの辺りからせつない話となってゆき、そんな“二人の結末”に添えらた曲が「君に想いを」です…。


~Lyrics~

Time... I've been passing time watching trains go by
電車の通過を見届けるように、時をやり過ごしていた
All of my life
これまでの人生…

目の前を電車が高速で通過する瞬間って、妙な感覚に捉われたりしませんか?
それまで自分のものだった時間の流れが、目前の電車の高速に力ずくで支配されてしまったような不自然で居心地の悪い空間…。
そんな心許ないまま、彼はそれまでの“Time”を生きてきたのだろうか…と想像しました。

歌中でも“All of my life”が印象的に何度も使われていて、場面によって私は“これまでの人生”“これからの人生”という解釈を敢えて使い分けてみました。
そこにこそ、この作品の“妙”が隠されている気がして…。


If I found the place
僕は、“その場”に出くわして
Would I recognize the face?
ちゃんと、“その顔”を見分けられるだろうか…?

ここは、placefaceに韻を踏ませるため少し解りづらい表現となっていますが、“その場”と“その顔”が却っていい味を出しているともいえます。
長い“ブランク”に感覚を忘れた彼は、“その人”と出逢っても気づくことができるかすっかり自信を失っているようです。

映画『燃えよドラゴン』
ブルース・リーが少年に武術を指導する中で、こんなシーンを思い出しました…。



Don't think! Feel!考えるな、感じろ!)”



So many quiet walks to take
めぐり逢うまでの、閑寂で長い道程
So many dreams to wake
目覚めを待ち侘びた、数え切れないほどの夢

サビの間に異なるメロディーを入れて視点を変えることで強く印象を残し(日本でいう“大サビ”)、主人公の人物像をより浮き彫りにしています。
それにしても“quiet walks to take”って、どういう意味?
コレも、wakeに韻を踏むために当て嵌めたtakeだと思うのですが…。
直訳(取るための静かな歩行?)しただけではワケが解らないので、解釈を加え“二人がめぐり逢うまでの長い時間と道のり”を想像しました。

全ては、“love to make”に辿り着くまでの“so much(many)”だったのだと…。


~Epilogue~

それにしても…
この作品にはsomethingとか、mightみたいなハッキリしない言葉がたくさん用いられているでしょう!
でも逆にそれが、曖昧といわれる私たち日本人にとっては思い当たることも多いかもしれません。

物事がハッキリすることは良いのですが、世の中の事象はテスト答案のように正解が“既定”でない方が圧倒的ですよね。
たとえ今日は正解だとしても、明日は同じ答えが不正解となるかもしれない…。
人生って、そういうものでしょ?
この歌の二人だってタイミングが違っていたら、“正解”じゃなかったかもしれません。

でも、“ここぞ!”という時の言葉に…

It Might Be You
君かもしれない…

“might”は付けない方がいいと思うゾ!?


「君に想いを」



Writer(s):Dave Grusin, Alan & Marilyn Bergman /訳:Beat Wolf

~Lyricsはこちら~


Time...
電車の通過を見届けるように、時をやり過ごしていた
All of my life (これまでの人生)…
砂浜に横たわり、海鳥が飛ぶのを見上げ
ずっと願っていたんだ
誰かが、家で僕の帰りを待ってくれたなら…


何かが告げている…“君かもしれない”って
きっと、君なんだ
All of my life (これからの人生)…

過ぎゆく恋人たちを振り返る
All of my life (これまでの人生)…
彼らはどうしてめぐり逢い、結ばれたのだろう…
僕は、“その場”に出くわして
ちゃんと、“その顔”を見分けられるだろうか…?

何かが告げている…“君かもしれない”って
そうさ…きっと、君なんだ

めぐり逢うまでの、閑寂で長い道程
目覚めを待ち侘びる、数え切れないほどの夢
僕らは、本当に多くの愛を胸に温めてきた

二人に必要なのは、時間
たぶん、それだけさ
時も告げている…“君かもしれない”って
All of my life (これからの人生)…

書きためたラブ・ソングや子守唄が
たくさんあるんだ
誰より先に、君に聴かせたい…



君かもしれない
きっと、君なんだ
ずっと、僕が待ち続けていた人…

[Repeat to fade...]


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 1983年 AC ピュアな愛 優しい 桜テイスト 映画80's 

コメント

おはようございますv-22

”目覚め”まで・・迷っているような、ためらっているような、そんな主人公の心を感じます。
好きな人へ、もう一歩踏み出せない心境なのでしょうか・・
淡い春には、ぴったりの詞ですね。
何だかとても難しそうな訳なのに、見事にBeat Wolfさん流に訳されてますねv-353

2014.03.29  結依  編集

結依さん

そうでしょう!
前回のようにラブラブしてなくて、遠慮がちで日本の歌に近いフィーリングです。
映画も素敵で、淡いストーリーでオススメできますよ♪

そうなんです!
「何だかとても難しかった」です。
でも、好きな詞なのでやり遂げたいと頑張りましたv-398

2014.03.29  Beat Wolf  編集

トッツィー観たはずなのに覚えてませんでした。
とても良い曲ですね
胸がジーンとなります…
結末はどうなったんでしたか?
映像では仲良く歩いてたから、分かり合えたのかなぁとは思うのですが?

2014.03.30  きり  編集

う~ん、せつない。
日本人の好きな秘めた恋☆
彼の視線がいたい。

Don't think! Feel!
すべてに、使える言葉ですね。

2014.03.31  ☆dct☆  編集

きりさんへ

ご覧になりましたか!
劇中にも流れてたし、EDテーマでしたよ。

結末は、この映像の最後にあるのがそのシーンです。
いい雰囲気で仲直りして終わってしまうので
映画のストーリーも淡い感じですね…。

2014.03.31  Beat Wolf  編集

☆dct☆さん

そうなんです!
ダスティンの演技がサスガで、彼の表情に気づくと
とっても切ない気持ちになります。

そうですね。
この場合、考えるより『感じて』見分けるべき事柄なのだと思います。

2014.03.31  Beat Wolf  編集

年間チャートの1曲なので

トッツィー観たことないのに楽曲だけは手に入れてました。最高位25位で年間チャートに入るって「それ行け!ウイークエンド」ばりだけど、こういう「大人しく淡い曲」で達成ってアメリカの懐の深さを感じますよね・・・。って書いてたら、この映画を録画して10回以上観たという妻(酔っ払い)が「ジェシカ・ラングのオヤジ役が・・・」とか色々ネタバラシされました。
It might NOT be You!って「出る幕じゃない!…と思うよ」って使えるんでしょうか⁇言うの怖いんですが。

2018.02.15  地味JAM尊  編集

Re: 年間チャートの1曲なので

そうですね。
年間チャートをみると、大ヒットといえるのかもしれません。

映画はリアルタイムでみてませんが、この歌は好きでした。
日本でいうと、同時期のH2Oに似た感覚…?

奥さまには負けますが私も何回も見て、大好きな映画です。
WANDSじゃないですが、「愛を語るより…」
映画を共に楽しむのが吉?(笑)

2018.02.15  Beat Wolf  編集

ようやく理解できる年齢になったのかなぁ

随分前から知っている最高の名曲でしたが、それはメロディの甘さと和訳タイトル「君に想いを」を中心に脳内に入っておりましたが、、、
そろそろ人生折り返しを迎えたこの年齢となり、様々な人と出会い、恋愛を繰り返し、そのたびにただ単に喜びのみならず、好きなものを喪失する人間の弱さを感じて、もう嫌だと思うのであるが、この和訳に出会い、涙が止まりませんでした、有難うございます、mightから最後はit must be youになっていたなんて、素晴らしい展開ですね、感謝です

2022.04.18  エダマメタ  編集

Re: ようやく理解できる年齢になったのかなぁ

それだけお喜びいただけたら、私も本望です。
メロディだけでも癒されますが、歌詞も素敵ですね。
特に映画を見て、その結末にこの歌が流れると特にそれを感じます。
でもそれは映画というフィクションでなく、平凡に暮らす私たちの人生に普通にある出来事だということですね。

2022.04.18  Beat Wolf  編集

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